この規格ページの目次
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5.2 試薬
試薬は,次による。
5.2.1 水 JIS K 0557に規定するA3又はA4のもの。
5.2.2 洗浄液 硝酸(1+10)又は塩酸の(1+10)のもの。硝酸(1+10)は,JIS K 8541に規定する硝
酸の体積1と水の体積10とを混合する。塩酸(1+10)は,JIS K 8180に規定する塩酸の体積1と水の体
積10とを混合する。
5.2.3 酢酸ブチル JIS K 8377に規定するもの。
5.2.4 2,2,4-トリメチルペンタン JIS K 9703に規定するもの。以下,イソオクタンという。
5.2.5 よう素溶液 JIS K 8920に規定するよう素5 gをJIS K 8680に規定するトルエンに溶かし,全量を
100 mLに調製したもの。
5.2.6 TOMAC原液(体積分率10 %) 500 mLの全量フラスコに市販最上級品のTOMACの50 mLをは
かりとり,酢酸ブチルで標線までうすめたもの。この溶液は,褐色瓶に保存する。
5.2.7 TOMAC溶液(体積分率1 %) 1 Lの全量フラスコにTOMAC原液100 mLをはかりとり,酢酸ブ
チルで標線までうすめたもの。
5.2.8 鉛標準原液(Pb : 1.000 g/L) 市販最上級品の塩化鉛(II)を100105 ℃で1時間乾燥した後,デ
シケーター中で放冷したものから,0.268 4 gをはかりとり,あらかじめTOMAC原液150 mLを入れた200
mLの全量フラスコに入れて溶解した後,TOMAC原液で標線までうすめたもの。この溶液は,褐色瓶に保
存する。
5.2.9 一次鉛標準液(Pb : 0.200 g/L) 100 mLの全量フラスコに,全量ピペットを用いて鉛標準原液を
20 mLはかりとりTOMAC溶液で標線までうすめたもの。
5.2.10 二次鉛標準液 二次鉛標準液の調製は,表3に示す手順の違いによって,次のいずれかによる。
a) 5倍希釈法を用いる場合 100 mLの全量フラスコを3本用意し,一次鉛標準液を,全量ピペットを用
いてそれぞれ1 mL,3 mL及び5 mLずつ加えた後,TOMAC溶液を5 mLずつ加え,酢酸ブチルで標
線までうすめたもの。各二次鉛標準液の鉛量は,0.002 g/L,0.006 g/L及び0.010 g/Lとなる。
b) 10倍希釈法を用いる場合 100 mLの全量フラスコを6本用意し,一次鉛標準液を,全量ピペットを
用いてそれぞれ1 mL,2 mL,3 mL,5 mL,10 mL及び15 mLずつ加えた後,TOMAC溶液を5 mLず
つ加え,酢酸ブチルで標線までうすめたもの。各二次鉛標準液の鉛量は,0.002 g/L,0.004 g/L,0.006
g/L,0.010 g/L,0.020 g/L及び0.030 g/Lとなる。
5.2.11 アセチレン アセトンに溶解したアセチレンガスで,ボンベに充したもの。アセチレンボンベの
圧力が200 kPa以下になると,アセトンが流出することがあるので注意する。
5.2.12 空気 圧縮空気で,清浄なもの。
5.3 試験器
試験器は,次による。
なお,試験に用いるガラス器具は,試験に用いる前に洗浄液に24時間以上浸し,水で洗浄した後,乾燥
したものを用いる。
警告 硝酸は,有機化合物と反応して可燃性の硝酸エステルを生成する。有機化合物の付着したガラ
ス器具は,硝酸を用いた洗浄液に浸してはならない。
5.3.1 原子吸光分析装置 アセチレン−空気予混合バーナー及び鉛の中空陰極ランプを備え,波長283.3
nmにおける吸光度を測定できるもの。また,バックグラウンド補正機能を用いる場合は,次に示すいず
れかのものを用い,操作手順は試験器の取扱説明書による。
――――― [JIS K 2255 pdf 11] ―――――
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− 連続スペクトル光源補正方式
− ゼーマン分裂補正方式
− 非共鳴近接線補正方式
− 自己反転補正方式
なお,原子吸光分析についての一般事項は,JIS K 0121による。
5.3.2 全量ピペット JIS R 3505に規定する,呼び容量1 mL,2 mL,3 mL,5 mL,10 mL,15 mL及び
20 mLのもの。
5.3.3 全量フラスコ JIS R 3505に規定する,呼び容量50 mL,100 mL,200 mL,500 mL及び1 Lのも
の。
5.4 試験器の調整
原子吸光分析装置の調整は,次による。
a) ランプ電流,ガス流量及びスリット幅を分析装置の最適条件に設定する。バックグラウンド補正機能
