JIS K 2503:1996 航空潤滑油試験方法 | ページ 4

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(4) 特記事項

9. 腐食酸化安定度試験方法

9.1 試験の原理

 試料100mL中に銅,鋼,アルミニウム合金,マグネシウム合金及びカドミウムめっき
鋼の各試験片を浸し,空気を吹き込みながら121℃で168時間(6)加熱後,試料の減失量,試験片の質量変
化,酸化油の全酸価の増加及び動粘度変化を求める。
注(6) 個別製品規格に規定のある場合は,その温度又は時間とする。
参考 この方法はFS 5308.7を参照して規定したものである。

9.2 試薬

 試薬は,次による。
(1) トルエン JIS K 8680に規定するもの。
(2) アセトン JIS K 8034に規定するもの。
(3) クロロホルム JIS K 8322に規定するもの。

9.3 腐食酸化安定度試験器

 腐食酸化安定度試験器は,次による。
(1) 試験器及び凝縮器 図10及び図11に示す形状・寸法のほうけい酸ガラス製のもの。
備考 JIS K 2839に規定する図9及び図10のものがこれに相当する。
(2) 空気導入管 図12に示す形状・寸法のほうけい酸ガラス製のもの。
備考 JIS K 2839に規定する図11のものがこれに相当する。
図10 試験器 図11 凝縮器 図12 空気導入管
(3) 恒温浴 121±0.5℃の温度に保つことができるもの。
(4) 拡大鏡 倍率が約20倍のもの。

9.4 試験片及び研磨材

――――― [JIS K 2503 pdf 16] ―――――

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9.4.1 試験片 図13の(a)に示す形状・寸法の金属片(厚さ0.8mm)で,各金属片は,次に規定するもの
を用いる。
(1) 銅 純度99.90%以上の電解銅。
備考 JIS H 3100に規定するC1100Pのものがこれに相当する。
(2) 鋼 ブライト仕上げ鋼板。
備考 JIS G 3141に規定するSPCC-SBのものがこれに相当する。
(3) アルミニウム合金 熱処理したアルミニウム合金。
備考 JIS H 4000に規定するA2024Pのものがこれに相当する。
(4) カドミウムめっき鋼 鋼素地にカドミウムめっきを施したもの。
備考 鋼素地にJIS H 8611に規定するMFCdIIIを施したものがこれに相当する。
(5) マグネシウム合金 硬質のもので,表10に示す化学組成をもつもの。
表10 マグネシウム合金の化学組成
組成 含有量 質量%
アルミニウム 2.53.5
マンガン 0.2以上
亜鉛 0.71.3
けい素 0.1以下
銅 0.04以下
ニッケル 0.005以下
鉄 0.005以下
カルシウム 0.04以下
その他の成分 0.30以下
マグネシウム 残部
備考 JIS H 4201に規定するMP1H14のものがこ
れに相当する。
9.4.2 研磨材 研磨材は,次による。
(1) 研磨紙 JIS R 6251又はJIS R 6252に規定する炭化けい素研磨材で,粒度がP240“又は#240”の研磨
布又は研磨紙。
参考 9.4.2(1)の規定の中で“ ”内の#の付いた数値は,JIS R 6251又はJIS R 6252の付表7の粒度
であって,平成9年3月31日まで適用する。
(2) 研磨粉 JIS R 6111に規定する炭化けい素質研削材で,粒度150番のもの。

9.5 試験片の準備

 試験片の準備は,次による。
(1) 試験片の研磨
(a) 予備研磨 銅,鋼,アルミニウム合金及びマグネシウム合金の各試験片を研磨するには,研磨紙(7)
を平らな表面に置き,灯油を滴下して湿らせ,これに試験片を置いて,わずかに試験片を圧し,円
を描くようにしながら両面及び側面を磨いた後,直ちにアセトン中に浸して保存する。
研磨する際には,ろ紙又は木綿手袋を用い,直接,手で触れないようにする。
注(7) 異種の金属試験片を研磨する場合には,新しい研磨紙を用いる。
(b) 仕上げ研磨 アセトン中に保存してある試験片を取り出し,ろ紙上に受け,あらかじめアセトンで
湿した脱脂綿に研磨粉を付着させ,この研磨綿で試験片の両面が鏡面になるまで磨きあげる。磨き
終わった後,新しい脱脂綿で,脱脂綿に汚れが認められなくなるまで試験片に付着した研磨粉など
をふき取る。試験片の取扱いには,常にステンレス鋼製ピンセット又は新しい脱脂綿を用い,直接,

