JIS K 0110:2018 排ガス中の一酸化二窒素分析方法 | ページ 3

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注4) ドーパントガスは,イオン化され生成された自由電子によって,検出器に基底電流を流す
ために,非放射線方式だけに用いられる。
e) データ処理装置 データ処理装置は,クロマトグラム,保持時間,ピーク面積,ピーク高さなどを測
定し表示できなければならない。データ処理ソフトによる場合は,処理が正しい結果を与えることが
検証されたものを用いる。
f) 記録装置 記録装置は,クロマトグラムを記録するものであり,必要に応じて取り付ける。
7.1.4 ガスクロマトグラフの操作条件
7.1.4.1 試料導入部の条件
試料導入部の条件は,用いるカラムの種類及び機器によって最適条件が異なる場合があるため,各機器
の取扱説明書を参考に最適化を行う。設定条件を,次に示す。
a) 充カラム及びガラス中空カラム
1) ガスタイトシリンジによる場合 試料導入部温度は,130 ℃程度に設定する。試料注入量は,0.13
mL程度とする。
2) 気体試料導入装置による場合 気体試料導入装置の温度は,室温とする。カラム温度が気体試料導
入装置の温度に影響を与える場合は,200 ℃程度まで設定してもよい。試料注入量は,0.13 mL程
度とする。
b) キャピラリーカラム
1) ガスタイトシリンジによる場合 試料導入部温度は,130 ℃程度に設定する。試料注入量は,0.13
mL程度とする。カラムの内径に応じて適宜スプリット注入を行う。
2) 気体試料導入装置による場合 試料導入部温度及び気体試料導入装置の温度は,室温とする。カラ
ム温度が試料導入部及び気体試料導入装置の温度に影響を与える場合は,200 ℃程度まで設定して
もよい。試料注入量は,0.13 mL程度とする。カラムの内径に応じて適宜スプリット注入を行う。
7.1.4.2 カラム条件
カラム条件は,7.1.3.2 a) のカラムの分離性能が十分発揮できるカラム温度及びキャリヤーガス流量とす
る。特に共存物質の影響を受けやすいため,二酸化炭素などと一酸化二窒素との間で十分なピークの分離
を確保しておかなければならない。カラム条件を,表3に示す。
表3−カラム条件
カラムの種類 分析条件
カラム槽温度 ℃ a) キャリヤーガス 流量(mL/min)
充カラム 35200 窒素又はヘリウム 1560
ガラス中空カラム 35200 窒素又はヘリウム 1040
キャピラリーカラム 35200 窒素又はヘリウム 115
注a) キャピラリーカラムを使用する場合,昇温分析が望ましい。
7.1.4.3 カラム槽及び検出器の操作条件
各機器の温度及びガス流量を最適な条件に設定する。用いるカラムの種類及び機器によって最適条件が
異なる場合があるので,各機器の取扱説明書を参考に最適化する。操作条件の例を,次に示す。
a) カラム槽温度 カラム槽温度は,35200 ℃
b) 試料導入部温度 試料導入部温度は,100200 ℃

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c) 検出器温度5) 検出器温度は,100350 ℃
d) 検出器付加ガス流量 検出器付加ガス流量は,15150 mL/min
e) ドーパントガス流量 非放射線方式用ドーパントガス流量は,110 mL/min
注5) 検出器温度は,高温設定の方が感度のよい場合がある。また,検出器の汚れなどによって感
度が変動することがあるので注意する。
7.1.5 定量操作
定量操作は,次による。
a) ガスクロマトグラフを測定可能な状態にし,7.1.4の操作条件に合わせてカラム温度を設定し,カラム
にキャリヤーガスを適正な流量で流しておく。
b) ガスクロマトグラフへの試料ガスの導入は,次のいずれかによる。
1) ガスタイトシリンジによる場合 注射筒又は捕集バッグの開口部をシリコーンゴムで密栓をし,ガ
スタイトシリンジに取り付けたニードル(針)を栓に貫通させ,試料ガスの採取及び大気中放出を
何回か繰り返した後(共洗い),試料ガスを採取し,ガスクロマトグラフに直接導入する。
2) 気体試料導入装置による場合 図4の試料導入の状態で,捕集バッグ又は捕集瓶の開口部を図4の
気体試料導入装置の試料採取部(試料IN)に接続する。気体試料導入装置のバルブを切替えるとと
もに,計量管容量の5倍以上の試料ガスの量を計量管に通過させて,計量管を試料ガスで満たした
後,気体試料導入装置のバルブを切替えて,計量管中の試料ガスをガスクロマトグラフに導入する。
c) 試料ガスを導入後,目的の試料成分が溶出するまでクロマトグラムを記録する。
d) クロマトグラム上の一酸化二窒素に相当するピークについて,ピーク面積又はピーク高さを求める。
e) 空試験として試料と同量の希釈ガス6) などを用いてa) d) の操作を行い,試料ガスについてd) で得
たピーク面積又はピーク高さを補正7) する。
なお,大気中には一酸化二窒素が約0.3 ppm存在しているため,大気を用いない。
f) 7.1.6の検量線によって,試料ガス中の一酸化二窒素の質量(ng)を求める。
注6) 空試験として用いる希釈ガスは,一酸化二窒素が定量下限値に影響を与えない濃度以下であ
ることを確認した高純度窒素又は精製空気を用いるとよい。
また,使用する高純度窒素又は精製空気を購入する場合は,一酸化二窒素が含まれていな
いこと,市販されている空気精製器を用いて精製空気を作製する場合は,性能確認項目に一
酸化二窒素濃度の保証値が記載されていることを確認するとよい。
7) 空試験値が定量下限値を超える場合は,分析環境及び分析装置などを十分に点検して再測定
を行うとよい。
7.1.6 検量線の作成
検量線の作成は,次による。
a) 検量線の作成は,試料ガスの測定時と同じ室温及び気圧下で行う。
b) ガスクロマトグラフの操作条件に従って装置を設定する。
c) 捕集バッグ,真空捕集瓶などに適切な濃度の検量線用ガスを調製したもの8),又は市販の標準ガスを
7.1.5 b) の操作によって導入し,クロマトグラムを記録する。この操作は,1日の分析の始め又は分析
条件が変わったときには,少なくとも1回行うことが望ましい。
d) 検量線用ガス中の一酸化二窒素のピーク面積又はピーク高さを測定し,一酸化二窒素の質量(ng)と
ピーク面積又はピーク高さとの検量線を作成する。
注8) 希釈を行う場合,標準ガスの一部をシリンジなどで採取し,7.1.5 e) の希釈ガスが一定量入っ