を用いる場合は,当該試験器の取扱説明書による。
b) 測定波長は,283.3 nmに設定する。
c) フレームは,アセチレンと空気との混合比の値を小さくした少燃料フレームにし,イソオクタンの体
積1と酢酸ブチルの体積9とを混ぜた溶液を噴霧したとき,溶媒吸収がなくなるように調整する。機
種の違いによって溶媒吸収を完全になくすことができない場合には,溶媒吸収が最小になるように調
整する。溶媒吸収の調整には,バーナー高さについても最適な条件を選択しながら設定する。
バックグラウンド補正機能を用いる場合においても,有機溶媒吸収の影響を,バックグラウンド補
正法を用いて少なくすることができるが,試料溶液の有機溶媒の干渉を少なくするため,少燃料フレ
ームにする。
5.5 試料の採取方法及び調製方法
試料の採取方法及び調製方法は,次による。
a) 試料は,JIS K 2251に規定する一次試料の採取方法及び二次試料の調製方法,又はそれに準じた方法
によって採取し,調製する。
b) 試料は,JIS K 2258-1又はJIS K 2258-2に規定する蒸気圧(37.8 ℃)が44 kPa以上の試料については,
試験のために取り出すまで,密封した試料容器中で15 ℃±3 ℃に冷却しておかなければならない。
5.6 試験の手順
5.6.1 一般事項
試験の手順は,適用する範囲及びバックグラウンド補正機能の使用の有無の違いによって,表3のいず
れかを選択する。
――――― [JIS K 2255 pdf 12] ―――――
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表3−手順の種類
手順 適用する範囲 摘要 箇条番号
5倍希釈法 鉛分が0.0010.005 g/L a) バックグラウンド補正機能を用いる。 5.6.2
b) 検量線は,00.001 g/Lで,4点である。
10倍希釈法 鉛分が0.0010.02 g/L a) バックグラウンド補正機能の有無を問わない。 5.6.3
b) 検量線は,00.003 g/Lで,7点である。
なお,鉛分が0.005 g/L以下の場合は,検量線範囲を
00.000 6 g/Lにして,4点にしてもよい。
注記1 一般に,鉛分0 g/Lであっても酢酸ブチル及び試料中のガソリン成分などの有機化合物が波長283.3 nm
の光を吸収し(溶媒吸収),バックグラウンド吸収を示して試験を妨害する。このため,10倍希釈法で
は,少燃料フレームにすることによって妨害の程度を最小限にすることができる。5倍希釈法では,フ
レーム調整に加えて,バックグラウンド補正機能を用いることによって,溶媒吸収の影響の程度を最小
限にすることができる。
注記2 バックグラウンド補正機能又はフレーム調整を行った場合であっても,バックグラウンド吸収を完全に
除去することはできない。このため,鉛量が0 g/Lの検量線溶液を調製し,この溶液の吸収を空試験とす
ることによって,原点を通る検量線を作成することができる。
5.6.2 5倍希釈法
5.6.2.1 検量線用鉛標準液の調製
検量線用鉛標準液の調製は,次による。
a) 50 mLの全量フラスコ3本及び5.2.10 a)に規定する二次鉛標準液の鉛量0.002 g/L,0.006 g/L,0.010 g/L
を用意する。各々全量フラスコに酢酸ブチル約20 mL及びイソオクタン10 mLを加え,次いで全量ピ
ペットを用いて各濃度の二次鉛標準液を5 mLはかりとる。
b) 各々全量フラスコによう素溶液0.1 mL及びTOMAC溶液5 mLを加えてかき混ぜた後,酢酸ブチルを
標線まで加える。これらの検量線用鉛標準液は,不安定なため,調製後できるだけ速やかに用いる。
溶液の茶色が淡い黄色に変わった場合は,再調製する。各々の全量フラスコの鉛量は,0.000 2 g/L,
0.000 6 g/L及び0.001 0 g/Lである。
c) 別に50 mLの全量フラスコ1本を用意し,酢酸ブチル約20 mLを加え,次いで全量ピペットを用いて
イソオクタン10 mLを加えた後,よう素溶液0.1 mL及びTOMAC溶液5 mLを加えてかき混ぜた後,
酢酸ブチルを標線まで加える。この全量フラスコの鉛量は,0 g/Lである。
5.6.2.2 試料溶液の調製
試料溶液の調製は,次による。
a) 50 mLの全量フラスコに酢酸ブチル約20 mLを加え,更に,全量ピペットを用いて15 ℃±3 ℃の試
料10 mLを加えてかき混ぜる。
b) よう素溶液0.1 mLを加え,かき混ぜた後,1分間放置する。
c) OMAC溶液5 mLを加えてよく混合する。次に,酢酸ブチルを標線まで加える。この試料溶液は,不
