JIS K 6910:2007 フェノール樹脂試験方法 | ページ 8

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K 6910 : 2007
g) ふたをしたまま,質量(るつぼ+炭化後残分)をはかる。
h) 次いで,ふたをはずし,800 ℃の電気炉に2時間入れて灰化させる。
i) 室温付近まで冷却し,デシケータ中で放冷した後,ふたをして質量(るつぼ+灰化後残分)をはかる。
j) 測定は2回行う。
k) 固定炭素分は,次の式によって算出する。
M1 M2
F 100
S
ここに, F : 固定炭素分(質量分率%)
M :
1 質量(るつぼ+炭化後残分)(g)
M :
2 質量(るつぼ+灰化後残分)(g)
S : 試料の質量 (g)
l) 2個の測定値を平均して,小数点以下1けたに丸める。
5.20.3 報告
a) 規格番号
b) 試料の内容
c) 測定結果
d) 測定日

5.21 酸硬化時の発熱最高温度及び到達時間

 詳細は,ISO 9771:1995による。次にISO 9771:1995の概要
を示す。
5.21.1 装置・器具
a) 反応容器 ポリエチレンを含浸させた紙コップで,底の内径約60 mm,口の内径約70 mm,高さは約
60 mmのもの。
b) 反応容器保持具(7) 反応容器に合わせた空洞をもち,かつ,反応容器とその周辺との断熱層の厚さを
60 mm以上もった見掛け密度3050 kg/m3のフェノール樹脂又はポリウレタン製の発泡体。図10に
示すように反応容器と組み合わせて用いる。
注(7) 反応容器保持具は,測定結果に影響を及ぼすので,時々取り替えるとよい。
c) カバープレート 反応容器保持具に用いる非金属製のもの。
d) 熱電対
e) 温度記録計
f) ピペット 容量10 mlのもの。
g) 試験管 長さ60 mm,径16 mmのもの。
h) かくはん装置 機械式又は手動式かくはん機。
i) はかり 感量200 mgのもの。
5.21.2 試薬
a) 硬化剤 工業用のp-フェノールスルホン酸を用いて質量分率(65±1) %水溶液としたもの。硬化剤は,
試料の組成によって他の酸を用いてもよい。
b) グリコール又は適切な液体 発熱最高温度が160 ℃程度まで上がる場合,ジエチレングリコール(沸
点,246 ℃),グリセリン(沸点,290 ℃)等の高沸点で安定なグリコール等を用いるとよい。
5.21.3 操作 フェノール樹脂は,酸硬化剤と混合すると発熱を伴い硬化に至る。その最高温度及び到達時
間を測定する。操作及び計算は,次による。

――――― [JIS K 6910 pdf 36] ―――――

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a) 試料100±0.5 gを反応容器にはかりとる。
b) 試料を入れた反応容器を23±0.2 ℃に調整し,反応容器保持具中に設置する。次いで,かくはん機を
試料の反応容器内に設置する。
c) 23±0.2 ℃に保たれた硬化剤10 mlをピペットを用いて加える。
d) 温度記録計を作動させる。
e) 試料と硬化剤とを35秒間かくはん機によってかき混ぜ,完全に混合させる。
f) かくはん機を取り出す。
g) グリコール又は適切な液体2 mlを添加し,熱電対を取り付けた試験管を反応容器の底から1 cmのと
ころまで入れる。
h) 温度記録計によって,到達した最高温度及び最高温度に到達するまでの時間を求める。
i) 試料を新しくして,この操作を2回行い,測定値に5 %を超える差を生じたときは,試験をやり直す。
j) 2個の測定値を平均して,最高温度は1 ℃単位,最高温度到達時間は分単位にそれぞれ丸める。必要
に応じて,試料及び硬化剤のかくはん時間を変更してもよい。初期温度23 ℃で,明確なピークが認
められないときは,試料及び硬化剤の温度を上げてもよい。試料が非常に反応性に富む場合は,硬化
剤の量を減らしてもよい。
5.21.4 報告
a) 規格番号
b) 試料の内容
c) 測定結果
d) 測定条件(硬化剤量及び混合時間)
e) 測定日
単位 mm
図 10 測定装置の一例

