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K 5601-4-1 : 2012
50 mL若しくは100 mLの全量ピペット(20 ℃で調整された)又はこれらと同等の品質をもつ自動ピ
ペット。
i) ビュレット ビュレットは,JIS R 3505に規定するもの又は自動計量装置。
j) メスシリンダ メスシリンダは,JIS R 3505に規定する呼び容量100 mL又は300 mLのもの。
k) 分液漏斗 分液漏斗は,JIS R 3503に規定する呼び容量100 mL又は500 mLのもの。
l) 共栓付きフラスコ 共栓付きフラスコは,JIS R 3503に規定する呼び容量10 mL及び100 mLの共通
すり合わせ三角フラスコのもの。
m) 共栓付き試験管 共栓付き試験管は,呼び容量10 mLのもの。
n) 試験体支持金物 デシケータ内で試験片を固定する試験体支持金物(図2)は,ステンレス製又はア
ルミニウム製のワイヤで,下から支えるか,又はつりかけて試験片を立てるようにしたもの。
o) ステンレス製金網 ステンレス製金網は,デシケータ内で試験片を取り付けた試験体支持金物を置く
台であり,ステンレス製ワイヤ部分の間隔が15 mmより大きく作られた直径240 mmの金網のもの。
p) 高速液体クロマトグラフ 高速液体クロマトグラフは,JIS K 0124に規定するUV検出器が装備され
ているもの。
a) 下から支えるタイプ b) つりかけタイプ
図2−試験体支持金物
5.4 試薬の調製
試薬の調製は,次による。
a) 0.05 mol/Lよう素溶液 0.05 mol/Lよう素溶液は,JIS K 8913に規定するよう化カリウム40 gを水25
mLに溶かし,これにJIS K 8920に規定するよう素13 gを溶かした後,これを全量フラスコ1 000 mL
に移し入れ,JIS K 8180に規定する塩酸3滴を加えた後,水を標線まで加えて調製する。
b) 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液は,JIS K 8637に規定するチオ
硫酸ナトリウム五水和物26 g及びJIS K 8625に規定する炭酸ナトリウム0.2 gを,溶存酸素を含まな
い水(JIS K 0557の4. の備考3. による。)1 000 mLに溶かし,2日間放置した後,JIS K 8005に規定
するよう素酸カリウムを用いて,JIS K 8001のJA.5.2 t) 2) によって標定を行う。
c) 1 mol/L水酸化ナトリウム溶液 1 mol/L水酸化ナトリウム溶液は,JIS K 8576に規定する水酸化ナト
リウム40 gを水200 mLに溶かし,これを全量フラスコ1 000 mLに移し入れ,水を標線まで加えて調
製する。
d) 1 mol/L硫酸溶液 1 mol/L硫酸溶液は,JIS K 8951に規定する硫酸56 mLを水200 mLに溶かし,こ
れを全量フラスコ1 000 mLに移し入れ,水を標線まで加えて調製する。
e) でんぷん溶液 でんぷん溶液は,JIS K 8659に規定するでんぷん1 gを水10 mLとよく混和し,熱水
200 mL中にかき混ぜながら加え,約1分間煮沸し冷却した後,ろ過する。
――――― [JIS K 5601-4-1 pdf 6] ―――――
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f) ホルムアルデヒド標準原液 ホルムアルデヒド標準原液は,JIS K 8872に規定するホルムアルデヒド
液1 mLを全量フラスコ1 000 mLに入れ,水を標線まで加えて調製したもので,濃度は,次の操作で
求める。ホルムアルデヒド標準原液20 mLを共通すり合わせ三角フラスコ100 mLに分取し,0.05 mol/L
よう素溶液25 mL及び1 mol/L水酸化ナトリウム溶液10 mLを加え,遮光した状態で15分間室温に静
置する。次いで,1 mol/L硫酸溶液15 mLを加え,遊離したよう素を直ちに0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリ
ウム溶液で滴定する。溶液が淡黄色に変化してから,でんぷん溶液1 mLを指示薬として加え,更に
滴定し,でんぷん溶液によって変化した色が消えた時点を終点とする。これとは別に水20 mLを用い
て空試験を行い,次の式(1)によってホルムアルデヒド濃度を算出する。
C 5.1 V0 V f (1)
1 000 / 20
ここに, C : ホルムアルデヒド標準原液中のホルムアルデヒド濃度(mg/L)
V : ホルムアルデヒド標準原液中の0.1 mol/Lのチオ硫酸ナトリウ
ム溶液の滴定量(mL)
V0 : 空試験における滴定量(mL)
