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a) 装置を気密に保持するように接続した後,電源を入れて各部を安定させ,管状電気抵抗加熱炉を燃焼
管内温度が1 450 ℃1)になるように保つ。
b) 分析試料又は分析試料と同種の試料を用いて,9.2.5のa) d) の手順に従って操作し,あらかじめ試
料燃焼時の加熱時間,助燃剤の種類・使用量,酸素の送入流量など,使用する装置に適切な条件(以
下,予備試験条件という。)を決めておく。
c) 試料と同種の金属の標準物質を用いて,予備試験条件で9.2.5のa) d) の手順に従って操作し,よう
素酸カリウム標準液(9.2.2.2)の使用量から,次の計算式によって標準液1 mLに相当する硫黄の質量
を求める。
なお,硫黄の含有率の高い試料を分析する場合には,特に硫黄の含有率が試料中の硫黄含有率と近
似した標準物質を用いる。
W0 S0
f2=
V03−V4 100
ここに, f2 : よう素酸カリウム標準液1 mLに相当する硫黄の質量を示す換
算係数(g/mL)
W0 : 標準物質はかりとり量(g)
S0 : 標準物質中の硫黄の含有率[%(質量分率)]
V03 : 標準物質を用いて得たよう素酸カリウム標準液の使用量(mL)
V4 : 9.2.6で得たよう素酸カリウム標準液の使用量(mL)
9.2.5 定量操作
定量操作は,予備操作を行った後,次の手順によって行う。
a) 洗浄,乾燥したガラス製キャップ(g)を磁器燃焼管(e)の出口部にはめ,約80 mmの高さまで吸収
液(9.2.2.1)を入れた吸収瓶(h)を接続する。
b) はかりとった試料(必要に応じて助燃剤を添加する。)を燃焼ボートの中央部に入れ,燃焼ボートカバ
ーをかぶせ,燃焼管(e)の加熱部の中央に挿入し,栓をして密封する。
c) 9.2.4の予備試験と同一の条件で一定時間加熱し,この間に吸収液が上昇し始めた場合には,吸収液が
常に元の位置にくるように,僅かに酸素を通気する。次に,直ちに予備試験条件で酸素を通気し,燃
焼によって生じたガスを吸収液中に導く。
d) 色調対照液と比較しながら,試料の燃焼中に絶えずよう素酸カリウム標準液(9.2.2.2)を滴加して,
最初の色調を保持させ,退色しなくなった点を終点とし,よう素酸カリウム標準液の使用量を求める。
9.2.6 空試験
試料を入れない燃焼ボートを用いて,9.2.5のa) d) の手順に従って試料と同じ操作を,試料と併行し
て行う。助燃剤を使用する場合には,試料に添加するのと同じ助燃剤を同量はかりとった燃焼ボートを用
いて行う。
9.2.7 計算
試料中の硫黄の含有率を,次の式によって算出する。
V3−V4 f2
S2=
W2
ここに, S2 : 試料中の硫黄の含有率[%(質量分率)]
V3 : 9.2.5 d) で得たよう素酸カリウム標準液の使用量(mL)
V4 : 9.2.6で得たよう素酸カリウム標準液の使用量(mL)
f2 : 9.2.4で求めたよう素酸カリウム標準液1 mLに相当する硫黄
の質量を示す換算係数(g/mL)
――――― [JIS Z 2616 pdf 16] ―――――
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W2 : 試料はかりとり量(g)
9.3 電気伝導率法
9.3.1 概要
試料を酸素気流中で燃焼させ,硫黄を酸化して硫黄酸化物とし,これを一定量の硫酸酸性の過酸化水素
に吸収させて硫酸とし,吸収前後の酸性溶液の電気伝導率の変化を測定する。
なお,電気伝導率の測定では温度の影響が大きいので,吸収液は必要な範囲で十分に恒温を保つ必要が
あり,また,昇華しやすい金属酸化物,例えば,モリブデンを含む試料では,吸収液中に酸化モリブデン
が混入し,モリブデン酸となり電気伝導率測定に影響し,誤差を生じる原因となるので注意する必要があ
る。
9.3.2 試薬
試薬は,次による。
