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B 8445 : 2016 (ISO 13482 : 2014)
この規格のユーザは,JIS B 9700を熟知することが望ましい。
本質的安全設計方策の使用は,リスク低減プロセスの第一歩で,最も重要なステップである。これは,
生活支援ロボットのそのような本質的な特性は効果をもち続けると思われるのに対して,いかにうまく設
計された安全保護策といえども,故障又は故意に解除されることがあり,また,使用上の情報は守られな
いことがあることが経験上,分かっているからである。
本質的安全設計方策は,生活支援ロボット自体は暴露される人とロボットとの相互作用の設計内容の適
切な選択を通じて,リスクを低減又は排除することで危険源を回避する。本質的安全設計方策の要求事項
は,それぞれの危険源などに応じて,5.x.2又は5.x.x.2の細分箇条に規定する。
安全防護及び保護方策の追加は,リスク低減手法の第二ステップである。安全関連物体と生活支援ロボ
ットとの間に起こり得る動的な相互作用によって,多数のリスクが発生することから,ロボットのある保
護制御機能が特定のタイプのリスクを大幅に低減することがある。保護方策の要求事項は,それぞれ5.x.3
又は5.x.x.3の細分箇条に規定する。
リスク低減が安全関連制御機能の使用によって達成される場合は,箇条6の要求事項を適用する。
本質的安全設計及び保護方策が適用された後,それでも存在する残留リスクに関する情報は,取扱説明
書で提供しなければならない。各危険源についての,使用上の情報に関する個別の要求事項は,それぞれ
5.x.4又は5.x.x.4の細分箇条に規定する。一方,使用上の情報に関する一般的な要求事項は,箇条8に規
定する。
この箇条の安全要求事項を満たしているかの確認は,次のうち一つ以上の方法によって検証することが
できる。
− A : 検査
− B : 実地試験
− C : 測定
− D : 運転中の観察
− E : 回路図の精査
− F : ソフトウェアの精査
− G : タスクに基づいたリスクアセスメントのレビュー
− H : 配置図及び関連文書の精査
重要危険源に関する様々な要求事項の検証及び妥当性確認の推奨方法は,それぞれ各箇条の末尾の細分
箇条となる,5.x.5又は5.x.x.5の細分箇条に示し,上記の方法に対応して適用可能な方法(A,B,···とい
う形式)をとる。検証及び妥当性確認方法の詳細を,箇条7に示す。
5.2 電池の充電に関連する危険源
5.2.1 一般
生活支援ロボットが充電システムを内蔵している場合は,ロボット側の充電接続部及びその充電システ
ムと偶発的に接触することによる危険源から人を防護しなければならない。充電システムは適宜,JIS B
9960-1又はJIS C 9335-2-29に適合しなければならず,JIS C 0920及びEN 50272(規格群)に適合するこ
とが望ましい。
また,充電システムは,過充電又は過放電した電池の充電に起因する危険源を防止しなければならない。
5.2.2 本質的安全設計
充電接点及びプラグは,充電部との偶発的な接触を防ぐように設計しなければならない(例えば,プラ
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グ及びコンセントにキャップを付けるなど)。
充電接点間の電圧は,充電システムの用途又は環境に応じて,JIS B 9960-1,JIS C 0365,JIS C 9335-2-29,
IEC 61851(規格群)などの適切な規格に適合しなければならない。
充電電流は,合理的に実現可能な最低限となるように選ばれなければならない。
5.2.3 安全防護及び付加保護方策
必要に応じて,次の方策を適用しなければならない。
a) 充電システムは,生活支援ロボットが充電接続部に接続されているときにだけ,充電接続部が作動す
るように設計する。
b) 充電システムは,充電状態を表示するか,又は満充電となったとき信号を発するようにする。
c) 充電システムは,電池が正しく充電されているかを自動的に監視し,したがって,過充電した電池の
充電による危険源が生じないように設計する。
5.2.4 使用上の情報
使用上の情報は,電池の充電に対する説明として,次の事項を含んでいなければならない。
− 生活支援ロボットの充電手順
− 環境条件(例えば,屋外又は屋内での充電)
− 充電中は生活支援ロボットのスイッチを切る,特定の運転モードに切り替えるなどの要求事項
− 適切な警告文
5.2.5 検証及び妥当性確認
5.1のB,C,D又はEの中から適切な方法を選択し,検証及び妥当性確認を行う。
5.3 エネルギーの蓄積及び供給による危険源
5.3.1 危険なエネルギー部との接触
5.3.1.1 一般
生活支援ロボットは,エネルギー関連の全ての危険源を防止するように設計し,製作しなければならな
い。
生活支援ロボットは,電気機器の場合はJIS B 9960-1,空圧機器の場合はJIS B 8370,油圧機器の場合
はJIS B 8361の各々該当する要求事項に従って設計し,製作しなければならない。
暴露されるいかなる人も,ロボットの活性部との直接的又は間接的な接触から防護されなければならな
い。
危険なエネルギー源(例えば,電気,機械的,油圧,空圧,化学的,熱)の分離手段を設けなければな
