JIS K 8180:2021 塩酸(試薬) | ページ 4

           14
K 8180 : 2021
表3−分析種の測定用m/zの例
分析種 m/z
ナトリウム(Na) 23
銅(Cu) 63,65
銀(Ag) 107,109
マグネシウム(Mg) 24
カルシウム(Ca) 44,40
亜鉛(Zn) 66,68,64
カドミウム(Cd) 111,114
アルミニウム(Al) 27
すず(Sn) 118,120
鉛(Pb) 208,206,207
バナジウム(V) 51
ひ素(As) 75
アンチモン(Sb) 121,123
ビスマス(Bi) 209
クロム(Cr) 52,53,50
モリブデン(Mo) 95,98
タングステン(W) 184
セレン(Se) 82,78,77,80
マンガン(Mn) 55
鉄(Fe) 56,54,57
コバルト(Co) 59
ニッケル(Ni) 58,60
ガリウム(Ga) 69,71
イットリウム(Y) 89
インジウム(In) 115
タリウム(Tl) 205
d) 操作 操作は,次による。
なお,有害な塩化水素ガスなどが発生するため,排気に注意する。
1) 試料溶液の調製は,石英ガラス製平底蒸発皿に試料を適量はかりとり,熱板(ホットプレート)上
で穏やかに加熱し,沸騰させないように蒸発乾固する。少量の硝酸(1 mol/L)を用いて目盛付き試
験管に移し,硝酸(1 mol/L)で適切な体積とする(X液)。
なお,各分析種の蒸発時の揮散を抑えるため,極めて少量(10 μL)のJIS K 9905に規定する高
純度試薬−硫酸を,ピストン式ピペットを用いて加熱する前に加えてもよい。
注記 例として,試料20 gを10 mLに濃縮した溶液がある。
2) 空試験溶液の調製は,1)の操作において高純度試薬−硫酸を加えた場合に行い,石英ガラス製平底
蒸発皿に同じ体積の高純度試薬−硫酸を加え,熱板(ホットプレート)上で穏やかに加熱し,沸騰
させないように蒸発乾固する。少量の硝酸(1 mol/L)を用いて目盛付き試験管に移し,硝酸(1 mol/L)
で10 mLとする(Z液)。
3) 検量線溶液の調製は,6個の目盛付き試験管を準備する。それぞれの目盛付き試験管に,ピストン
式ピペットを用いて,混合標準液1(各分析種 : 0.1 μg/mL)を表4に示す体積を6段階はかりとり,
硝酸(1 mol/L)を標線まで加えて混合する(それぞれ,Y0液,Y1液,Y2液,Y3液,Y4液及びY5

――――― [JIS K 8180 pdf 16] ―――――

                                                                                            15
K 8180 : 2021
液とする。)。
表4−採取する標準液の体積
採取量 μl
標準液 μg/mL
Y0 Y1 Y2 Y3 Y4 Y5
混合標準液1 各0.1 0 10 50 100 500 1 000
4) CP-MS装置の一般事項は,JIS K 0133による。
5) CP-MS装置は,高周波プラズマを点灯するなどによって,イオンカウント数を測定できる状態に
する。
6) 液,X液,Y0液,Y1液,Y2液,Y3液,Y4液及びY5液をアルゴンプラズマ中に噴霧し,各分析種
のイオンカウント数を測定する。
e) 計算 JIS K 0133の12.2 a)(検量線法)によって検量線を作成し,各分析種の含有率を計算する。
f) 判定 e)によって計算し,得られた含有率が,規格値を満足しているとき,“ナトリウム(Na) : 質量
分率0.1 ppm以下(規格値),鉄(Fe)及びバナジウム(V) : 質量分率0.01 ppm以下(規格値),銅(Cu),
銀(Ag),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),亜鉛(Zn),アルミニウム(Al),すず(Sn),ビ
スマス(Bi),モリブデン(Mo),タングステン(W),コバルト(Co),ニッケル(Ni),ガリウム(Ga),
イットリウム(Y),インジウム(In)及びタリウム(Tl) : 質量分率0.005 ppm以下(規格値),ひ素
(As),アンチモン(Sb),セレン(Se)及びマンガン(Mn) : 質量分率0.002 ppm以下(規格値),カ
ドミウム(Cd),鉛(Pb)及びクロム(Cr) : 質量分率0.000 5 ppm以下(規格値)”とする。

6.13 水銀(Hg)

