JIS L 1015:2010 化学繊維ステープル試験方法 | ページ 8

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L 1015 : 2010
附属書A
(参考)
繊維−短繊維の繊維長及び繊維長分布の測定方法
(単繊維測定法)
この附属書は,規格本体と関係があるので,1981年に発行されたISO 6989 Textile fibres−Determination
of length and length distribution of staple fibres (by measurement of single fibres)を翻訳し,技術的内容及び規格
票の様式を変更することなく作成したものである。ただし,実態上国内では使われていないために附属書
(参考)とした。
A.0

まえがき

  単繊維の繊維長測定法は,次の理由によって支持されている。
a) 繊維をコームに把持して測定するよりも,繊維長が明確に定義できる。
b) この方法は一般的で,その適用範囲は,繊維長又は繊維直径の試験に限定されない。
c) 偶発誤差及び系統誤差のリスクが,ほかの方法に比べて小さく,特に繊維集団繊維長の集団測定に適
している。
この方法による測定では,けん縮を取り除いたまっすぐな繊維について実施され,他の測定法で得られ
る結果とは異なった結果が得られる場合があることに注目すべきである。元々けん縮がある繊維では,繊
維をまっすぐに伸ばすと,伸長のため繊維に誤差が入ることがある。それでも,他の方法(例えば,コー
ムソーター法)が繊維によっては(例えば,綿などの短繊維では)迅速に試験でき,そのため日常の試験
では,個々の繊維の長さを測定する,一層正確な方法よりも好まれることがある。
ISO 2646:1974,Wool−Measurement of the length of fibres processed on the worsted system, using a fibre
diagram machine(羊毛−そ毛方式で処理された,繊維長ダイアグラム器を使用した繊維長の測定法)が,
そ毛方式で処理されたスライバの繊維長分布を測定するのに使用されることがある。
A.1 適用範囲
この国際規格は,次の方法について規定する。
− 単繊維測定法によって短繊維長を測定する,3種類の測定方法。
− 単繊維測定法によって得られた繊維長分布を表す種々の方法。
この国際規格は,不連続なすべての紡織繊維に適用される。ただし,繊維に強いけん縮が元々あるため,
この方法が不適切である繊維は除く。この国際規格は,じん(靭)皮繊維の繊維束には適用されない。
A.2 引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。
ISO 139:1973,Textiles−Standard atmospheres for conditioning and testing
ISO 1130:1975,Textile fibres−Some methods of sampling for testing

――――― [JIS L 1015 pdf 36] ―――――

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L 1015 : 2010
A.3 原理
各繊維の個々の繊維長測定は,次による。
− A法 : ピンセット及びグリースによって軽い張力を与えて,まっすぐに伸ばした繊維を目盛が付いた
スケール上で実施する方法。この方法は,商取引において争議がある場合の標準法として使用
する。ただし,本来のけん縮が強くて,この方法が不適切な場合は除く。
− B法 : 投影によってスクリーン上に拡大された繊維像の長さを,オピソメーター(訳注 : 曲線の長さ
を測る器具)を使って測定する方法。
− C法 : 半機械的装置を使う方法。
繊維長分布の表現方法は,繊維長の値を繊維の長さグループに分類する。
A.4 装置及び材料
A.4.1 A法(標準法)
A.4.1.1 研磨したガラス板
研磨したガラス板上には,mm単位の目盛が刻まれているか,目盛の写真が付いている。
A.4.1.2 先のとがったピンセット
A.4.1.3 白灯油ゼリー又は液体パラフィン
A.4.2 B法
A.4.2.1 プロジェクター及びスクリーン
プロジェクターのスライド上に繊維を固定する手段がある。
A.4.2.2 オピソメーター及びキャリブレーションスライド
プロジェクターの倍率を測定できる手段がある。
A.4.2.3 白灯油ゼリー又は液体パラフィン
A.4.3 C法
A.4.3.1 装置
張力を管理して,繊維長を半自動的に測定し,決められた長さ間隔で繊維長をグループ分けし,各グル
ープ中の繊維本数を記録する装置。
A.4.3.2 先のとがったピンセット
A.4.3.3 目盛付きの短いスケール
5 mmの間隔を離して,2個の目盛が付いている。
A.5 温湿度調整用及び試験用の大気
繊維を試験用の標準大気中に保管して,標準大気と平衡になるまで温湿度調整を行う。標準大気につい
ては,ISO 139に定義されており,関係湿度が(65±2)%で温度が20±2 ℃である。繊維の試験室用試料
が,よく解きほぐされている場合には,温湿度調整の時間は通常1時間で十分である。
繊維の試験は試験用標準大気中で実施する。
A.6 試験片
A.6.1 試験回数
ISO 1130によって,試験室試料を採取する。試験室試料からランダムに試験用試験片の繊維を採取し,
試験用試験片に“番号”を付ける(ISO 1130参照)。