らない。このような危険なエネルギー源は明瞭に識別できるようにし,再接続が危険源をもたらす場合,
分離手段はロックできるものでなければならない。
5.3.1.2 本質的安全設計
必要に応じて,次の方策を適用しなければならない。
a) 電気機器に対する,JIS C 0365に規定するSELV圧源(交流の場合25 V未満,直流の場合60 V未満)
を使用する。
b) 空圧・油圧機器に対して低圧を使用する。
その他のタイプの貯蔵エネルギーは,危険源を最小限に抑えるために,合理的に実現可能な最低レベル
に保たなければならない。
5.3.1.3 安全防護及び付加保護方策
危険なエネルギー部からの保護にガード又はエンクロージャを使用する場合,その設計は,電気的危険
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源の場合はJIS C 0920に定義されている適切なIPクラスに,リスクアセスメントで決められる他の危険
源の場合はJIS B 9718の安全距離に適合しなければならない。
過剰な熱がある場合は,熱放散の方策(例えば,ヒートシンク,エアフロー)を適用しなければならな
い。ファンを使用する場合は,ファン制御装置を推奨する。
5.3.1.4 使用上の情報
生活支援ロボットには,ISO 7010に規定された警告マークを付け,その意味を使用上の情報で説明しな
ければならない。
5.3.1.5 検証及び妥当性確認
5.1のA,B,C,E又はHの中から適切な方法を選択し,検証及び妥当性確認を行う。
5.3.2 貯蔵エネルギーの制御されていない解放
5.3.2.1 一般
貯蔵エネルギーの制御されない解放が,危険源につながってはならない。これは,ロボットの運転中と
同様,ロボットのスイッチが切れているときにも適用される。
危険な貯蔵エネルギーは,制御された解放又は除去の手段を設けなければならない。貯蔵エネルギーの
制御された解放又は除去が,新たな危険源をもたらすことがあってはならない。
注記 貯蔵エネルギーは,空圧・油圧の蓄圧器,コンデンサ,電池,ばね,釣合いおもり,フライホ
イールなどの中で発生することがある。
5.3.2.2 本質的安全設計
貯蔵エネルギーは,合理的に実現可能な最低レベルにとどめなければならない。
5.3.2.3 安全防護及び付加保護方策
必要に応じて,次の方策を適用しなければならない。
a) エネルギー解放中のリスクを最小限に抑えるために,ガード・カバーを取り付ける。
b) ロボットは,過負荷,短絡,ロボットの熱源を取り囲む布類,装置の故障などに起因する過熱又は過
電流を防止するために,エネルギー供給を調整する手段を備えている。
5.3.2.4 使用上の情報
全ての貯蔵エネルギー危険源及びその場所を明示するラベルを貼らなければならない。使用上の情報は,
貯蔵エネルギーの除去又は制御された解放手段,及びその使用手順についての記載を含んでいなければな
らない。
5.3.2.5 検証及び妥当性確認
5.1のB,D,E又はHの中から適切な方法を選択し,検証及び妥当性確認を行う。
5.3.3 動力故障又は遮断
5.3.3.1 一般
生活支援ロボットの動力故障又は意図しない遮断,及びその後の動力の再投入が,受容できないリスク
をもたらすものであってはならない。そのため,次の事項を確実に実施しなければならない。
a) マニピュレータを装備した生活支援ロボットは,マニピュレータに動力故障又は遮断が起きた場合の,
マニピュレータ動作又は荷物の落下によるリスクが受容可能であることを確実にするように設計する。
このことは,動力供給源の種類(例えば,電力,油圧,空圧,真空)によらず実現する。
b) 移動架台を備えた生活支援ロボットは,動力故障又は遮断の後のロボットの移動(例えば,暴走)に
よるリスクが受容可能であることを確実にするように設計する。このことは,移動機構(例えば,車
輪,無限軌道,脚)によらず実現する。
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c) 一時的に作動動力を切断することができる生活支援ロボットは,動力の喪失又は変化が起きた場合の,
ロボット部品又は構成部品の脱落によるリスクが受容可能であることを確実にするように設計する。
d) 生活支援ロボットの一部が閉込みの危険源を生じる場合で実施可能な場合には,この部分を駆動力の
切れた状態でも一人の力で動かすことができる手段を備えている。これは,リスクアセスメントの定
める潜在的ユーザの全員が,脱出又は救助を行えることを考慮している。これができない場合は,付
加保護方策を適用している。
注記 電源装置に関する要求事項は,JIS B 9960-1に示されている。
5.3.3.2 本質的安全設計
必要に応じて,次の方策を適用しなければならない。
a) 全ての可動部の制動機構の設計に“動力断印加(動力断で自動的に制動が効く。)”の原則を採用する。
b) 動力故障又は遮断の後に安全状態に復帰できるようにするための十分なエネルギーを内部に蓄積して
いる。
予期しない起動を回避するため,JIS B 9714の要求事項を満たさなければならない。
5.3.3.3 安全防護及び付加保護方策
必要に応じて,次の方策を適用しなければならない。
a) 適切な場合には,無停止動力源を提供するための手段を設けている。
b) 孤立した場所で人を閉じ込めるおそれのある生活支援ロボットには,独立した動力源をもった救援要