f : 0.1 mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液のファクタ
1.5 : 0.1 mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液1 mLに相当するホルムア
ルデヒド量(mg)
g) ホルムアルデヒド標準液 ホルムアルデヒド標準液は,次のいずれかによる。
1) ホルムアルデヒド標準原液10 mLを全量ピペットで1 000 mL全量フラスコに正確にとり,水を標線
まで加えて1 000 mLとする。
2) 計量標準供給制度(JCSS)によって提供される,国家計量標準にトレーサブルであるホルムアルデ
ヒド標準液(水質試験用HCHO : 1 000 mg/L)2 mLを原液として,500 mL全量フラスコにとり,
水を標線まで加えて500 mLとする。
h) アセチルアセトン−酢酸アンモニウム溶液 アセチルアセトン−酢酸アンモニウム溶液は,JIS K
8359に規定する酢酸アンモニウム150 gを800 mLの水に溶かし,これにJIS K 8355に規定する酢酸
3 mLとJIS K 8027に規定するアセチルアセトン2 mLとを加え十分に混合し,更に水を加えて1 000
mLとする。直ちに測定を行わない場合は,010 ℃の冷暗所に,調製後3日を超えない間保管する
ことができる。
i) 2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH溶液) 2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH溶液)は,
JIS K 8480に規定する2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)0.13 gを濃塩酸25 mLに溶解し,蒸
留水を加えて250 mLにする。この溶液を分液漏斗500 mLに移し,JIS K 8322に規定するクロロホル
ム5 mLを加え振とうし,静置後下層のクロロホルム相を除去する。再度クロロホルム5 mLを加えて
振とうし,静置後下層のクロロホルム相を除去し,溶液作製時までに混入したホルムアルデヒドを除
去する。直ちに測定を行わない場合は,010 ℃の冷暗所に,調製後14日間を超えない間保管するこ
とができる。
5.5 試験片の作製
5.5.1 試験板
試験板は,JIS R 3202に規定するガラス板又はJIS H 4000に規定するアルミニウム板を使用し,JIS K
5600-1-4の方法によって調整する。
5.5.2 試験板の寸法及び枚数
試験板の寸法及び枚数は,次による。
――――― [JIS K 5601-4-1 pdf 7] ―――――
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a) 試験板は,長さ150±1 mm,幅150±1 mmとする。
b) 試験板は2枚とし,これを2組作成する。
5.6 試料の塗り方
試料の塗り方は,次による。
a) はけ塗り,ローラ塗り,こて塗りなどで試験板の片面に全面に塗り付けし,試験片とする。
b) 試料の塗り付け量は,日本工業規格(日本産業規格)(以下,JISという。)に規定している場合は,その塗り付け量に
従い,JISに規定のない場合は,その試料の塗装仕様書に従う。試料を希釈して塗り付ける場合は,
希釈前の試料の質量を塗り付け量とする。
c) 塗装仕様書に下塗り塗料,上塗り塗料などと組み合わせて使用するように指定した場合でも,試験は,
それぞれの試料について,単独で実施する。
d) それぞれの試料の2回塗り,3回塗りの塗装間隔などについては,塗装仕様書に従う。
e) 現場塗装を想定し,塗り付けが終了した時点を養生開始時点とする。
5.7 養生
養生中の試験片は,JIS K 5600-1-6に規定する標準状態で保管し,表面に空気が自由に接触できるよう
に互いに25 mm以上離す。また,ホルムアルデヒドの放散量が低い試験片は,周辺環境のホルムアルデヒ
ドを吸着しないように注意する。
なお,養生期間はそれぞれの製品規格の規定による。規定がない場合は,7日間とする。
5.8 試験方法
5.8.1 試験装置の準備
試験装置の準備は,次による。
a) デシケータ及び結晶皿を複数個(3個の場合,そのうちの1個は空試験用とする。)用意し,それぞれ
を試験前に水で十分洗浄し乾燥する。
b) 各結晶皿に300 mLの水を入れ,各デシケータの底の中央部に置く。
なお,ホルムアルデヒドの放散量が,0.12 mg/L以下(ホルムアルデヒド放散等級 : F☆☆☆☆)と
予想される場合は,各結晶皿に100 mLの水を入れる。
c) 図1のように,デシケータ内の結晶皿の上にステンレス製金網を置き,その上に試験体支持金物を図
2に示すように置く。
