JIS Z 2616:2015 金属材料の硫黄定量方法通則 | ページ 5

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注5) 陰極液(吸収液)(9.4.2.2)は,汚染した場合は更新する。
e) 電解セルの上部に過酸化水素の槽を設け,陰極室に一定の割合で過酸化水素を滴加できるように,タ
イマーを付ける。通常,約3秒間に過酸化水素2滴が滴下するように調節する。
f) 測定回路は,電解電流パルス発生回路,pH測定回路,パルス数制御回路などから構成する。電解電流
を一定の大きさの電気量6)のパルスとして供給する。陰極室の吸収液のpHが設定値からずれるとパル
スの発生を開始し,ずれが大きい間はパルス数を多くし,ずれが少なくなるとパルス数を少なくし,
設定値と一致するとパルスの発生を停止する。
注6) 市販の装置では,一般に,1パルス当たりの電気量が3 mC(Cはクーロンを示す。),すなわ
ち硫黄0.5 歛 するように設計されている。
g) この間に発生したパルスの全数を,硫黄の量に対応した値として指示計に指示させる。指示計は,試
料の量を指定する場合に,硫黄の含有率を直示するものが望ましい。図6の集じん管(h)の後に分流
器を置くことがある。分流器は,硫黄の含有率が高い場合,分析を迅速に行う場合,炭素及び硫黄を
同時定量する場合などに用いる。分流比が正確に1/10,1/25,1/50になる分流器を選択することが望
ましい。分流比は定量部出口のガス流量を計測して,流量の比を算出して求める。
図7−電量法用高周波誘導加熱炉燃焼管の例 図8−電解セルの例
9.4.4 予備操作
予備操作は,次の手順によって行う。
a) 電源を入れ,各部が十分に安定した後,酸素を通気して装置の気密性を確認する。
b) 電解セルの各室に指定どおりの高さまで,それぞれの溶液が入っていることを確かめた後,燃焼用酸
素を毎分1 500 mL,逆流防止用酸素は毎分300400 mLの指定した割合で供給し,陰極室内の陰極液
(吸収液)のかき混ぜ及び吸収液の循環を行い,冷却水を毎分80 mLで流す。過酸化水素20滴を加
え,タイマーを作動させて過酸化水素を自動的に補給する。
c) 陰極液(吸収液)を電解し,そのpHを45の一定値に設定し7),指示計の指示値をゼロに調節する。
注7) パルスを用いて電解する装置の中には,設定pHが直接読み取れないものがある。この場合
には,所定の操作に従ってpHを設定できる。
d) 試料と同種の金属の標準物質を用い,9.4.5のa) c)の手順に従って操作し,次のいずれかの式によっ

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て換算係数を求める3)[注3)は,9.3.4の注3)を参照]。ただし,初めから2,3番目までの指示値は採
用しない。
1) 9.4.6で標準物質を用いて操作した場合
R
(W0S0−W00S00 )
K2=
100
( A0−B2 )
ここに, K2 : 指示値を硫黄の量(g)に換算するための係数
W0 : d) で用いた標準物質はかりとり量(g)
S0 : d) で用いた標準物質中の硫黄の含有率[%(質量分率)]
W00 : 9.4.6で用いた標準物質はかりとり量(g)
S00 : 9.4.6で用いた標準物質中の硫黄の含有率[%(質量分率)]
R : 分流比
A0 : d) で用いた標準物質で得た指示値
B2 : 9.4.6で用いた標準物質で得た指示値
2) 9.4.6で助燃剤を用いて操作した場合
W0S0R
K=
2
( A0 B 100
2)
ここに, K2 : 指示値を硫黄の量(g)に換算するための係数
W0 : d) で用いた標準物質はかりとり量(g)
S0 : d) で用いた標準物質中の硫黄の含有率[%(質量分率)]
R : 分流比
A0 : d) で用いた標準物質で得た指示値
B2 : 9.4.6で得た指示値(空試験値)
9.4.5 定量操作
定量操作は,予備操作を行った後,次の手順によって行う。
a) 試料(必要に応じて助燃剤を添加する。)を入れた燃焼るつぼに蓋をし,受台に置き,燃焼管に挿入し
て気密になるように保持する。
b) 高周波誘導加熱炉を作動させ,試料を燃焼させる。発生した燃焼ガスを陰極室に送り,陰極液(吸収
液)中に硫黄酸化物と同時に吸収された燃焼ガス中の二酸化炭素を追い出すのに必要な時間(通常,5,
6分間)後に電解を始める。
c) 指示値が一定となったとき高周波誘導加熱を止め8),指示値を読み取る。
注8) 市販の装置では,燃焼タイマーの設定によって,加熱開始,加熱停止などの操作を自動的に
行うものがある。
9.4.6 空試験
助燃剤を使用しない場合,空の燃焼るつぼだけでは高周波が誘導されないので,試料の代わりに,硫黄
の含有率が低く,かつ,その含有率が既知の標準物質を試料と同量はかりとった燃焼るつぼを用いて,9.4.5
のa) c) の手順に従って試料と同じ操作を,試料と併行して行って得た指示値から,標準物質の既知の硫
黄の含有率から次の式によって換算した指示値を差し引いて空試験値とする。
助燃剤を使用する場合には,試料に添加するのと同じ助燃剤を同量はかりとった燃焼るつぼを用いて,
9.4.5のa) c) の手順に従って試料と同じ操作を,試料と併行して行う。
W00 S00
B=
00
K2 100
ここに, B00 : 標準物質の硫黄の含有率から換算した指示値
W00 : 空試験で用いた標準物質はかりとり量(g)
S00 : 空試験で用いた標準物質中の硫黄の含有率[%(質量分率)]