――――― [JIS K 6910 pdf 37] ―――――

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5.22 液体クロマトグラフィーによる分離

 詳細は,ISO 11401:1993による。次にISO 11401:1993の概要
を示す。
5.22.1 液体クロマトグラフィーによる分離 A法(GPC : ゲルパーミエーションクロマトグラフ)(8)
注(8) 法は,分子量によって成分を分離することができる。分離がよいと低分子量成分を定量する
ことができる。
5.22.1.1 装置・器具
a) ポンプ クロマトグラフ用のもの。
b) カラム構成 カラムは,任意である。サイズの例を次に示す。
2 × 100 Å,内径7.7 mm,長さ600 mm
2 × 1 000 Å,内径7.7 mm,長さ600 mm
c) 検出器 UV検出器又は示差屈折率検出器。
d) プリンタ
e) データ処理装置
f) はかり 感量1 mgのもの。
g) マイクロシリンジ 100 μlのもの。
h) はかり瓶 50 mlの共栓付三角フラスコ。
5.22.1.2 試薬・充てん剤
a) テトラヒドロフラン クロマトグラフ用のもの。
5.22.1.3 測定条件
a) カラム温度 室温
b) 溶離液 テトラヒドロフラン
c) 流量 1 ml/min
d) 注入量 20 μl
e) 検出器 UV検出器(波長254 nm又は280 nm)又は示差屈折率検出器。
5.22.1.4 操作
a) 試料約100 mgをはかりとり,これにテトラヒドロフラン10 mlを加えて溶かす。
b) 調製した試料をマイクロシリンジで,試料導入装置に注入する。
c) クロマトグラムの比較によって縮合度及び分子量分布の違いを明確にすることができる。
d) 次の式によって成分の力価を算出する。
As mc
f
ms Ac
ここに, : 力価
Ac : 成分のピーク面積 (cm2)
As : 内部標準物質のピーク面積 (cm2)
mc : 成分の質量 (mg)
ms : 内部標準物質の質量 (mg)
e) 次の式によって樹脂中の成分の質量分率を算出する。
Ac f ms
Wc 100
m As
ここに, Wc : 成分の質量分率 (%)

――――― [JIS K 6910 pdf 38] ―――――

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Ac : 成分のピーク面積 (cm2)
As : 内部標準物質のピーク面積 (cm2)
: 力価
ms : 内部標準物質の質量 (mg)
m : 試料の質量 (mg)
f) 図11にフェノール樹脂(ノボラック)のクロマトグラムの一例を示す。
5.22.1.5 報告
a) 規格番号
b) 試料の調製方法
c) 測定結果
d) クロマトグラムのコピー
e) カラム温度
f) 検出器の種類及び波長
g) 定量方法
h) 測定日
図 11 フェノール樹脂(ノボラック)のクロマトグラムの一例
5.22.2 液体クロマトグラフィーによる分離 B法(極性カラムによる高速液体クロマトグラフ法)(9)
注(9) 法は,分子量と極性とによって成分を分離することができる。分離がよいと低分子量成分を
定量することができる。
参考 フェノール樹脂(レゾール)は,ぎ酸による中和,水酸化アンモニウムによるオキシメチレン
結合のメチル化などによって,測定前に試料の前処理が必要な場合がある。
5.22.2.1 装置・器具
a) ポンプ クロマトグラフ用のもの。
b) カラム構成 カラムは,任意である。例を次に示す。