――――― [JIS L 1015 pdf 37] ―――――

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L 1015 : 2010
A.6.2 測定方法
試験室試料から繊維を500本採取し,その長さを測定する。これら個々の長さから95 %信頼限界を計算
する(A.8.2.3参照)。
必要ならば繊維本数を増やして,実際の必要に応じて相対値を5 %以下とする。
注記 化合繊の短繊維では,より少ない繊維本数で,必要な精度が得られることがある。関係者の合
意に基づいて,より少ない繊維本数を使用しても構わない。
A.7 試験方法
A.7.1 繊維長の測定
A.7.1.1 A法(標準法)目盛が付いたガラス板上で個々の繊維の長さを測定する方法
少量の白灯油ゼリー又は液状パラフィン(A.4.1.3)をガラス板(A.4.1.1)に塗布する。ピンセット(A.4.1.2)
を使って,繊維1本をガラス板上の直線のスケールに沿って置く。このとき,繊維の両端に最低張力をか
けて繊維をまっすぐに伸ばす。スケールに沿って,繊維長を測定する。試験用繊維についてこの操作を繰
り返す。
A.7.1.2 B法 繊維の像の長さを測定する方法
白灯油ゼリー又は液状パラフィン(A.4.2.3)をスライド(A.4.2.2)に薄く塗布し,ティッシュ・ペーパ
ーをはり付ける。油を塗ったスライドに適切な本数の繊維を載せる。繊維が投影領域よりも長い場合には,
折り曲げる。きれいなカバーグラスを繊維の上に載せて,粘着テープの小片で全体をしっかりと固定する。
繊維長が90 mm未満の場合には,10倍の倍率を使用する。これより長い繊維については,5倍の倍率で
十分である。
キャリブレーションスライドの像の長さをオピソメーター(A.4.2.2)で測定し,装置の倍率を決定する。
オピソメーターによって繊維の像の長さを順番に測定する。
あらかじめ測定した倍率を使って,個々の繊維長を計算する。
A.7.1.3 C法 半自動装置を使う方法
先のとがったピンセット(A.4.3.2)を使って,各繊維を順番に,できるだけ端の近くで把持し,アプロ
ーチパッドの上を経て送りねじへ引き入れる。装置は繊維の上端を検知し送りねじを停止させるので,繊
維の移動距離が分かり,繊維長が測定される。繊維長はグループ分けされて,繊維長を測定する間に,各
グループ中の繊維本数が自動的に記録される。5 mm未満の繊維は,スケール(A.4.3.3)を使って,肉眼
によってグループ分けされる。
A.7.2 繊維のグループ分け(A法及びB法用)
繊維のグループ分けは,次による。
a) 測定した繊維長をグループ分けする。グループ分けの間隔は,例えば,次の表のようにする。
単位 mm
公称繊維長 グループ間隔
45以下 1
4580以下 2
80以上 5
b) グループの中心点からの次の表の偏差で与えられるグループの限界値を求める。

――――― [JIS L 1015 pdf 38] ―――――

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単位 mm
グループの中点を基 グループ間隔
準にした公称繊維長
+0.50
1
−0.49
+1.00
2
−0.99
+2.50
3
−2.49
A.8 計算及び結果の表示方法
A.8.1 計算方法
注記 計算に当たっては,スクエア・カットの合繊短繊維の場合には,次の計算方法を考慮しなくて
よい。しかし,前のグループには1 %未満の繊維しか含まないのに,1 %以上の繊維を含有する
グループが発生した場合には報告する。
a) 繊維長liのグループに含まれる繊維本数(ni)を計測する。次の式に従って,グループごとの本数頻
度百分率fiを計算する。
ni
fi 100
ni
b) 次に,下の式に従って,繊維長偏奇頻度百分率f'iを計算する。
nili
f'i 100
nili
ここに, ni : i番目のグループの繊維本数
li : i番目のグループの繊維長(mm)
in : すべてのグループについて合計繊維本数
nili : すべてのグループについてniとliとの積の合計
c) この繊維長頻度百分率の値は,繊維長が異なる繊維の単位長さ当たりの質量が同じ場合には,質量頻
度百分率の値に一致する。特に天然繊維にあっては,必ずしもそうであるとは限らない。
A.8.2 分布特性値
A.8.2.1 長さ
次の分布特性値が一般に計算される(ほかの数量も,特定の目的に対して計算されることがある)。
a) 最頻繊維長(modal length)(繊維の本数が最も多いグループの中心値)
b) 各繊維の平均繊維長
nili
L
ni
c) スライバ,ロービング又は糸の断面中の繊維の,長さ偏奇平均繊維長
2
nili
L'
nili
これらの長さは,mmで表示する。

