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(a) 試料約5gを採り,1mgのけたまで量る。
(b) ビーカーに蒸留水200mlを入れた後,試料を浸す。
(c) 80±5℃に調節したウォーターバスにその容器ごと浸し,24時間その温度で保持する。
(d) この液をガラスフィルターでろ過し,蒸留水で試料を繰り返し5回洗浄する。
(e) 試料を乾燥器中で完全に乾燥し,デシケーター中で放冷した後,質量を1mgのけたまで量る。
(3) 計算 耐水性は,次の式によって算出し,小数点以下1けたに丸める。
W W1
R 100
W
ここに, R : 耐水性 (wt%)
W : 試料の質量 (mg)
W1 : 試料を蒸留水に浸せき処理後,乾燥しデシケーター中で放冷
した後の質量 (mg)
6.8 水分率 水分率の測定法は,JIS R 3420 5.3(水分率及び強熱減量)による。
――――― [JIS K 6940 pdf 11] ―――――
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K 6940 : 1998
附属書3(規定) ガラスフレーク入りビニルエステル樹脂
1. 適用範囲 この附属書は,ガラスフレーク入りビニルエステル樹脂ライニング皮膜の作製に用いる,
ガラスフレーク入りビニルエステル樹脂について規定する。
2. 用語の定義 この附属書に用いる主な用語の定義は,次のとおりとする。
(1) ガラスフレーク入りビニルエステル樹脂コンパウンド ビニルエステル樹脂にガラスフレークを15
40%加え,必要に応じて顔料,充てん剤,硬化促進剤などを加えて混練したもの。
(2) 硬化皮膜 ガラスフレーク入りビニルエステル樹脂コンパウンドに,硬化剤を加えて硬化させた皮膜。
3. 種類 種類は用途によって附属書3表1のとおりとする。
附属書3表1 種類及び用途
種類 用途
1種用 ガラスフレーク入りビニルエステル樹脂ライニング皮膜 1種
2種用 ガラスフレーク入りビニルエステル樹脂ライニング皮膜 2種
4. 品質 品質は,5.によって試験したとき附属書3表2の品質を満足するものとする。ただし,受渡当
事者間の協定によって項目の一部を省略することができる。
――――― [JIS K 6940 pdf 12] ―――――
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附属書3表2 ガラスフレーク入りビニルエステル樹脂の品質
項目 種類
1種 2種
コ 容器の中での状態 コンパウンドをかき混ぜたとき,堅い塊がなく一様になること
ン
パ 作業性 作業に支障がないこと
ウ 硬化乾燥時間 16時間以内であること
ン
ド
硬 皮膜の外観 むら,しわ,へこみなどの欠陥がなく平滑であること
化 引張強さ MPa 20以上 10以上
皮
膜 引張破壊伸び % 0.15以上 0.20以上
曲げ強さ MPa 30以上 15以上
耐衝撃性 割れ,はがれがないこと 割れ,はがれがないこと
接着強さ 10以上 10以上
(引張せん断)MPa
バーコル 硬さ 25以上 25以上
水蒸気透過率 0.0018以下 −
ng・m−1・S−1・Pa−1
耐酸性 割れ,はがれ,膨れがないこと −
耐アルカリ性 割れ,はがれ,膨れがないこと −
耐冷熱繰返し性 割れ,はがれ,膨れがないこと −
耐溶剤性 − 膨れがないこと
温度差耐水性 − 膨れがないこと
5. 試験方法
5.1 試料採取方法 試料はロットを代表するように合理的な方法によって採取する。
5.2 容器の中での状態 容器の中での状態は,JIS K 5400 4.1(容器の中での状態)による。
5.3 作業性 作業性は,ガラスフレーク入りビニルエステル樹脂コンパウンドに所定の硬化剤を加えた
後,JIS K 5400 6.1(塗装作業性)による。ただし,試験板はJIS G 3101に規定するSS400 (500×200×3.2mm)
とし,2回塗りとする。
5.4 硬化乾燥時間 硬化乾燥時間は,ガラスフレーク入りビニルエステル樹脂コンパウンドに所定の硬
化剤を入れた後,JIS K 5400 6.5(乾燥時間)による。ただし,試験板はJIS G 3101に規定するSS400 (150
×100×3.2mm) とし,常温乾燥とする。
5.5 皮膜の外観 目視による。
5.6 引張強さ及び引張破壊伸び 引張強さ及び引張破壊伸びは,JIS K 7113によるほか,次のとおりと
する。
(1) 試験片の作製 ガラス板 (300×150×5mm) に離型紙を敷き,その上に本体5.に規定する方法によっ