――――― [JIS K 6910 pdf 39] ―――――

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5 μmシリカゲルに極性の官能基を置換したもので,内径4 mm,長さ125 mmのもの。
参考 極性の官能基にはアミノプロピル基などがある。
c) 検出器 UV検出器
d) プリンタ
e) データ処理装置
f) はかり 感量1 mgのもの。
g) マイクロシリンジ 50 μlのもの。
h) はかり瓶 50 ml共栓付三角フラスコ。
5.22.2.2 試薬・充てん剤及び溶離液
a) テトラヒドロフラン クロマトグラフ用のもの。
b) ヘプタン クロマトグラフ用のもの。
c) 溶離液
参考 テトラヒドロフラン/ヘプタンなどがある。
5.22.2.3 測定条件
a) カラム温度 室温
b) 溶離液の濃度こう配 分離時間を早くするために,適切な濃度こう配を設定するのがよい。一例を表
9に示す。
備考 溶離液の濃度こう配を変える(グラジエント溶離法)ことによって,分布が広い試料の場合,
分離時間を早くすることができる。
表 9 濃度こう配の一例
保持時間 テトラヒドロフラン ヘプタン
(分) (体積分率%) (体積分率%)
0 25 75
10 50 50
40 100 0
44 100 0
47 25 75
55 25 75
備考 クロマトグラムの分離状況及び目的に応じて,この条件以外を用
いてもよい。
c) 流量 0.5 ml/min
d) 注入量 20 μl
e) 検出器 UV検出器(波長254 nm又は280 nm)
5.22.2.4 操作
a) 分離部及び記録・検出部をあらかじめ作動させ,溶離液を約2時間流し,装置を安定させる。
b) 試料約100 mgをはかりとり,テトラヒドロフラン10 mlを加えて溶かす。
c) 調製した試料をマイクロシリンジにとり,試料導入装置に注入する。
d) ポンプで溶離液を流し,クロマトグラムを得る。
e) 計算は,5.22.1.4のd)及びe)の計算式による。
f) フェノール樹脂(ノボラック)のクロマトグラムの一例を図12に示す。
5.22.2.5 報告

――――― [JIS K 6910 pdf 40] ―――――

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JIS K 6903:2008の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 6910:2007の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISK0061:2001
化学製品の密度及び比重測定方法
JISK0071-2:1998
化学製品の色試験方法―第2部:ガードナー色数
JISK0113:2005
電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JISK0127:2013
イオンクロマトグラフィー通則
JISK2425:2006
クレオソート油,加工タール及びタールピッチ試験方法
JISK5601-2-2:1999
塗料成分試験方法―第2部:溶剤可溶物中の成分分析―第2節:軟化点(環球法)
JISK6900:1994
プラスチック―用語
JISK7112:1999
プラスチック―非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法
JISK7117-1:1999
プラスチック―液状,乳濁状又は分散状の樹脂―ブルックフィールド形回転粘度計による見掛け粘度の測定方法
JISK7117-2:1999
プラスチック―液状,乳濁状又は分散状の樹脂―回転粘度計による定せん断速度での粘度の測定方法
JISK7365:1999
プラスチック―規定漏斗から注ぐことができる材料の見掛け密度の求め方
JISK8034:2006
アセトン(試薬)
JISK8101:2006
エタノール(99.5)(試薬)
JISK8129:2016
塩化コバルト(II)六水和物(試薬)
JISK8142:2018
塩化鉄(III)六水和物(試薬)
JISK8180:2015
塩酸(試薬)
JISK8180:2021
塩酸(試薬)
JISK8201:2006
塩化ヒドロキシルアンモニウム(試薬)
JISK8576:2019
水酸化ナトリウム(試薬)
JISK8598:2018
セレン(試薬)
JISK8839:2007
2-プロパノール(試薬)
JISK8891:2006
メタノール(試薬)
JISK8896:2012
メチルレッド(試薬)
JISK8897:2012
メチレンブルー(試薬)
JISK8951:2006
硫酸(試薬)
JISK8983:2016
硫酸銅(II)五水和物(試薬)
JISK8986:2013
硫酸ナトリウム十水和物(試薬)
JISR1301:1987
化学分析用磁器るつぼ
JISZ8801-1:2019
試験用ふるい―第1部:金属製網ふるい
JISZ8802:2011
pH測定方法