9.3.2.1 吸収液 0.05 mol/L硫酸100 mLに,過酸化水素 2.5 mLを加え,水で500 mLにうすめる。
9.3.3 装置の組立て
装置の組立ては,7.1に基づき,次による。電気伝導率法の装置構成の例を,図4に示す。
a 酸素ボンベ f 磁器燃焼管 k 自動ビュレット
b 流量計 g 集じん管 l 貯液槽
c 酸化管 h 吸収管 m 定量ポンプ
d 硫黄酸化物吸収管 i 脱気管 n コック
e 管状電気抵抗加熱炉 j 電気伝導率測定セル
図4−電気伝導率法の装置構成の例
9.3.3.1 酸素精製部 酸素中の硫黄酸化物を除去する吸収管を設ける。硫黄酸化物吸収管(d)にはソー
ダ石灰を詰める。
9.3.3.2 試料燃焼部 管状電気抵抗加熱炉(e)を用いる。磁器燃焼管(f)の入口は,ここから過剰の酸
素を放出し,空気が管内に侵入するのを防ぐようにすれば開放してもよい。この場合には,一定の割合で
燃焼ガスを吸収管(h)内に送り込むための定量ポンプ(m)を用いる必要がある。
9.3.3.3 燃焼ガス精製部 集じん管(g)には石英ガラスウールを詰める。
9.3.3.4 硫黄酸化物測定部 図5に電気伝導率法の測定セルの例を示す。この測定セルは,電気伝導率測
定用の電極を封入した参照用の測定セル(以下,参照セルという。)(E),試料用の測定セル(以下,試料
セルという。)(C),硫黄酸化物吸収管(B)及び脱気管(F)から構成し,それぞれ恒温槽(A)に浸す。
一定量の吸収液(9.3.2.1)を参照セルを経て,吸収管,試料セル及び脱気管に入れる。吸収液の補給・排
――――― [JIS Z 2616 pdf 17] ―――――
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出は,コック(又は電磁弁)(G)によって行う。燃焼ガスは,吸収管,脱気管を経て定量ポンプへ送られ,
この間吸収液は吸収管,脱気管及び試料セルを循環する。測定回路は,ホイートストンブリッジ回路,直
線化回路などから成り,硫黄酸化物の吸収によって生じた電気伝導率の変化を,硫黄の量に対応した値と
して指示計又は記録計に,指示又は記録する。指示計又は記録計は,試料量を指定した場合には,硫黄の
含有率を直示するものが望ましい。図4の集じん管(g)の後に分流器を置くことがある。分流器は,硫
黄の含有率が高い場合,分析を迅速に行う場合,炭素及び硫黄を同時定量する場合などに用いる。分流比
が正確に1/10,1/25,1/50などになる分流器を選択することが望ましい。分流比は定量部出口のガス流量
を計測して,流量の比を算出して求める。
A 恒温槽 E 参照用の電気伝導率測定セル(参照セル)
B 硫黄酸化物吸収管 F 脱気管
C 試料の電気伝導率測定セル(試料セル) G コック
D 吸収液の恒温用蛇管
図5−電気伝導率法の測定セルの例
注記 市販の製品には,燃焼ガスを分流し,一方を硫黄の定量部へ,他方をJIS Z 2615の9.4.3.3の燃
焼ガス精製部及び9.4.3.4の炭素酸化物測定部に送り,定量操作(9.3.5)以下に従って操作する
と,炭素及び硫黄の同時定量ができるものがある。この場合には,炭素及び硫黄の含有率は燃
焼ガスの分流比によって補正できる。
9.3.4 予備操作
予備操作は,次の手順によって行う。
a) 電源を入れ,各部が十分に安定した後,酸素を通気して装置の気密性を確認する。磁器燃焼管及び恒
温槽を指定の温度に保つ。
b) 酸素を指定された流量(例えば,2 L/min)で送りながら試料セル及び参照セルに一定量の吸収液
(9.3.2.1)を入れ,コックを閉じる。約10分間酸素を送った後,電気伝導率を測定し,3分間後にそ
の変化がないことを確かめる。変化があれば,酸素を更に約10分間送った後,電気伝導率を測定し,
それでも一定にならなければ,吸収液を新しいものと取り替える。
c) 次に,指示計又は記録計のゼロ点を調節する。
――――― [JIS Z 2616 pdf 18] ―――――