――――― [JIS L 1015 pdf 39] ―――――

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A.8.2.2 変動係数
頻度分布から次の式を用いて,この係数を計算する。
CV 100
ここで,標準偏差s(mm)は,次の式から計算される。
1
2 2
li L ni
s
ni
しかし,LとL' が計算できれば,変動係数は次の式から計算することもできる。
1
L' 2
CV 100 1
L
A.8.2.3 95 %信頼限界
.196s
− 絶対値としては : Δ(mm)=±
in
.196CV
− 相対値としては : Δ(mm)=±
in
A.8.2.4 頻度分布の表示方法
長さ分布のグラフが必要な場合には,次のいずれかの方法によって表示する。
a) 頻度ヒストグラムによる。使用した繊維長間隔中の繊維本数を,繊維長の関数として百分率で表示す
る。
b) 累積度数ダイアグラムによる。任意の繊維長よりも長い繊維の割合を,繊維長の関数として百分率で
表示する。
A.9 試験報告書
試験報告書には,次の事項を記載する。
A.9.1 測定した繊維本数
− 個々の繊維の平均繊維長L
− 変動係数
− 分布のグラフが必要な場合には,頻度ヒストグラム又は累積度数ダイアグラム
− 0本でなければ,平均繊維長及び変動係数の計算に除外されたグループの繊維本数
A.9.2 必要によって,次の事項も記載する
− 各グループ中の繊維本数の百分率
− 使用したグループの間隔
− 最頻繊維長
− 長さ偏奇平均繊維長
− 信頼限界(通常95 %信頼限界)
A.9.3 この国際規格の引用及び使用した試験方法
C法を使用した場合には,試験機の種類も記載する。
A.9.4 この国際規格に規定されていないすべての操作方法

――――― [JIS L 1015 pdf 40] ―――――

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JIS L 1015:2010の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 1973:1976(NEQ)
  • ISO 5079:1977(NEQ)
  • ISO 6989:1981(NEQ)
  • ISO 6989:1981(NEQ)

JIS L 1015:2010の国際規格 ICS 分類一覧

JIS L 1015:2010の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISK0050:2019
化学分析方法通則
JISK0061:2001
化学製品の密度及び比重測定方法
JISK8034:2006
アセトン(試薬)
JISK8085:2006
アンモニア水(試薬)
JISK8085:2021
アンモニア水(試薬)
JISK8102:2012
エタノール(95)(試薬)
JISK8103:2013
ジエチルエーテル(試薬)
JISK8107:2017
エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JISK8155:2017
塩化バリウム二水和物(試薬)
JISK8180:2015
塩酸(試薬)
JISK8180:2021
塩酸(試薬)
JISK8223:2016
過塩素酸(試薬)
JISK8230:2016
過酸化水素(試薬)
JISK8271:2007
キシレン(試薬)
JISK8355:2006
酢酸(試薬)
JISK8355:2021
酢酸(試薬)
JISK8372:2013
酢酸ナトリウム(試薬)
JISK8541:2015
硝酸(試薬)
JISK8541:2021
硝酸(試薬)
JISK8550:2006
硝酸銀(試薬)
JISK8550:2021
硝酸銀(試薬)
JISK8567:2018
硝酸マグネシウム六水和物(試薬)
JISK8576:2019
水酸化ナトリウム(試薬)
JISK8680:2006
トルエン(試薬)
JISK8799:2020
フェノールフタレイン(試薬)
JISK8858:2007
ベンゼン(試薬)
JISK8886:2008
無水酢酸(試薬)
JISK8891:2006
メタノール(試薬)
JISK8893:2020
メチルオレンジ(試薬)
JISK8937:2020
リグロイン(試薬)
JISK8951:2006
硫酸(試薬)
JISK8960:2008
硫酸アンモニウム(試薬)
JISK9701:2013
ヘプタン(試薬)
JISK9702:2014
ジメチルスルホキシド(試薬)
JISL0101:1978
テックス方式
JISL0105:2020
繊維製品の物理試験方法通則
JISL0204-1:1998
繊維用語(原料部門)―第1部:天然繊維
JISL0204-2:2010
繊維用語(原料部門)―第2部:化学繊維
JISL0204-2:2020
繊維用語(原料部門)―第2部:化学繊維
JISL0204-3:1998
繊維用語(原料部門)―第3部:天然繊維及び化学繊維を除く原料部門
JISL0208:2006
繊維用語―試験部門
JISP3801:1995
ろ紙(化学分析用)
JISR3503:1994
化学分析用ガラス器具
JISZ8401:2019
数値の丸め方
JISZ8701:1999
色の表示方法―XYZ表色系及びX10Y10Z10表色系
JISZ8722:2009
色の測定方法―反射及び透過物体色