  水銀(Hg)の試験方法は,次による。
a) 試験用溶液類 試験用溶液類は,次による。
なお,水銀分析装置を用いる場合,製造業者が推奨する試験用溶液,試料量及び試験用溶液の添加
量を用いてもよい。
1) 水 水銀の含有率が質量分率100 ppt以下であるもの。
2) 塩化すず(II)溶液(200 g/L) JIS K 8136に規定する塩化すず(II)二水和物10 gをはかりとり,
硫酸(1+20)60 mLを加え,かき混ぜながら加熱して溶かし,冷却後,水を加えて100 mLとした
もの。この溶液は,調製後1週間以内に使用する。
なお,硫酸(1+20)の調製は,水の体積20を冷却し,かき混ぜながら,JIS K 8951に規定する
硫酸の体積1を徐々に加える。
3) 硝酸(1+1) JIS K 8541に規定する硝酸(質量分率60 %61 %の特級)の体積1と水の体積1と
を混合したもの。
4) 硫酸(1+1) 水の体積1を冷却し,かき混ぜながら,JIS K 8951に規定する硫酸の体積1を徐々に
加えたもの。
5) 水銀標準液(Hg : 10 ng/mL) JIS K 8001のJA.4(標準液)に規定する水銀標準液(1 mg/mL)1 mL
を全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,硝酸(1+1)[3)参照]10 mLを加え,水を標線まで加え
て混合する。その10 mLを全量フラスコ1 000 mLに正確にとり,水を標線まで加えて混合したも
の。使用時に調製する。
b) 器具及び装置 主な器具及び装置は,次による。

――――― [JIS K 8180 pdf 17] ―――――

           16
K 8180 : 2021
1) はかり瓶 JIS R 3503に規定する筒形はかり瓶,45 mm×60 mmのもの。
2) 還元容器 呼び容量200 mLのガラス瓶又は三角フラスコ(100 mLの位置に印を付けておく。)。
3) ピストン式ピペット 6.12 b) 3)による。
4) 還元気化方式装置 使用する原子吸光分析装置に附属するもの。
5) 原子吸光分析装置 装置の構成は,JIS K 0121に規定するもの。水銀分析装置を用いてもよい。
c) 操作 操作は,次による。
1) 原子吸光分析装置に還元気化方式装置を連結する。
なお,水銀を含む蒸気は,過マンガン酸カリウム·硫酸(1+4)溶液(50 g/L)を入れたガス洗
浄瓶又は活性炭などを充した管などを用いる水銀除去装置を通って放出される流路にしておく。
2) 試料溶液の調製は,試料20 gをはかり瓶に0.1 gの桁まではかりとり,あらかじめ水50 mLを入れ
た還元容器に振り混ぜながら徐々に加え,はかり瓶内を少量の水で洗い,洗液も還元容器に入れ,
水を加えて100 mLとする。
3) この溶液に手早く硫酸(1+1)1 mL及び塩化すず(II)溶液(200 g/L)10 mLを加え,還元容器を
直ちに還元気化方式装置に取り付ける。あらかじめ設定した最適流量で空気ポンプを作動させ,発
生した水銀蒸気を吸収セルに導き,波長253.7 nmの指示値を読み取る。
4) バイパスコックを開いて指示値が元に戻るまで通気を続ける。
5) 空試験溶液の調製は,還元容器に水100 mLを入れ,3)の操作を行って指示値を読み取った後,4)
の操作を行う。この指示値を用いて3)で得た指示値を補正する。
6) 検量線溶液の調製は,還元容器に水銀標準液(Hg : 10 ng/mL)0 mL1.0 mLを段階的にピストン式
ピペットを用いてとり,水を加えて100 mLとした後,3)の操作を行って指示値を読み取った後,4)
の操作を行う。
これらの指示値を水銀標準液(Hg : 10 ng/mL)0 mLについて得た指示値で補正した後,水銀の質
量(ng)と指示値との検量線を作成する。検量線は,試料測定時に作成する。
d) 計算 水銀の含有率(質量分率 ppm)は,次の式によって算出する。
H
G 71000
m
ここに, G : 水銀の含有率(質量分率ppm)
m7 : はかりとった試料の質量(g)
H : 検量線から求めた水銀の質量(ng)
e) 判定 計算して得られた含有率が,規格値を満足しているとき,“水銀(Hg) : 質量分率0.000 5 ppm
以下(規格値)”とする。