安定なため,調製後できるだけ速やかに用いる。溶液の茶色が淡い黄色に変わった場合は,再調製す
る。
5.6.2.3 試料溶液の鉛量(g/L)の測定
試料溶液の鉛量の測定は,次による。
a) 5.4 c)に従ってフレームを調整した後,各検量線用鉛標準液及び試料溶液を順次噴霧し,波長283.3 nm
における吸光度を測定し,記録する。
多数の試料を連続して測定する場合には,適切な検量線用鉛標準液を試料と試料との間に適切な間
――――― [JIS K 2255 pdf 13] ―――――
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隔で噴霧し,その吸光度に変動のないことを確認する。
b) 各検量線用鉛標準液の吸光度から鉛量0 g/Lのときの吸光度を減じ,吸光度と鉛量(g/L)との関係を
作図し,検量線とする。検量線は,原点を通るように作図する。
c) 試料溶液の吸光度は,読み取った吸光度から検量線用鉛標準液の鉛量0 g/Lの吸光度を減じて求める。
試料溶液の鉛量(g/L)は,検量線を用いて,試料溶液の吸光度から求める。
5.6.3 10倍希釈法
5.6.3.1 検量線用鉛標準液の調製
検量線用鉛標準液の調製は,次による。
a) 50 mLの全量フラスコ6本を用意し,各々に酢酸ブチル約20 mL及びイソオクタン5 mLを加え,次
いで全量ピペットを用いて5.2.10 b)に規定する各濃度の二次鉛標準液を5 mLはかりとる。
b) 各々全量フラスコによう素溶液0.1 mL及びTOMAC溶液5 mLを加えてかき混ぜた後,酢酸ブチルを
標線まで加える。これらの検量線用鉛標準液は,不安定なため,調製後できるだけ速やかに用いる。
溶液の茶色が淡い黄色に変わった場合は,再調製する。各々の全量フラスコの鉛量は,0.000 2 g/L,
0.000 4 g/L,0.000 6 g/L,0.001 g/L,0.002 g/L及び0.003 g/Lである。
なお,試料の鉛分が0.005 g/L以下と予想できる場合は,50 mLの全量フラスコ3本を用意し,全量
フラスコの鉛量0.000 2 g/L,0.000 4 g/L及び0.000 6 g/Lを調製してもよい。
c) 別に50 mLの全量フラスコ1本を用意し,酢酸ブチル約20 mLを加え,次いでイソオクタン5 mLを
全量ピペットで加えた後,よう素溶液0.1 mL及びTOMAC溶液5 mLを加えてかき混ぜた後,酢酸ブ
チルを標線まで加える。この全量フラスコの鉛量は,0 g/Lである。
5.6.3.2 試料溶液の調製
試料溶液の調製は,次による。
a) 50 mLの全量フラスコに酢酸ブチル約20 mLを加え,更に,全量ピペットを用いて15 ℃±3 ℃の試
料5 mLを加えてかき混ぜる。
b) よう素溶液0.1 mLを加え,かき混ぜた後,1分間放置する。
c) OMAC溶液5 mLを加えてよく混合する。次に,酢酸ブチルを標線まで加える。この試料溶液は,不
安定なため,調製後できるだけ速やかに用いる。溶液の茶色が淡い黄色に変わった場合には,再調製
する。
5.6.3.3 試料溶液の鉛量(g/L)の測定
試料溶液の鉛量の測定は,5.6.2.3に準じる。
5.7 計算方法
鉛分(g/L)は,次の式によって算出する。
V2
CPb W
V1
ここに, CPb : 鉛分(g/L)
W : 検量線から求めた鉛量(g/L)
V1 : 試料のはかりとり量(mL)
V2 : 調製した試料溶液の量(mL)
5.8 結果の表し方
5.7で求めた鉛分(g/L)を,15 ℃における試料1 L当たりの鉛のグラム数(g/L)として,JIS Z 8401
の規定によって丸めの幅0.001に丸める。
――――― [JIS K 2255 pdf 14] ―――――
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5.9 精度
5.9.1 一般事項
この試験方法によって得られた試験結果の許容差(確率0.95)は,次による。試験結果が許容差を外れ
た場合は,JIS Z 8402-6の規定によって処理する。
5.9.2 室内併行精度
同一試験室において,同一人が同一試験器で引き続き短時間に同一試料を2回試験したとき,試験結果
の差の許容差は,表4による。
5.9.3 室間再現精度
異なる試験室において,別人が別の試験器で同一試料をそれぞれ1回ずつ試験して求めた2個の試験結
果の差の許容差は,表4による。
表4−精度
単位 g/L
鉛分 室内併行許容差 室間再現許容差
0.005を超え0.010以下 0.001 0.002
0.010を超え0.020以下 0.002 0.004