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た捕集バッグなどに標準ガスを注入し,検出器の定量範囲内の濃度になるように希釈を行う
とよい。
7.1.7 一酸化二窒素濃度の算出
試料ガス中の一酸化二窒素の濃度は,次の式によって求める。
6 6
.0509 A 10 10
Nv
273.15 P
V
273.15 t 101.32
100 a
Nv Nv
100
A
Nw .1965 Nv
273.15 P
V
273.15 t 101.32
100 a
Nw Nw
100
ここに, Nv : 標準状態における乾き排ガス中の一酸化二窒素の体積分率
(vol ppm)
Nw : 標準状態における乾き排ガス中の一酸化二窒素の濃度
(mg/m3)
N'v : 標準状態における前処理済み排ガス中の一酸化二窒素の体
積分率(vol ppm)
N'w : 標準状態における前処理済み排ガス中の一酸化二窒素の濃
度(mg/m3)
A : 検量線で求めた分析用試料ガス中の一酸化二窒素の質量
(ng)
V : 試料ガス注入量(mL)
t : 試料ガス測定時の温度(℃)
P : 試料ガス測定時の大気圧(kPa)
a : 標準状態における乾き排ガス中の二酸化炭素の体積分率9)
(%)
0.509 : 一酸化二窒素1 mgに相当する一酸化二窒素の体積(mL)
1.965 : 一酸化二窒素1vol ppmに相当する質量濃度(mg/m3)
10−6 : 質量の単位をngからmgに変換する係数
106 : mL/mLをvol ppmへ変換する係数
273.15 : 0 ℃に対応する絶対温度(K)
101.32 : 標準大気圧(kPa)
注9) 標準状態における乾き排ガス中の二酸化炭素の体積分率は,JIS K 0301又はJIS B 7986によっ
て測定することができる。

7.2 ガスクロマトグラフィー質量分析法

7.2.1  一般
ガスクロマトグラフで分離された試料ガス中の一酸化二窒素は,電子イオン化法でイオン化され,アナ
ライザーで分離された後,質量スペクトルの検出によって定量する。
注記 ガスクロマトグラフィー質量分析法を用いて行う一酸化二窒素の測定条件の例を,附属書Aに
示す。
7.2.2 ガス類