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手で触れないようにする。
試験片の研磨粉などをふき取った後,試験片を,トルエン,アセトンの順序で各沸騰液中で洗浄
し,自然乾燥する。
試験片に曇りがなければ,質量を1mgのけたまではかり,これを記録する。
(2) カドミウムめっき鋼の試験片は,トルエン,アセトンの順序で各沸騰液中で洗浄し,自然乾燥した後,
質量を1mgのけたまではかる。
(3) 適切な長さの麻糸を約10分間沸騰水に浸した後,乾燥する。この麻糸を使用し,図13の(b)に示すよ
うに各試験片を組み立て(8),試験に用いる。この際,試験片及び麻糸の取扱いには,ステンレス鋼製
ピンセット及び木綿手袋などを用い,直接,手で触れてはならない。
注(8) 各試験片を配列し,これを麻糸で結ぶ場合は,図13の(b)に示す立体が得られるよう,各試験片
を保持するため木板に適切な深さの溝を設けたものを用いるとよい。試験片を配列するとき,
マグネシウム合金と銅とが触れないようにする。
図13 試験片

9.6 試料の採取及び調製方法

 試験用試料は,JIS K 2251に規定する二次試料の採取・調製方法,又は
それに準じた方法によって採取・調製する。

9.7 試験の手順

 試験の手順は,次による。
(1) 9.5(3)によって組み立てた試験片を試験管に納めて,質量を0.1gのけたまではかり,更に試料(以下,
未酸化油という。)100±1mLをこれに入れ,質量を0.1gのけたまではかり,これを記録しておく。こ
の試験管を121±0.5℃(6)の恒温浴中に入れ,試験管に凝縮器を取り付ける。次に,空気導入管を凝縮
器に通し,試料中に差し込み,空気導入管の先端が試験管の内底部から約6mm上方で試験片のひし
形中にあるようにし,導入管の他端をゴム管で空気送風管に連結する。次に,清浄な乾燥空気を毎時
5±0.5Lになるように調節して,試料中に吹き込む。
(2) 試料中に空気を吹き込みながら,121±0.5℃の温度で168時間(6)加熱した後,空気の吹込みを止め,
空気導入管及び凝縮器を取り除く。次に試験管を浴から取り出し,試験管の付着物を布(必要に応じ
て工業ガソリンなど適切な溶剤で布を湿らす。)などでよくふき取って,この質量を0.1gのけたまで
はかる。
なお,9.8(1)の減失量が8質量%を超えた場合は,蒸気漏れなどの原因を除いてから試験をやり直す。
(3) 試験管中の試料(以下,酸化油という。)を清浄なビーカに移し,試験片を引き出して麻糸を取り除く。
試験片をピンセットで挟み,それぞれをトルエン,クロロホルム及びアセトンの順序で,それらの沸
騰液中に浸して洗浄する(9)。この際試験片をこすったり,ブラシをかけたりしてはならない。次に,

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試験片を自然乾燥し,質量を1mgのけたまではかる。
注(9) この洗浄操作はドラフト内で行い,測定者は蒸気を吸い込まないように注意すること。
備考 クロロホルムの洗浄を省略してもよいが,試験結果に疑義が生じたときはトルエン,クロロホ
ルム及びアセトンの順序で洗浄した結果による。
(4) 各試験片の腐食状態を拡大鏡の下で調べ,有孔(ピッチング)又は腐食(エッチング)の有無を記録
する。
(5) 酸化油及び試験後の試験管内面を調べ,不溶解物又はガム状物質の有無を記録する。
(6) 未酸化油及び酸化油の全酸価をJIS K 2501に規定する指示薬滴定法又は電位差滴定法によって測定す
る。
(7) 未酸化油及び酸化油の40℃(6)における動粘度をJIS K 2283に規定する動粘度試験方法によって測定
する。

9.8 計算方法

 計算方法は,次による。
(1) 試料の減失量 酸化前後の試料の質量から,次の式によって算出し,JIS Z 8401の規定によって小
数点以下1けたに丸める。
100 A1 A2
A
A1
ここに, A : 試料の減失量 (%)
A1 : 未酸化油のはかり採り量 (g)
A2 : 酸化油の量 (g)
(2) 試験片の質量変化 酸化前後の各試験片の質量変化を,次の式によって算出し,JIS Z 8401の規定に
よって小数点以下1けたに丸める。
1000 Bi1 Bi2
Bi
Si
ここに, Bi : i試験片の質量変化 (mg/cm2)
Bi1 : i試験片の酸化後の質量 (g)
Bi2 : i試験片の酸化前の質量 (g)
Si : i試験片の表面積 (cm2)
i : 9.4.1に規定する(1)(5)の試験片
(3) 全酸価の増加 酸化前後の試料の全酸価の差を,次の式によって算出し,JIS Z 8401によって小数点
以下2けたに丸める。
C=C1−C2
ここに, C : 全酸価の増加 (mg KOH/g)
C1 : 酸化油の全酸価 (mg KOH/g)
C2 : 未酸化油の全酸価 (mg KOH/g)
(4) 40℃における動粘度変化 酸化前後の試料の動粘度から,次の式によって算出し,JIS Z 8401によっ
て小数点以下1けたに丸める。
100 D1 D2
D
D2
ここに, D : 40℃における動粘度変化 (%)
D1 : 酸化油の動粘度 (mm2/s) [{cSt}]
D2 : 未酸化油の動粘度 (mm2/s) [{cSt}]
(5) 試験片の外観 各試験片を拡大鏡によって調べた有孔(ピッチング)又は腐食(エッチング)の有無
及び外観を付記する。