7 容器

  容器は,特級及びひ素分析用の場合は気密容器とし,微量金属分析用の場合は遮光した樹脂製の気密容
器とする。

8 表示

  容器には,次の事項を表示する。
a) この規格の番号
b) 名称“塩酸”及び“試薬”の文字

――――― [JIS K 8180 pdf 18] ―――――

                                                                                            17
K 8180 : 2021
c) 種類
d) 化学式及び式量
e) 濃度
f) 内容量
g) 製造番号
h) 製造年月又はその略号
i) 製造業者名又はその略号

――――― [JIS K 8180 pdf 19] ―――――

   18
K 8180 : 2021
K8
2
附属書JA
18
(参考)
0 : 2
JISと対応国際規格との対比表
021
JIS K 8180:2021 塩酸(試薬) ISO 6353-2:1983,Reagents for chemical analysis−Part 2: Specifications−First series R
13 Hydrochloric acid
(I) JISの規定 (II) (III)国際規格の規定 (V) JISと国際規格との技術的差
(IV) JISと国際規格との技術的差異の箇条ごと
国際 の評価及びその内容 異の理由及び今後の対策
規格
箇条番号 内容 箇条 内容 箇条ごと 技術的差異の内容
番号
及び題名 番号 の評価
1 適用範囲 試薬として用いる R 13 化学分析用試薬40品目 変更 JISは1品目1規格。 試薬の規格使用者が,試薬の各規
塩酸について規定。 の仕様について規定。 格を多く引用しやすくするため
に,1品目1規格としている。
なお,対応国際規格は長期間内容
の見直しが行われていないため市
場の実態に合わない。ISO規格の
見直しのときに,改正提案の検討
を行う予定。
3 種類 ISO対応の特級に − − 追加 種類の項目を追加。 ISO規格には,種類別の区分がな
加え,ひ素分析用及 い。JIS特級がISO規格品に対応
び微量金属分析用 する。“ひ素分析用及び微量金属
を追加。 分析用”は,JIS独自のものであ
る。
4 性質 − − 追加 性質の項目を追加。 一般的な説明事項であり,技術的
な差異はない。
5 品質 R 13.1 変更 1) 品質に差異のある項目 : 濃度,ISO規格は,長期間内容の見直し
が行われず国際市場でISO規格品
硫酸塩,遊離塩素,よう素還元性物
質,ひ素,鉄。 が用いられることはほとんどな
2) 追加した項目 : 蒸発残分。 い。また,技術的な差異も軽微で
3) 種類の区分を設けた。 ある。
− R 13.2 試験溶液の調製 変更 JISは,試験方法の該当項目ごとに編集上の差異であり,技術的な差
規定。 異は軽微である。

――――― [JIS K 8180 pdf 20] ―――――

次のページ PDF 21

JIS K 8180:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 6353-2:1983(MOD)

JIS K 8180:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 8180:2021の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISK0050:2019
化学分析方法通則
JISK0071-1:2017
化学製品の色試験方法―第1部:ハーゼン単位色数(白金-コバルトスケール)
JISK0113:2005
電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JISK0115:2004
吸光光度分析通則
JISK0115:2020
吸光光度分析通則
JISK0121:2006
原子吸光分析通則
JISK0133:2007
高周波プラズマ質量分析通則
JISK0970:2013
ピストン式ピペット
JISK8001:2017
試薬試験方法通則
JISK8012:2006
亜鉛(試薬)
JISK8034:2006
アセトン(試薬)
JISK8051:2010
3-メチル-1-ブタノール(試薬)
JISK8102:2012
エタノール(95)(試薬)
JISK8107:2017
エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(試薬)
JISK8136:2017
塩化すず(II)二水和物(試薬)
JISK8150:2006
塩化ナトリウム(試薬)
JISK8155:2017
塩化バリウム二水和物(試薬)
JISK8355:2006
酢酸(試薬)
JISK8355:2021
酢酸(試薬)
JISK8374:2007
酢酸鉛(II)三水和物(試薬)
JISK8541:2015
硝酸(試薬)
JISK8541:2021
硝酸(試薬)
JISK8576:2019
水酸化ナトリウム(試薬)
JISK8580:2011
すず(試薬)
JISK8625:2017
炭酸ナトリウム(試薬)
JISK8637:2006
チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JISK8659:2014
でんぷん(溶性)(試薬)
JISK8732:2011
二硫化炭素(試薬)
JISK8777:2017
ピリジン(試薬)
JISK8798:2012
フェノール(試薬)
JISK8842:2012
ブロモチモールブルー(試薬)
JISK8913:2006
よう化カリウム(試薬)
JISK8920:2008
よう素(試薬)
JISK8951:2006
硫酸(試薬)
JISK9512:2013
N,N-ジエチルジチオカルバミド酸銀(試薬)
JISK9905:1995
高純度試薬―硫酸
JISR1302:1980
化学分析用磁器蒸発ざら
JISR3503:1994
化学分析用ガラス器具
JISZ0701:1977
包装用シリカゲル乾燥剤