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d) 試料の代わりに,試料と同程度の硫黄含有率の標準物質を用いて,9.3.5のa) d) の手順に従って操
作し,次の式によって換算係数を求める3)。
W0 R S0
K1=
A0−B1 100
ここに, K1 : 指示値を硫黄の量(g)に換算するための係数
W0 : 標準物質はかりとり量(g)
R : 分流比
S0 : 標準物質中の硫黄の含有率[%(質量分率)]
A0 : 標準物質を用いて得た指示値
B1 : 9.3.6で得た指示値
注3) 市販の装置には,試料はかりとり量及び空試験値を補正し,硫黄の含有率を直読できるもの
がある。この場合には,指示値が既知の硫黄の含有率と一致するように調節できる。
9.3.5 定量操作
定量操作は,予備操作を行った後,次の手順によって行う。
a) 試料(必要に応じて助燃剤を添加する。)を入れた燃焼ボートを磁器燃焼管の中央部に挿入する。
b) 直ちに気密になるように栓を施し,指定された流量で酸素を通気し,試料を燃焼させる。
c) 発生した燃焼ガスを吸収管に送り,硫黄酸化物を吸収させる。
d) 記録計又は指示計が一定値を示したときの値を読み取る。
9.3.6 空試験
試料を入れない燃焼ボートを用いて,9.3.5のa) d) の手順に従って試料と同じ操作を,試料と併行し
て行う。
9.3.7 計算
試料中の硫黄の含有率を,次の式によって算出する。
A1−B1 K1
S3=
W3
ここに, S3 : 試料中の硫黄の含有率[%(質量分率)]
A1 : 9.3.5 d) で得た指示値
B1 : 9.3.6で得た指示値
K1 : 9.3.4で求めた換算係数
W3 : 試料はかりとり量(g)
9.4 電量法
9.4.1 概要
試料を酸素気流中で燃焼させ,硫黄を酸化して硫黄酸化物とし,一定のpHにした吸収液に吸収させる。
吸収によって減少したpHを,電気分解によって元のpHに戻すために要する電気量として測定する。
なお,この方法は,電気分解によって中和を行うので滴定液を必要とせず,自動的に中和が行われ,電
気量は硫黄の量として数字で表示される装置が多く,簡便に精度よく定量できる特徴がある。ただし,中
和滴定法の妨害物質が吸収液に混入すると誤差を生じることに注意する必要がある。
9.4.2 試薬
試薬は,次による。
9.4.2.1 過酸化水素
9.4.2.2 陰極液(吸収液) 使用する装置で指定されているものを調製する。通常,硫酸ナトリウム20 g
を水に溶解して100 mLとしたものを用いる。
――――― [JIS Z 2616 pdf 19] ―――――
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9.4.2.3 陽極液 使用する装置で指定されているものを調製する。通常,陽極室に水100 mLを入れ,硫
酸ナトリウム約30 gを加えて素早くかき混ぜ,飽和溶液として用いる。
9.4.2.4 参照液 使用する装置で指定されているものを調製する。通常,9.4.2.2の陰極液(吸収液)100 mL
に塩化ナトリウム24 gを加え,十分にかき混ぜて溶解したものを用いる。
9.4.3 装置の組立て
装置の組立ては,7.1に基づき,次による。電量法の装置構成の例を,図6に示す。
a 酸素ボンベ f 高周波誘導加熱炉 k 電解セル
b 硫黄酸化物吸収管 g 燃焼管 l 過酸化水素槽
c 脱水管 h 集じん管 m 循環ポンプ
d 圧力調整器 i 逆流防止弁
e 流量計 j 冷却管
図6−電量法の装置構成の例
9.4.3.1 酸素精製部 硫黄酸化物吸収管(b)にはソーダ石灰又は粒状水酸化ナトリウムを,脱水管(c)
には過塩素酸マグネシウムを詰める。逆流防止用の酸素は,精製しなくてもよい。
9.4.3.2 試料燃焼部 高周波誘導加熱炉に用いる燃焼管の例を,図7に示す。