d) 複数のデシケータは,23±2 ℃に調節された試験場所に静置する。
e) デシケータ内の温度は,試験片を装着しないデシケータを用い,その中に温度計を挿入し,連続的又
は15分を超えない間隔で試験期間中測定する。
なお,デシケータに近接する環境を,熱電対などを取り付けて測定してもよい。
5.8.2 試験片の装着
試験片の装着は,次による。
a) 所定養生期間を経過した2枚の試験片の裏面と裏面とを約2 cm間隔で向き合わせ,それぞれの試験片
の試験面が外側になるように,デシケータ内の試験体支持金物に装着する。
b) デシケータに蓋をして,放散試験を開始する。
5.8.3 空試験のホルムアルデヒド濃度測定
空試験のホルムアルデヒド濃度は,試験片を装着しないデシケータを用いて測定する。
5.8.4 試験時間
1回の放散試験の時間は,24時間±5分とする。
――――― [JIS K 5601-4-1 pdf 8] ―――――
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5.8.5 試験溶液の採取
結晶皿のホルムアルデヒドを吸収した水を試験溶液とする。規定の時間経過後,試験溶液を十分混合す
る。共通すり合わせ三角フラスコ100 mLを試験溶液の一部で洗浄した後,この溶液を満たしガラス共栓
をする。試験溶液のホルムアルデヒド濃度を直ちに測定できない場合は,試験溶液を測定するまで05 ℃
で最大30時間保管できる。
5.8.6 定量方法
試験溶液中のホルムアルデヒド濃度は,JIS K 0115に規定する吸光光度法又はJIS K 0124に規定する
HPLC法によって測定する。
a) 吸光光度法 5.8.5の試験溶液5 mLを共通すり合わせ三角フラスコ10 mL又は共栓付き試験管で採取
し,次に,アセチルアセトン−酢酸アンモニウム溶液5 mLを加え,栓をして混合する。この共通す
り合わせ三角フラスコを,65±2 ℃の恒温水槽で10分間加温した後,この溶液を室温になるまで遮光
した状態で冷却する。この溶液を吸収セルにとり,水を対照として,波長412 nmで吸光度を測定す
る。波長412 nm以外で最大吸収が生じる場合は,検量線作成を含む全ての測定をこの波長で測定し
てもよい。
試料のホルムアルデヒド放散量が0.12 mg/L以下(ホルムアルデヒド放散等級 : F☆☆☆☆)と予想
される場合は,JIS K 0115に規定する,光路長50 mm以上の吸収セルを用いて測定することができる。
その場合,吸収セルの容積に合わせて,5.8.5の試験溶液の量,アセチルアセトン−酢酸アンモニウム
溶液の量及び共通すり合わせ三角フラスコの容量を変えることができる。
なお,同様に空試験溶液についてホルムアルデヒド濃度を測定する。
b) PLC法 5.8.5の試験溶液25 mLを分液漏斗に採取し,次にDNPH溶液10 mLを加えて振り混ぜ,
4050分室温で静置する。この溶液にJIS K 8322に規定するクロロホルム10 mLを加え振り混ぜ,
生成したDNPH誘導体をクロロホルム相に抽出する。このクロロホルム相をHPLCで,波長360 nm
(DNPH誘導体の吸収極大波長)を用いて測定する。溶離液は,(アセトニトリル/水又はメタノール
/水)混合溶液を用いる。
なお,空試験溶液のホルムアルデヒド濃度についても同様に測定する。
5.8.7 検量線の作成
検量線作成用のホルムアルデヒド溶液は,ホルムアルデヒド標準液をピペットで0 mL,5 mL,10 mL,
20 mL及び50 mLを別々の100 mLの全量フラスコに入れた後,水を標線まで加える。
なお,ホルムアルデヒド放散量が0.12 mg/L以下(ホルムアルデヒド放散等級 : F☆☆☆☆)と予想され
る場合は,ホルムアルデヒド標準液をピペットで0 mL,5 mL,10 mL,20 mL及び50 mLを別々の1 000 mL
の全量フラスコに入れた後,水を標線まで加える。
それぞれの検量線作成用溶液から吸光光度法は5 mL,HPLC法は25 mLを分取し,5.8.6のa) 又はb) の
操作を行い,ホルムアルデヒド量をY軸に,吸光度又はHPLCから得たピーク面積をX軸に取って,検量
線を作成する。そのときの検量線の傾き(F)は,グラフ又は計算で求める。
なお,吸収セルの容積に合わせて,検量線作成用溶液から分取する液量を変えることができる。
5.8.8 計算
デシケータ内の結晶皿中の水に吸収されたホルムアルデヒド濃度は,次の式(2)によって算出する。
G F Ad Ab 1 800 / SL/ 300 (2)
ここに, G : 水に吸収されたホルムアルデヒド濃度(mg/L)
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Ad : 試験片を入れたデシケータ内の溶液の吸光度(Abs)又は
ピーク面積