請手段を備えている。
c) 利用できる内部エネルギー又は貯蔵動力(電池電力など)が一定のしきい値を下回った場合,ロボッ
トはユーザ又はオペレータに,音声,光,振動などの手段でその状態を通知し,更に,電池電力が危
険レベルに達したら自動的に安全状態に入る。
5.3.3.4 使用上の情報
使用上の情報には,動力故障又は運転停止に対する残留リスクを記載しなければならない。リスクアセ
スメントで必要とみなされた場合は,動力故障又は運転停止後に保守手順が必要になることがある(8.4
参照)。
5.3.3.5 検証及び妥当性確認
5.1のB,D,E又はHの中から適切な方法を選択し,検証及び妥当性確認を行う。
5.4 ロボットの通常運転における起動及び再起動
5.4.1 一般
生活支援ロボットは,起動直後に危険な動作をしてはならない。
5.4.2 本質的安全設計
必要に応じて,次の方策を適用しなければならない。
a) 生活支援ロボットは,起動中に内部機能チェックを実施し,全ての安全関連機能が使用可能であるこ
とを確実にする。それができなかった場合,危険な操作を防げる。
b) 起動後に生活支援ロボットの安全関連機能が正しく実行されない場合は,直ちに保護停止を実施でき
る。
c) 生活支援ロボットは,制限された速度,力など(6.4及び6.7参照)の状態で起動し,モード変更(6.11
参照)によってだけ,通常の制御レベルに復帰する。
d) 生活支援ロボットは必ず手動モードで起動し,6.10に規定するモード切替えによってだけ,自律モー
ドでの運転を始める。
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注記 ISO 13482:2014においては,参照先を6.11.1としているが,参照先誤りであるため,正しい
参照先である6.10としている。
一部の安全関連構成部品の試験でロボットの動作が必要な場合,欠陥のある安全関連構成部品がないこ
とを確認するために必要最小限の動作は許される。この動作に付随するリスクは,合理的に実現可能な最
低限にとどめなければならない。
5.4.3 安全防護及び付加保護方策
必要に応じて,次の方策を適用しなければならない。
a) マニピュレータ,移動架台及びその他の可動部は,起動時には(何らかの意図しない動作を防止する
ために),安全関連機能によって作動不能となる。センサによって危険状態が存在しないことが確認で
きた場合にだけ,アプリケーション機能が使用可能となる。ロボットが起動後直ちに自律モードに入
るよう意図されている場合は,この方策を適用する。
b) 生活支援ロボットは,常に監視下の静止状態で起動し,ユーザの操作によってだけ正常運転に復帰す
る。
5.4.4 使用上の情報
ロボットの使用上の情報には,適用した方策に従った,必要な起動及び再起動方法の説明を記載しなけ
ればならない。
5.4.5 検証及び妥当性確認
5.1のB,D又はFの中から適切な方法を選択し,検証及び妥当性確認を行う。
5.5 静電電位
5.5.1 一般
生活支援ロボットは,静電電位及び放電によって,人及び飼育動物にいかなる危害も加わらないように
設計しなければならない。
静電放電(ESD)の防護は,個別の保護具の装着が不要な程度に十分なものでなければならない。
蓄積された有害な静電電位は,放電しなければならない。
生活支援ロボットは,静電放電による有害な機能不良を避けるように設計しなければならない。
注記 第2段落及び第3段落の要求事項は,静電放電に起因するロボットの暴走状態によって,人及
び飼育動物に危害を加えないことを要求している。
5.5.2 本質的安全設計
必要に応じて,次の方策を適用しなければならない。
a) 導電材料を使用する。
b) 接地によってロボットの帯電を防止する。
c) 接触する可能性のある表面又は部品への静電荷の蓄積を防止するためのその他の技法を適用する。
5.5.3 安全防護及び付加保護方策
電気機器のカバーの使用は,帯電部との接触を避けるためにJIS B 9960-1に適合しなければならない。
5.5.4 使用上の情報
ISO 7010に規定されたESDに関する必要な警告サインを,使用上の情報と併せて示さなければならな
い。
5.5.5 検証及び妥当性確認
5.1のB,C又はEの中から適切な方法を選択し,検証及び妥当性確認を行う。
注記 ISO 7176-21に,適用可能な試験方法が記載されている。
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JIS B 8445:2016の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 13482:2014(IDT)
JIS B 8445:2016の国際規格 ICS 分類一覧
- 25 : 生産工学 > 25.040 : 産業オートメーションシステム > 25.040.30 : 産業用ロボット.機械操縦装置
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- 音響―作業位置及び他の指定位置における機械騒音の放射音圧レベルの測定方法―第2部:現場における簡易測定方法
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- 図記号―安全色及び安全標識―安全標識及び安全マーキングのデザイン通則