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ヘリウム又は水素とし,純度が体積分率99.99 %以上のものを用いる。
7.2.3 装置及び器具
7.2.3.1 ガスクロマトグラフへの試料導入器具及び装置
ガスクロマトグラフへの試料導入器具及び装置は,7.1.3.1による。
7.2.3.2 ガスクロマトグラフ質量分析計の構成
ガスクロマトグラフ質量分析計の構成は,次による。
a) カラム カラムは,表2のキャピラリーカラムを用いる。
なお,同等以上の性能を示すものであれば,他のカラムを用いてもよい。
b) イオン化部 電子イオン化法(EI法)が可能なものを用いる。
c) アナライザー イオン化部で生じたイオンをm/z(質量電荷比)に従って分離可能なものを用いる。
アナライザーには一般的に四重極形がよく用いられる。
d) 検出部 イオンを検出できるものを用いる。検出器には一般的に二次電子増倍管が用いられる。
e) キャリヤーガス 7.2.2による。
f) データ処理装置 全イオン電流モニタリング(TICM)及び選択イオンモニタリング(SIM)又は同等
のイオン検出法で検出された質量スペクトル,保持時間などを測定・表示できるものを用いる。デー
タ処理ソフトによる場合は,処理が正しい結果を与えることが検証されたものを用いる。
g) 記録装置 記録装置は,質量スペクトルを記録するものとし,必要に応じて取り付ける。
7.2.4 ガスクロマトグラフ質量分析計の操作条件
7.2.4.1 試料導入部の条件
試料導入部の条件は,用いるカラムの種類及び機器によって最適条件が異なる場合があるため,各機器
の取扱説明書を参考に最適化する。設定条件を,次に示す。
a) ガスタイトシリンジによる場合 試料導入部温度は,130 ℃程度に設定する。試料注入量は,0.13 mL
程度とする。カラムの内径に応じて適宜スプリット注入を行う。
b) 気体試料導入装置による場合 試料導入部温度又は気体試料導入装置の温度は,室温とする。カラム
温度が試料導入部及び気体試料導入装置の温度に影響を与える場合は,200 ℃程度まで設定してもよ
い。試料注入量は,0.13 mL程度とする。カラムの内径に応じて適宜スプリット注入を行う。
7.2.4.2 カラム条件
カラム条件は,表3のキャピラリーカラムによる。
7.2.4.3 操作条件
操作条件を,次に示す。
a) キャピラリーカラム使用例 スチレン−ジビニルベンゼンポリマーを坦持したキャピラリーカラムで
内径0.32 mm,長さ25 m,膜厚10 mとパーティクルトラップ2.5 mとを接続したもの。
b) カラム槽温度 45 ℃(3分間保持)→(20 ℃/min)→100 ℃→(10 ℃/min)→120 ℃(1分間保持)
c) 注入口温度 130 ℃
d) キャリヤーガス流量 1.5 mL/min(ヘリウム)
e) 試料注入方法 スプリット(スプリット比1 : 10)
f) イオン源温度 230 ℃
g) イオン化電圧 70 eV
h) 検出法 全イオン電流モニタリング(TICM)及び選択イオンモニタリング(SIM)が行え,所定の定
量範囲に感度が調節できるもの。

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7.2.5 定量操作
定量操作は,次による。
a) ガスクロマトグラフを測定可能な状態にし,7.2.4の操作条件に合わせてカラム温度を設定し,カラム
にキャリヤーガスを適正な流量で流しておく。
b) ガスクロマトグラフへの分析試料ガスの導入は,7.1.5 b) による。
c) 試料ガスを導入後,ガスクロマトグラム又は選択イオンモニタリング(SIM)のクロマトグラムを記
録する。
d) クロマトグラム上の一酸化二窒素に相当するピークについて,ピーク面積を求める。
e) 空試験として試料と同量の希釈ガスなどを用いてa) d) の操作を行い,試料ガスについてd) で得た
ピーク面積を補正10) する。
なお,大気中には一酸化二窒素が約0.3 ppm存在しているため,大気を用いない。
f) 7.2.6の検量線又は関係線によって,試料ガス中の一酸化二窒素の質量(ng)を求める。
注10) 空試験値が定量下限値を超える場合は,分析環境,分析装置などを十分に点検して再測定を
行うことが望ましい。
7.2.6 検量線又は関係線の作成
検量線又は関係線の作成は,次のいずれかによる。
a) 内標準法 回収率の変動,試料導入量の変動など,測定時における各種の変動の影響を避け,正確な
定量値を得るためには,内標準法を用いるとよい。特に,定量値がごく微量の場合には,この方法に
よる。内標準物質には,キセノン又はクロロメタン(CH3Cl)などがある。内標準法の手順は,次に
よる。
1) 捕集バッグ,真空捕集瓶などに適切な濃度の検量線用ガスと一定濃度に調製した内標準物質とを
7.2.5 b) の操作によって導入する。
2) 一酸化二窒素及び内標準物質の保持時間をあらかじめ確認し,保持時間に相当する位置のそれぞれ
のピーク面積を読み取る。
3) 一酸化二窒素及び内標準物質特有のイオンの選択には表4の例を参照する。
4) 検出された一酸化二窒素と内標準物質とのピーク面積の比を求める。
5) 一酸化二窒素と内標準物質との質量(ng)の比に対する一酸化二窒素と内標準物質とのピーク面積
の比による関係線を作成する。関係線の作成は,試料測定時に行う。
b) 絶対検量線法 再現性の良い結果が得られる場合に用いることができる。
表4−ガスクロマトグラフ質量分析計の測定に用いるイオンの例
測定対象物質 定量イオン(m/z) 確認イオン(m/z)
一酸化二窒素 30 44 a)
内標準物質 定量イオン(m/z) 確認イオン(m/z)
キセノン 132 129
クロロメタン(CH3Cl) 50 52
注a) 共存成分による影響がない又は無視できる場合は,確認イオンを定量イオンとして用い
ることができる。
7.2.7 一酸化二窒素濃度の算出
試料ガス中の一酸化二窒素の濃度算出は,7.1.7による。

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