Ab : 空試験用デシケータ内の溶液の吸光度(Abs)又はピーク
面積
F : ホルムアルデヒド標準液の検量線の傾き(mg/L)/(Abs
又はピーク面積)
S : 試験片の表面積(cm2)
L : 5.8.1 b) の水の量(mL)
5.8.9 試験結果の表示
水に吸収されたホルムアルデヒド濃度を塗膜からのホルムアルデヒド放散量とする。2組の測定値の平
均をJIS Z 8401に従って丸め,小数点以下2桁まで求める。
5.9 報告
試験報告には,次の事項を含む。
a) 試験機関
− 試験機関の名称及び所在地
− 試験責任者名
b) 製品に関する事項
− 製品の種類(可能な場合は商品名)
− サンプルの選択プロセス(抜取方法など)
− 製品の経緯(製造年月日,ロット番号など)
c) 試験結果 ホルムアルデヒドの放散量(mg/L)
d) 試験条件 試験場所の温度及び湿度
e) 測定機器 使用した装置,器具及び方法に関する情報[吸光光度計,吸収セルの種類(材質,光路長
など),高速液体クロマトグラフなど]
f) 品質管理及び品質保証 空試験の値
g) その他の必要事項
− 塗り付け量(g/m2)
− 希釈溶剤の有無及び希釈率
− 複数塗りの場合は,塗装間隔
− 試験板の種類
6 小形チャンバ法
受渡当事者間で取決めがある場合,小形チャンバ法によってホルムアルデヒド放散量を求めてもよい。
小形チャンバ法は,附属書Aによる。
――――― [JIS K 5601-4-1 pdf 10] ―――――
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JIS K 5601-4-1:2012の国際規格 ICS 分類一覧
JIS K 5601-4-1:2012の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISA1901:2015
- 建築材料の揮発性有機化合物(VOC),ホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物放散測定方法―小形チャンバー法
- JISA1962:2015
- 室内及び試験チャンバー内空気中のホルムアルデヒド及び他のカルボニル化合物の定量―ポンプサンプリング
- JISH4000:2014
- アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
- JISK0050:2019
- 化学分析方法通則
- JISK0102:2016
- 工場排水試験方法
- JISK0115:2004
- 吸光光度分析通則
- JISK0115:2020
- 吸光光度分析通則
- JISK0124:2011
- 高速液体クロマトグラフィー通則
- JISK0557:1998
- 用水・排水の試験に用いる水
- JISK5500:2000
- 塗料用語
- JISK5600-1-4:2004
- 塗料一般試験方法―第1部:通則―第4節:試験用標準試験板
- JISK5600-1-6:1999
- 塗料一般試験方法―第1部:通則―第6節:養生並びに試験の温度及び湿度
- JISK8001:2017
- 試薬試験方法通則
- JISK8005:2014
- 容量分析用標準物質
- JISK8027:2020
- アセチルアセトン(試薬)
- JISK8180:2015
- 塩酸(試薬)
- JISK8180:2021
- 塩酸(試薬)
- JISK8322:2020
- クロロホルム(試薬)
- JISK8355:2006
- 酢酸(試薬)
- JISK8355:2021
- 酢酸(試薬)
- JISK8359:2006
- 酢酸アンモニウム(試薬)
- JISK8480:2020
- 2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(試薬)
- JISK8576:2019
- 水酸化ナトリウム(試薬)
- JISK8625:2017
- 炭酸ナトリウム(試薬)
- JISK8637:2006
- チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
- JISK8659:2014
- でんぷん(溶性)(試薬)
- JISK8872:2008
- ホルムアルデヒド液(試薬)
- JISK8913:2006
- よう化カリウム(試薬)
- JISK8920:2008
- よう素(試薬)
- JISK8951:2006
- 硫酸(試薬)
- JISR3202:2011
- フロート板ガラス及び磨き板ガラス
- JISR3503:1994
- 化学分析用ガラス器具
- JISR3505:1994
- ガラス製体積計
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方