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B 4051 : 2014
附属書A
(参考)
研削といしの基本的な選択方向
A.1 概要
この規格の本体を“絶対的な選択指針”と位置付けた場合,この附属書は,“相対的な選択指針”と位置
付けられ,互いを補完する関係にある。例えば,本体の指針に従ってといしを選択し,実際に使用したと
き研削目的の要求事項(例えば,寸法精度,仕上げ面粗さ,被研削面の焼けなど)が満たされないことが
ある。また,例えば,NC研削盤では,一種類のといしによって多様な研削作業を連続させなければなら
ない場合がある。そのような場合に,研削条件を変更し改善を図る方向及びといし仕様を再選択し研削作
業を改善する方向を示すのがこの附属書の目的である。はじめに,“といし仕様の基本的な選択方向”を示
す。次に,“研削条件の変更に対するといし結合度の選択方向”を示す。さらに,“といし−被削材間の接
触面積”,“被削材材質”,“研削盤の状態”,“ドレッシング”などが及ぼす影響について示す。
なお,この附属書に示すといし結合剤はビトリファイドに限定されるものではない。
A.2 といし仕様の基本的な選択方向
といし仕様は,JIS R 6242によって“結合剤”,“研削材種類”,“研削材粒度”,“結合度”及び“組織”
の5項目で表現される。これらといし仕様の基本的な選択方向を表A.1に示す。
表A.1−といし仕様の基本的な選択方向
といし仕様 基本的な選択方向
結合剤 一般的に,精密研削はビトリファイドを選択し,ドレッシングなしで連続使
用する場合はレジノイドを選択する。
研削材(と粒)種類 被削材の材質及び硬さによる。一般的に,引張強さの高い被削材はA系研削
材を選択し,引張強さの低い被削材はC系研削材を選択する。
研削材(と粒)粒度 要求される仕上げ面粗さによる。良い仕上面粗さには細かい研削材を選択し,
普通の仕上面粗さには粗い研削材を選択する(A.5を参照)。
結合度 研削方式,被削材寸法,といし寸法,切込み量及び送り速度などの複数の要
因によって選択する(A.3A.7を参照)。
組織 一般に中程度の組織を選択する。特に,研削熱の発生を抑えたい場合及び研
削抵抗を低くしたい場合は粗い組織(ポーラス)を選択する(A.4を参照)。
A.3 研削条件の変更に対するといし結合度の選択方向
“といし周速度”,“被削材周速度”,“といし切込み量又は切込み速度”及び“といし横送り速度”は,
研削作業段階である程度任意に変更できる条件である。それらの条件が変更された場合,といしの摩耗に
及ぼす影響及びといし選択方向を,表A.2に示す。
――――― [JIS B 4051 pdf 11] ―――――
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B 4051 : 2014
表A.2−研削条件の変更に対するといし結合度の選択方向
研削条件変更内容 といし単位面積に作用する力 といし摩耗 といし結合度選択
といし周速度 低くする 大きくなる 多くなる より硬い側を選択
高くする 小さくなる 少なくなる より軟らかい側を選択
被削材周速度 低くする 小さくなる 少なくなる より軟らかい側を選択
高くする 大きくなる 多くなる より硬い側を選択
といし切込み量 小さくする 小さくなる 少なくなる より軟らかい側を選択
又は切込み速度 大きくする 大きくなる 多くなる より硬い側を選択
といし横送り速度 小さくする 小さくなる 少なくなる より軟らかい側を選択
大きくする 大きくなる 多くなる より硬い側を選択
A.4 といし−被削材間の接触面積がといし選択に及ぼす影響
接触面積がといしの結合度及び組織の選択方向に及ぼす影響を,表A.3に示す。
表A.3−接触面積とといしの選択方向
といし−被削材間の接触面積 といし結合度選択 といし組織選択
小さい(狭い) より硬い側を選択 より密な側を選択
大きい(広い) より軟らかい側を選択 より粗な側を選択
注記 “といしと被削材の接触面積が小さい”とは,例えば,といし外径が小さい,
被削材外径が小さいなどのことを表す。
A.5 被削材材質がといし選択に及ぼす影響
被削材材質がといし粒度及び結合度の選択方向に及ぼす影響を,表A.4に示す。
表A.4−被削材材質とといしの選択方向
被削材 といし粒度選択 といし結合度選択
軟質なもの より粗い側を選択 より硬い側を選択
硬質なもの(焼入れ材) より細かい側を選択 より軟らかい側を選択
A.6 研削盤の状態がといし選択に及ぼす影響
研削盤の機械剛性及びといし軸モータ定格電力がといし結合度の選択方向に及ぼす影響を,表A.5に示
す。
表A.5−研削盤の状態とといしの選択方向
研削盤の状態 といし結合度選択
機械剛性 低い(振動大) より硬い側を選択
高い(振動小) より軟らかい側を選択