て,皮膜厚さが34mmになるように施工し,7日間放置後離型紙からはがす。硬化皮膜に反りがな
いことを確認した後,JIS K 7113,5.1(試験片)の1号試験片に機械加工したものを試験片とする。
5.7 曲げ強さ 曲げ強さは,JIS K 7203によるほか,次のとおりとする。
(1) 試験片の作製 5.6によって硬化皮膜を作製する。その後,JIS K 7203 5.1(試験片の寸法)の寸法に
切り取ったものを試験片とする。
5.8 耐衝撃性 耐衝撃性は,JIS K 5400の8.3.2(デュポン式)によるほか,次のとおりとする。
(1) 試験片の作製 JIS G 3101に規定するSS400 (150×100×3.2mm) を試験板とし,この片面に本体5.に
規定する方法で施工した後,7日間放置したものを試験片とする。
――――― [JIS K 6940 pdf 13] ―――――
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K 6940 : 1998
(2) 操作 1種用と2種A用は300mmの高さから,2種B用は200mmの高さから質量500±1gのおもり
を落とす。
5.9 接着強さ 接着強さは,JIS K 6850によるほか,次のとおりとする。
(1) 試験片材料 試験片材料は,JIS G 3101に規定するSS400 (100±0.5×25±0.5×3.2mm) とする。
(2) 試験片の作製 試験片材料のおのおのの接着部分に,本体5.に規定する素地調整を行い,ビニルエス
テル樹脂用プライマーを塗布して接着させた後,7日間放置したものを試験片とする。
5.10 バーコル硬さ バーコル硬さは,JIS K 6911 5.16.2(バーコル硬さ)によるほか,次のとおりとする。
(1) 試験片の作製 5.7(1)又は5.8(1)による。
5.11 水蒸気透過率
(1) 要旨 一定時間に単位面積の皮膜を透過する水蒸気の量を測定し,これに皮膜の厚さと,測定時の皮
膜の表裏の湿度差による蒸気圧の影響を加え,材料の水蒸気透過率を求める。
(2) 装置及び材料 装置及び材料は,JIS K 5400,8.17(2)(装置及び材料)によるほか,次のとおりとす
る。
(a) 試験片の作製 試験板に離型紙を敷き,その上に本体5.に規定する方法によって均一に施工し7日
間放置後,離型紙から皮膜をはがして硬化皮膜とする。皮膜に反りがなく均一な厚さの部分を,直
径約70mmの円形に切り取ったものを試験片とする。
(3) 操作 操作は,JIS K 5400,8.17(4)(操作)によるほか,次のとおりとする。
(a) 皮膜の厚さ 測定箇所は,試験片の5か所とし,その平均値を試験片の厚さとする。
(b) 試験条件 温度40±5℃で,相対湿度 (90±2) %とする。
(4) 計算 計算は,JIS K 5400,8.17(5)(計算及び記録)によるほか,次による。
(a) 水蒸気透過度W. Vを次の式によって求める。
M
W.V
T S
ここに, W. V : 水蒸気透過度 (g/m2・24h)
M : 最終測定とその前の測定との間の質量の増加 (mg)
T : 最終測定とその前の測定との間の時間間隔 (h)
S : 水蒸気透過面積 (cm2)
(b) (a)で算出した水蒸気透過度W. Vを次の式に入れ,水蒸気透過率Qを算出し,有効数字2けたに丸
める。
W.V l
Q
P
ここに, Q : 水蒸気透過率 (ng・m−1・S−1・Pa−1)
W. V : 水蒸気透過度 (g/m2・24h)
l : 試験片の平均皮膜厚さ (cm)
P : 試験片表裏の蒸気分圧差 (Pa)
5.12 耐酸性
(1) 器具及び装置
(a) 容器 試験片を完全に浸せきさせることができるガラス製広口瓶又は適当な容器。
(b) 恒温装置 80±2℃に保持できるもの。
(2) 試薬
(a) 硫酸 (30wt%) IS K 8951に規定する硫酸を蒸留水又はイオン交換水で30wt%に調製したもの。
――――― [JIS K 6940 pdf 14] ―――――
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(3) 試験片の作製
(a) 試験板 JIS G 3101に規定するSS400 (100×50×3.2mm)
(b) 試験片の作製 試験板を2枚用意し,本体5.に規定する方法によって両面を施工し端部も十分に塗
り包み,7日間放置したものを試験片とする。
(4) 操作
(a) 容器に硫酸 (30wt%) を入れ,試験片2枚を完全に浸せきする。