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(6) ガム状物質の有無 酸化油及び試験管内面における不溶解物又はガム状物質の有無を付記する。

9.9 試験結果の報告

 試験結果には,次の事項を記載する。
(1) 試料名,採取場所及び採取年月日
(2) このJISの規格番号
(3) 表1に示す試験方法の種類及び9.8によって得られた結果
(4) 特記事項
付表1 引用規格
JIS B 7410 石油類試験用ガラス製温度計
JIS G 3141 冷間圧延鋼板及び鋼帯
JIS H 3100 銅及び銅合金の板及び条
JIS H 4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
JIS H 4201 マグネシウム合金板
JIS H 8611 電気カドミウムめっき
JIS K 0557 化学分析用の水
JIS K 2201 工業ガソリン
JIS K 2249 原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表
JIS K 2251 原油及び石油製品−試料採取方法
JIS K 2254 石油製品−蒸留試験方法
JIS K 2256 石油製品アニリン点及び混合アニリン点試験方法
JIS K 2269 原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法
JIS K 2270 原油及び石油製品−残留炭素分試験方法
JIS K 2283 原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法
JIS K 2435 ベンゼン・トルエン・キシレン
JIS K 2501 石油製品及び潤滑油−中和価試験方法
JIS K 2839 石油類試験用ガラス器具
JIS K 8005 容量分析用標準物質
JIS K 8034 アセトン(試薬)
JIS K 8102 エタノール(95)(試薬)
JIS K 8180 塩酸(試薬)
JIS K 8271 キシレン(試薬)
JIS K 8322 クロロホルム(試薬)
JIS K 8574 水酸化カリウム(試薬)
JIS K 8680 トルエン(試薬)
JIS K 8799 フェノールフタレイン(試薬)
JIS K 8844 ブロモフェノールブルー(試薬)
JIS K 8848 ヘキサン(試薬)
JIS K 8900 2−ブタノン(試薬)
JIS R 6111 人造研削材
JIS R 6251 研磨布

――――― [JIS K 2503 pdf 20] ―――――

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JIS K 2503:1996の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 6293:1983(MOD)

JIS K 2503:1996の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 2503:1996の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB7410:1997
石油類試験用ガラス製温度計
JISG3141:2017
冷間圧延鋼板及び鋼帯
JISG3141:2021
冷間圧延鋼板及び鋼帯
JISH3100:2018
銅及び銅合金の板及び条
JISH4000:2014
アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
JISH4201:2018
マグネシウム合金板及び条
JISH8611:1999
電気カドミウムめっき
JISK0557:1998
用水・排水の試験に用いる水
JISK2201:1991
工業ガソリン
JISK2249:1995
原油及び石油製品―密度試験方法及び密度・質量・容量換算表
JISK2251:2003
原油及び石油製品―試料採取方法
JISK2254:2018
石油製品―蒸留性状の求め方
JISK2256:2013
石油製品―アニリン点及び混合アニリン点の求め方
JISK2269:1987
原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法
JISK2270-1:2009
原油及び石油製品―残留炭素分の求め方―第1部:コンラドソン法
JISK2270-2:2009
原油及び石油製品―残留炭素分の求め方―第2部:ミクロ法
JISK2283:2000
原油及び石油製品―動粘度試験方法及び粘度指数算出方法
JISK2501:2003
石油製品及び潤滑油―中和価試験方法
JISK2839:1990
石油類試験用ガラス器具
JISK8005:2014
容量分析用標準物質
JISK8034:2006
アセトン(試薬)
JISK8102:2012
エタノール(95)(試薬)
JISK8180:2015
塩酸(試薬)
JISK8180:2021
塩酸(試薬)
JISK8271:2007
キシレン(試薬)
JISK8322:2020
クロロホルム(試薬)
JISK8574:2006
水酸化カリウム(試薬)
JISK8680:2006
トルエン(試薬)
JISK8799:2020
フェノールフタレイン(試薬)
JISK8844:2012
ブロモフェノールブルー(試薬)
JISK8848:2012
ヘキサン(試薬)
JISK8900:2012
2-ブタノン(試薬)
JISR6111:2005
人造研削材
JISR6111:2020
人造研削研磨材
JISR6251:2006
研磨布
JISR6252:2006
研磨紙
JISZ8401:2019
数値の丸め方
JISZ8402-6:1999
測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第6部:精確さに関する値の実用的な使い方
JISZ8801-1:2019
試験用ふるい―第1部:金属製網ふるい