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K2 : 9.4.4で求めた換算係数
9.4.7 計算
試料中の硫黄の含有率を,次の式によって算出する。
(A2−B2 ) K2
S4= 100
W4 R
ここに, S4 : 試料中の硫黄の含有率[%(質量分率)]
A2 : 試料を用いて9.4.5で得た指示値
B2 : 9.4.6で得た指示値
K2 : 9.4.4で求めた換算係数
W4 : 試料はかりとり量(g)
R : 分流比

9.5 赤外線吸収法

9.5.1  概要
試料を酸素気流中で燃焼させ,硫黄を酸化して二酸化硫黄とし,これを酸素とともに赤外線吸収検出器
に送り,二酸化硫黄による赤外線吸収量を連続測定して積分することによって硫黄量を測定する。
なお,この方法は,高濃度から微量域の硫黄定量に幅広く適用できる利点がある。市販の装置の多くは,
JIS Z 2615の9.7(赤外線吸収法)の機能を併置したもので炭素及び硫黄を同時に定量できる。
9.5.2 装置の組立て
装置の組立ては,7.1に基づき,次による。赤外線吸収法の装置構成の例を,図9に示す。
a 酸素ボンベ e1,e2 脱水管 i 金属製集じん管
b 流量計 f 圧力調整器及びバルブ j 集じん管
c 圧力計 g 高周波誘導加熱炉 k 赤外線吸収検出器
d 二酸化硫黄吸収管 h 燃焼管
図9−赤外線吸収法(高周波誘導加熱炉)の装置構成の例
9.5.2.1 酸素精製部 二酸化硫黄吸収管(d)にはシリカゲル,雲母などの無機質の支持体に水酸化ナト
リウムを含浸させたもの,粒状の水酸化ナトリウム,ソーダ石灰などを詰め,脱水管(e1)には過塩素酸
マグネシウムを詰める。圧力調整器及びバルブ(f)によって一定の圧力に保ち,燃焼管(h)を通り,赤
外線吸収検出器(k)の試料セル9)に送る。燃焼管の酸素は,流路切換器によって加熱前には流路外にパー
ジし,測定開始(加熱)時には赤外線吸収検出器(k)側に流路を切り換える。
注9) 市販の装置には,赤外線吸収検出器の対照セルを用いるものがある。

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9.5.2.2 試料燃焼部 8.6の燃焼管及び加熱炉を用いる。
9.5.2.3 燃焼ガス精製部 脱水管(e2)には過塩素酸マグネシウムを,集じん管(j)には石英ガラスウー
ルを詰める。
9.5.2.4 硫黄酸化物測定部 赤外線吸収検出器は,測定光路,赤外線発生源(IRソース),試料セル,検
出部などから構成され,二酸化硫黄の赤外線吸収量を測定できるものを用いる。その測定回路は,直線化
回路,演算回路などから構成する。赤外線吸収検出器から取り出した電気信号を,二酸化硫黄の量と直線
関係に変換し,硫黄の量に比例した電圧を指示計に供給する。指示計は,試料はかりとり量を指定する場
合には,硫黄の含有率を直読できることが望ましい。赤外線吸収検出器(k)の例を,図10に示す。
注記 市販の装置には,炭素酸化物の検出器及び炭素用の指示計をもち,炭素との同時定量ができる
ものがある。
図10−赤外線吸収検出器の例
9.5.3 予備操作
予備操作は,次の手順によって行う。
a) 電源を入れ,各部が十分に安定した後,酸素を通気して装置の気密性を確認する。
b) 装置指定の圧力及び流量で酸素を送入し,指示計のゼロ点などの調節を行う。
c) 試料と同程度の硫黄の含有率の標準物質を用い,9.5.4の手順に従って操作し,次のいずれかの式によ
って換算係数を求める3)[注3)は,9.3.4の注3)を参照]。
1) 9.5.5で標準物質を用いて操作した場合
W0S0−W00S00
K3=
(A0−B3 )100
ここに, K3 : 指示値を硫黄の量(g)に換算するための係数
W0 : c) で用いた標準物質はかりとり量(g)
S0 : c) で用いた標準物質中の硫黄の含有率[%(質量分率)]
W00 : 9.5.5で用いた標準物質はかりとり量(g)
S00 : 9.5.5で用いた標準物質中の硫黄の含有率[%(質量分率)]
A0 : c) で用いた標準物質を用いて得た指示値
B3 : 9.5.5で用いた標準物質で得た指示値
2) 9.5.5で助燃剤を用いて操作した場合