5.10 試験結果の報告
試験結果には,次の事項を記載する。
a) 試料名,採取場所及び採取年月日
b) この規格の番号(JIS K 2255)
c) 結果(5.8の表し方による。)
d) 試験年月日
e) 特記事項
6 原子吸光B法(よう素法)
6.1 試験の原理
試料に酢酸ブチル及び少量のよう素溶液を加えて,5倍又は10倍にうすめた試料溶液を調製する。また,
検量線用鉛標準液には,硝酸鉛(II)を用い,よう素溶液を添加した溶液を調製する。
これらの調製溶液を原子吸光分析装置のアセチレン−空気フレーム中に導入する。このとき,硝酸鉛及
び試料中の有機鉛は,添加したよう素と反応してよう化鉛化合物を形成した後,原子化される。生じた基
底状態の原子は,波長283.3 nmの光を吸収して励起状態に遷移する。このときの光の吸光度は,鉛の濃度
と比例する。鉛分(g/L)は,検量線を用いて試料の吸光度と希釈倍率とから求める。
バックグラウンド補正が必要な場合には,JIS K 0121に規定するバックグラウンド補正機能をもつ原子
吸光分析装置を用いる。
注記1 硝酸鉛,四メチル鉛,四エチル鉛などの化合物種の異なる鉛を原子吸光分析した場合,鉛量
が同じであっても吸光度は異なる。しかし,よう素を加えることによって,鉛量当たりの吸
光度は,同等になる。
注記2 試料溶液中の有機化合物は,試験条件の設定の違いによって,波長283.3 nmの光を吸収して
バックグラウンド吸収を示し,試験結果に影響を与える。
――――― [JIS K 2255 pdf 15] ―――――
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JIS K 2255:2015の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 3830:1993(MOD)
JIS K 2255:2015の国際規格 ICS 分類一覧
JIS K 2255:2015の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7411-1:2014
- 一般用ガラス製温度計―第1部:一般計量器
- JISK0121:2006
- 原子吸光分析通則
- JISK0557:1998
- 用水・排水の試験に用いる水
- JISK2203:2009
- 灯油
- JISK2251:2003
- 原油及び石油製品―試料採取方法
- JISK2258-1:2009
- 原油及び石油製品―蒸気圧の求め方―第1部:リード法
- JISK2258-2:2009
- 原油及び石油製品―蒸気圧の求め方―第2部:3回膨張法
- JISK2605:1996
- 石油製品―臭素価試験方法―電気滴定法
- JISK8085:2006
- アンモニア水(試薬)
- JISK8085:2021
- アンモニア水(試薬)
- JISK8101:2006
- エタノール(99.5)(試薬)
- JISK8107:2017
- エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
- JISK8180:2015
- 塩酸(試薬)
- JISK8180:2021
- 塩酸(試薬)
- JISK8355:2006
- 酢酸(試薬)
- JISK8355:2021
- 酢酸(試薬)
- JISK8371:2006
- 酢酸ナトリウム三水和物(試薬)
- JISK8377:2014
- 酢酸ブチル(試薬)
- JISK8541:2015
- 硝酸(試薬)
- JISK8541:2021
- 硝酸(試薬)
- JISK8563:2018
- 硝酸鉛(II)(試薬)
- JISK8680:2006
- トルエン(試薬)
- JISK8842:2012
- ブロモチモールブルー(試薬)
- JISK8891:2006
- メタノール(試薬)
- JISK8913:2006
- よう化カリウム(試薬)
- JISK8920:2008
- よう素(試薬)
- JISK8922:2008
- よう素酸カリウム(試薬)
- JISK9563:2013
- キシレノールオレンジ(試薬)
- JISK9703:2013
- 2,2,4-トリメチルペンタン(試薬)
- JISR3505:1994
- ガラス製体積計
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方
- JISZ8402-6:1999
- 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第6部:精確さに関する値の実用的な使い方