単位研削幅当たりのといし軸低い より軟らかい側を選択
モータ定格電力 高い より硬い側を選択
A.7 ドレッシングがといし選択に及ぼす影響
一般の精密研削では,定期的にドレッシングすることによって,所定の面粗さ及び寸法精度を確保する
のが普通であるが,それによってといし粒度及び結合度の影響が小さくなり,結果として選択するといし
の選択範囲は広くすることができる。したがって,粒度が細かく結合度がやや硬い側を選択し,ドレッシ
ング条件によって研削目的の調整を行う。
――――― [JIS B 4051 pdf 12] ―――――
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B 4051 : 2014
附属書B
(参考)
切断といしの選択指針
B.1 切断といしの選択指針
金属材料用切断といしの選択指針は,表B.1による。
なお,切断といしの使用周速度の範囲は繊維補強なしが4563 m/s,繊維補強付が5080 m/sとする。
表B.1−金属材料用切断といしの選択指針
被削材 切断といし
乾式 湿式
鋼 普通炭素鋼 軟 A 30 P BF a) WA 60 O B b)
硬 A36 M BF WA 60 K B
高速度鋼 A 36 N BF GC 60 K B
管 A 36 P BF WA 80 L B
ステンレス鋼 A 30 M BF WA 60 H B
鋳鉄 AZ c) 36 P BF A/C 60 J B
銅 湯口 A/C d) 24 R BF −
棒 A/C 46 P BF GC 60 J R e)
管 A/C 80 Q BF GC 120 K R
黄銅 湯口 A/C 24 P BF −
棒 A/C 24 T BF GC 60 J R
管 A/C 100 P BF GC 80 KR
青銅鋳物 湯口 A/C 24 P BF −
硬 A/C 30 O BF −
永久磁石材料(アルニコ) A 60 L B A 80 K R
アルミニウム湯口 A/C 24 R BF −
注記 被削材が非金属の場合は,一般的にダイヤモンドソーを使用する。
注a) Fは繊維補強付レジノイド結合剤の記号。
b) はレジノイド結合剤の記号。
c) Zはアルミナジルコニア研削材の記号。
d) /CはAとCとの混合研削材を表す記号。
e) はゴム結合剤の記号。
JIS B 4051:2014の国際規格 ICS 分類一覧
JIS B 4051:2014の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0601:2013
- 製品の幾何特性仕様(GPS)―表面性状:輪郭曲線方式―用語,定義及び表面性状パラメータ
- JISB4053:2013
- 切削用超硬質工具材料の使用分類及び呼び記号の付け方
- JISC2502:2019
- 永久磁石材料
- JISG3101:2015
- 一般構造用圧延鋼材
- JISG3101:2020
- 一般構造用圧延鋼材
- JISG3201:1988
- 炭素鋼鍛鋼品
- JISG3444:2015
- 一般構造用炭素鋼鋼管
- JISG3444:2021
- 一般構造用炭素鋼鋼管
- JISG3445:2016
- 機械構造用炭素鋼鋼管
- JISG3445:2021
- 機械構造用炭素鋼鋼管
- JISG4051:2016
- 機械構造用炭素鋼鋼材
- JISG4053:2016
- 機械構造用合金鋼鋼材
- JISG4303:2012
- ステンレス鋼棒
- JISG4303:2021
- ステンレス鋼棒
- JISG4311:2019
- 耐熱鋼棒及び線材
- JISG4401:2009
- 炭素工具鋼鋼材
- JISG4403:2015
- 高速度工具鋼鋼材
- JISG4404:2015
- 合金工具鋼鋼材
- JISG4805:2019
- 高炭素クロム軸受鋼鋼材
- JISG5101:1991
- 炭素鋼鋳鋼品
- JISG5111:1991
- 構造用高張力炭素鋼及び低合金鋼鋳鋼品
- JISG5501:1995
- ねずみ鋳鉄品
- JISG5502:2001
- 球状黒鉛鋳鉄品
- JISG5705:2018
- 可鍛鋳鉄品
- JISH3100:2018
- 銅及び銅合金の板及び条
- JISH3250:2015
- 銅及び銅合金の棒
- JISH3250:2021
- 銅及び銅合金の棒
- JISH4000:2014
- アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
- JISH4040:2015
- アルミニウム及びアルミニウム合金の棒及び線
- JISH5120:2016
- 銅及び銅合金鋳物
- JISH5121:2016
- 銅合金連続鋳造鋳物
- JISR6210:2006
- ビトリファイド研削といし
- JISR6242:2015
- といし―一般的要求事項