9.4.3.3 燃焼ガス精製部 集じん管(h)には石英ガラスウールを詰める。
9.4.3.4 硫黄酸化物測定部 硫黄酸化物測定部は,次による。
a) 集じん管(h)の上部に逆流防止弁(i),逆流防止用酸素入口及び燃焼ガス出口を取り付ける。
b) 燃焼ガス出口と電解セル(k)との間には冷却管(j)を取り付ける。
c) 燃焼ガス出口には吸収液還流管を取り付け,陰極室の吸収液を循環させる。通常,吸収液の循環速度
が毎分80100 mLとなる循環ポンプ(m)を用いる。
d) 電解セルの例を,図8に示す。電解セルは,陰極室,陽極室及び参照室から構成され,各室は多孔板
隔膜で接続する。陰極室には電解用白金電極4),pH測定用ガラス電極及びかき混ぜ機を,陽極室には
電解用白金電極4)を,参照室には参照電極を,それぞれ取り付ける。参照電極には,一般に銀・塩化
銀電極を用いる。陰極室には陰極液(吸収液)(9.4.2.2)5)を入れる。陽極室には陽極液(9.4.2.3)を
入れる。陽極液は,白金電極の10 mm上まで加え,硫酸ナトリウムの結晶が底部に十分に残っていな
ければならない。参照室には参照液(9.4.2.4)を入れる。
注4) 白金電極の大きさは,少なくとも2 cm2以上とすることが望ましい。
――――― [JIS Z 2616 pdf 20] ―――――
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JIS Z 2616:2015の国際規格 ICS 分類一覧
JIS Z 2616:2015の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISK0050:2019
- 化学分析方法通則
- JISK0113:2005
- 電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
- JISK0130:2008
- 電気伝導率測定方法通則
- JISK0211:2013
- 分析化学用語(基礎部門)
- JISK0212:2016
- 分析化学用語(光学部門)
- JISK0213:2014
- 分析化学用語(電気化学部門)
- JISK0215:2016
- 分析化学用語(分析機器部門)
- JISK0557:1998
- 用水・排水の試験に用いる水
- JISK1101:2017
- 酸素
- JISK8001:2017
- 試薬試験方法通則
- JISR1306:1987
- 化学分析用磁器燃焼ボート
- JISR1307:1995
- 化学分析用磁器燃焼管
- JISZ2615:2015
- 金属材料の炭素定量方法通則
- JISZ8402-1:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第1部:一般的な原理及び定義
- JISZ8402-2:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第2部:標準測定方法の併行精度及び再現精度を求めるための基本的方法
- JISZ8402-3:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第3部:標準測定方法の中間精度
- JISZ8402-4:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第4部:標準測定方法の真度を求めるための基本的方法
- JISZ8402-5:2002
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第5部:標準測定方法の精度を求めるための代替法
- JISZ8402-6:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第6部:精確さに関する値の実用的な使い方
- JISZ8801-1:2019
- 試験用ふるい―第1部:金属製網ふるい