(b) 容器を密封して,恒温装置内に7日間静置する。
(c) 試験片を取り出し,速やかに流水ですすぎ,乾いた布でふ(拭)き,皮膜の状態を目視によって調
べる。
5.13 耐アルカリ性
(1) 器具及び装置
(a) 容器 試験片を完全に浸せきさせることができるポリエチレン製又はポリプロピレン製の広口容器
又は他の適当な容器。
(b) 恒温装置 40±2℃に保持できるもの。
(2) 試薬
(a) 水酸化ナトリウム (50wt%) IS K 8576に規定する水酸化ナトリウムを蒸留水又はイオン交換水
で50wt%に調製したもの。
(3) 試験片の作製
(a) 試験板 5.12(3)(a)による。
(b) 試験片の作製 5.12(3)(b)による。
(4) 操作
(a) 容器に水酸化ナトリウム (50wt%) を入れ,試験片2枚を完全に浸せきする。
(b) 容器を密封して,恒温装置内に7日間静置する。
(c) 試験片を取り出し,速やかに流水ですすぎ,乾いた布で拭き,皮膜の状態を目視によって調べる。
5.14 耐冷熱繰り返し性
(1) 装置
(a) 恒温装置 130±2℃に保持した空気が試験片上を,速度0.52.5m/sで循環できるもの。
(2) 試験片の作製 5.8(1)による。
(3) 操作 操作は,次のとおり行う。
(a) 試験片2枚を130±2℃に保った恒温装置の中に入れ,2時間保持する。
(b) 試験片を取り出し,速やかに流水中に入れ,10分間放置した後,乾いた布で拭く。
(c) この操作を10回繰り返し,皮膜の状態を目視によって調べる。
5.15 耐溶剤性
(1) 器具
(a) 容器 試験片を完全に浸せきさせることができる容器。
(2) 試薬
(a) トルエン JIS K 8680に規定するもの。
(3) 試験片の作製 5.12(3)(b)による。
(4) 操作 操作は,次のとおりに行う。
(a) 容器にトルエンを入れ,試験片2枚を完全に浸せきする。
――――― [JIS K 6940 pdf 15] ―――――
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JIS K 6940:1998の国際規格 ICS 分類一覧
- 25 : 生産工学 > 25.220 : 表面処理及び被覆加工 > 25.220.60 : 有機被覆
JIS K 6940:1998の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB7503:2017
- ダイヤルゲージ
- JISB7601:1983
- 上皿天びん
- JISC2202:1995
- 鉛蓄電池用ガラスマット
- JISG3101:2015
- 一般構造用圧延鋼材
- JISG3101:2020
- 一般構造用圧延鋼材
- JISK0050:2019
- 化学分析方法通則
- JISK0211:2013
- 分析化学用語(基礎部門)
- JISK5400:1990
- 塗料一般試験方法
- JISK5500:2000
- 塗料用語
- JISK6850:1999
- 接着剤―剛性被着材の引張せん断接着強さ試験方法
- JISK6900:1994
- プラスチック―用語
- JISK6901:2008
- 液状不飽和ポリエステル樹脂試験方法
- JISK6911:1995
- 熱硬化性プラスチック一般試験方法
- JISK6919:1992
- 繊維強化プラスチック用液状不飽和ポリエステル樹脂
- JISK7113:1995
- プラスチックの引張試験方法
- JISK7203:1995
- 硬質プラスチックの曲げ試験方法
- JISK8576:2019
- 水酸化ナトリウム(試薬)
- JISK8680:2006
- トルエン(試薬)
- JISK8951:2006
- 硫酸(試薬)
- JISR3410:2006
- ガラス繊維用語
- JISR3413:2012
- ガラス糸
- JISR3420:2013
- ガラス繊維一般試験方法
- JISR3503:1994
- 化学分析用ガラス器具
- JISR3505:1994
- ガラス製体積計
- JISR3645:1998
- ガラス棒
- JISZ0103:1996
- 防せい防食用語
- JISZ0310:2016
- 素地調整用ブラスト処理方法通則
- JISZ0313:2004
- 素地調整用ブラスト処理面の試験及び評価方法
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方
- JISZ8801:1994
- 試験用ふるい