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W0S0
K3=
(A0−B3 )100
ここに, K3 : 指示値を硫黄の量(g)に換算するための係数
W0 : c) で用いた標準物質はかりとり量(g)
S0 : c) で用いた標準物質中の硫黄の含有率[%(質量分率)]
A0 : c) で用いた標準物質を用いて得た指示値
B3 : 9.5.5で得た指示値(空試験値)
9.5.4 定量操作
定量操作は,予備操作を行った後,次のいずれかの手順によって行う。
a) 高周波誘導加熱炉の場合
1) はかりとった試料(必要に応じて助燃剤を添加する。)を入れた燃焼るつぼを受台に置き,燃焼管内
に挿入し,気密になるように燃焼管を閉じる。
2) 高周波誘導加熱炉(g)を作動させ,試料を燃焼させる。
3) 発生した燃焼ガスは,燃焼ガス精製部を経て赤外線吸収検出器(k)の試料セルに送る。
4) 指示値が徐々に増加し,指示計が一定値を示したとき測定を終了し,指示値を読み取る。
b) 管状電気抵抗加熱炉の場合
1) はかりとった試料(必要に応じて助燃剤を添加する。)を入れた燃焼ボートを,燃焼管の中央部に挿
入し,気密になるように燃焼管を閉じる。
2) 管状電気抵抗加熱炉での加熱によって試料を燃焼させる。
3) 発生した燃焼ガスは,燃焼ガス精製部を経て赤外線吸収検出器(k)の試料セルに送る。
4) 指示値が徐々に増加し,指示計が一定値を示したとき測定を終了し,指示値を読み取る。
9.5.5 空試験
助燃剤を使用する場合には,試料に添加するのと同じ助燃剤を同量はかりとった燃焼るつぼ又は燃焼ボ
ートを用いて,9.5.4 a) の1)4)又は9.5.4 b) の1)4) の手順に従って試料と同じ操作を,試料と併行し
て行う。
助燃剤を使用しない場合,空の燃焼るつぼだけでは高周波が誘導されないので,試料の代わりに,硫黄
の含有率が低く,かつ,その含有率が既知の標準物質を試料と同量はかりとった燃焼るつぼを用いて,9.5.4
a) の1)4) の手順に従って試料と同じ操作を,試料と併行して行って得た指示値から,標準物質の既知
の硫黄の含有率から次の式によって換算した指示値を差し引いて空試験値とする。
管状電気抵抗加熱炉の場合も同様であり,この場合は燃焼ボートを使用する。
W00 S00
B=
00
K3 100
ここに, B00 : 標準物質の硫黄の含有率から換算した指示値
W00 : 空試験で用いた標準物質はかりとり量(g)
S00 : 空試験で用いた標準物質中の硫黄の含有率[%(質量分率)]
K3 : 9.5.3で求めた換算係数
9.5.6 計算
試料中の硫黄の含有率を,次の式によって算出する。
A3−B3 K3
S5= 100
W5
ここに, S5 : 試料中の硫黄の含有率[%(質量分率)]
A3 : 9.5.4 a) 4) 又は9.5.4 b) 4) で得た指示値

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JIS Z 2616:2015の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 2616:2015の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISK0050:2019
化学分析方法通則
JISK0113:2005
電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JISK0130:2008
電気伝導率測定方法通則
JISK0211:2013
分析化学用語(基礎部門)
JISK0212:2016
分析化学用語(光学部門)
JISK0213:2014
分析化学用語(電気化学部門)
JISK0215:2016
分析化学用語(分析機器部門)
JISK0557:1998
用水・排水の試験に用いる水
JISK1101:2017
酸素
JISK8001:2017
試薬試験方法通則
JISR1306:1987
化学分析用磁器燃焼ボート
JISR1307:1995
化学分析用磁器燃焼管
JISZ2615:2015
金属材料の炭素定量方法通則
JISZ8402-1:1999
測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第1部:一般的な原理及び定義
JISZ8402-2:1999
測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第2部:標準測定方法の併行精度及び再現精度を求めるための基本的方法
JISZ8402-3:1999
測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第3部:標準測定方法の中間精度
JISZ8402-4:1999
測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第4部:標準測定方法の真度を求めるための基本的方法
JISZ8402-5:2002
測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第5部:標準測定方法の精度を求めるための代替法
JISZ8402-6:1999
測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第6部:精確さに関する値の実用的な使い方
JISZ8801-1:2019
試験用ふるい―第1部:金属製網ふるい