JIS C 2101:1999 電気絶縁油試験方法 | ページ 11

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23.3 電極及び容器の準備 測定の前に溶剤を用い,電極及び容器の中をガーゼを使用して細部までよく
洗う。まず,JIS K 8594に規定する石油ベンジン,JIS K 8680に規定するトルエン,JIS K 8848に規定す
るヘキサンなどの溶解力の大きい溶剤を用いて洗った後(35) JIS K 8034に規定するアセトンで2回以上洗う。
超音波洗浄法による場合には,電極を分解して,石油ベンジンなどの溶剤で洗い流した後,同じ種類の溶
剤で超音波洗浄を約5分間行う(35)。次に溶剤をアセトン(36)に替え,超音波洗浄を約5分間行う。
その後,アセトンですすぎ洗いをし,アセトンが揮発するまで放置後(37)80100℃の乾燥器中で約1時
間乾燥してからデシケータ中で放冷する。
なお,溶剤を取り扱う際には,火災及び人体に対する影響を除くよう注意が必要である。
注(35) シリコーン油の場合には,トルエン,ヘキサンで洗う。
(36) 劣化した使用油や極性物質を含んだ試料の場合には,JIS K 8891に規定するメタノール3容と
アセトン7容の混合溶剤又はイオン交換水による超音波洗浄を5分間行うとよい。
(37) 真空乾燥機で乾燥する場合は,直ちに乾燥してもよい。
23.4 試験温度及び加熱時間 試験温度は,試料の温度(38)を80±1℃とする。電極容器に試料注入後の加
熱時間は,1時間を超えてはならない。
注(38) 主電極と対電極間のほぼ2分の1の高さのところの温度とする。試験温度に保持するための条件
は,試験設備によって異なるので,あらかじめその条件を確認しておくとよい。
23.5 操作 操作は,次の順序で行う。
a) 比誘電率を測定する場合は,あらかじめ試料を入れない空の状態の電極間の静電容量を測定する。ま
た,誘電正接を測定する場合は,同じように空の状態の誘電正接を測定し,その測定値が1×10-4以下
であることを確認する。
b) 容器に規定量の試料を入れる(39)。このとき,電極と容器の中とを1回以上共洗いしてから改めて試料
を入れることが望ましい。
注(39) ポリブテンの場合,容器に電極を挿入するときには,ゆっくり行い,試料があふれたり,気泡
が発生したりしないよう十分に注意する必要がある。2,3号の場合は,あらかじめ試料を試験
温度に加温しておいてもよい。
c) 試験は,電極間に周波数50Hz又は60Hzで5001 000V(液体中の電界が0.51kV/mm)の一定の正
弦波交流電圧を印加して行う。
なお,商用周波数が50Hzである場合には測定を60Hzで,商用周波数が60Hzである場合には50Hz
で行えば,配電線からの誘導による誤差を避けることができる。
参考 一般に上記周波数範囲であれば,周波数f2で測定した場合,誘電正接tan の周波数f1への変
換は,次の式で行うことかできる。
f2
tan tan
f1
d) 同一試料から2個の試料をとり,各試料について測定する。
23.6 操作に対する一般的注意事項 操作に対する一般的注意事項は,次のとおりとする。
a) 誘電正接の測定は,微量の水分,その他汚染物質の影響が極めて大きいので,試料の採取,電極の洗
浄などは慎重に行わなければならない。
b) 誘電正接の値が小さい場合,高い精度が必要なので,測定機器,電極の取扱い保守には十分注意し,
周波数,電圧などを確認の上,試料の測定を行う必要がある。
c) 同一電極で誘電正接,体積抵抗率を続けて測定する場合には,誘電正接の測定を先に行う。

――――― [JIS C 2101 pdf 51] ―――――

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23.7 計算及び結果 計算及び結果は,次による。
a) 誘電正接は,直読できる測定器では直読する。シェーリングブリッジを用いた場合は,次の式によっ
て算出する。
tan 2 fC4R4
ここに, tan 誘電正接
f : 測定電源の周波数 (Hz)
C4 : ブリッジから求めた静電容量 (F)
R4 : ブリッジの抵抗 ( 圀
なお,一般には2 刀 地 柿 誘電正接は,可変コンデンサC4から直読できるよ
になっている。
結果は,2個の試料による値の平均値を小数点以下5けたまで求め,JIS Z 8401によって小数点以
下4けたに丸める。計算値を100倍し,誘電正接 (%) として表す。
b) 比誘電率は,次の式によって算出する。
C
C0
ここに, 攀 比誘電率
C : 試料を充てんしたときの電極間の静電容量 (F)
C0 : 試料を入れない状態の電極間の静電容量 (F)
結果は,2個の試料による値の平均値を小数点以下3けたまで求め,JIS Z 8401によって小数点以
下2けたに丸める。
なお,いずれの試験結果にも,電極の種類,試験電圧と周波数,試験温度を付記する。
23.8 精度 精度は,次による。
a) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験器で,引き続き短時間内に同一試料を2回試
験したときの,試験結果の差は表17の許容差を超えてはならない。
b) 室間再現精度 異なる二つの試験室において,別人が別の試験器で同一試料をそれぞれ1回ずつ試験
したときの,2個の試験結果の差は表17の許容差を超えてはならない。
表17 精度
室内併行許容差 室間再現許容差
25+0.01
誘電正接 (%) 平均値×100 規定しない
比誘電率 平均値の1% 平均値の5%
参考 誘電正接試験及び比誘電率試験の意義 誘電正接(*)は,絶縁性を表す一つの尺度であり,絶縁
油分子の誘電分極に起因する双極子損失とイオンや荷電微粒子の振動に基づく導電損失によっ
て決められるが,一般に絶縁油の場合は,導電損失が主因となる。したがって,誘電正接は,
水分その他汚染物質の含有量又は絶縁油自体の劣化度合いと関係する重要な性質である。絶縁
材料に交流電圧を印加したときに発生する電力損失,すなわち,誘電損は,その材料の誘電正
接と比誘電率の積に比例する。
比誘電率(**)は,絶縁油が電界下において,諸種の機構によって生じる電気分極によって決
まる基本的な物性であり,絶縁油の場合,油種によって異なる。
注(*) 誘電正接とは,絶縁油を充てんした電極間に交流電圧を加えたときに発生する損失電流の
充電電流に対する比をいう。
(**) 比誘電率とは,電極間に電気絶縁油を充てんしたときの静電容量と真空のときの静電容量

――――― [JIS C 2101 pdf 52] ―――――

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の比をいう。
乾燥空気の比誘電率は,23℃101kPaで1.000536であり,ほぼ1に等しいので,一般には電極
間に空気を満たしたときの静電容量に対する比で表される。
24. 体積抵抗率試験
24.1 試験の原理 試料温度80℃で,絶縁油に250V/mmの直流電流を印加し,1分後の電流値から体積抵
抗率を求める。
なお,誘電特性と体積抵抗率を続けて測定する場合は,誘電特性測定後,電極を1分間短絡した後,直
ちに体積抵抗率試験を開始する。
24.2 装置
a) 試験回路 直流増幅器を用いる回路例を図30に示す。外側の電極(対電極)を正極に接続する。±10%
の精密さに校正された絶縁抵抗計を構成する。この場合,誤差を少なくするため保護電極と主電極と
の間の絶縁抵抗 (RG) と標準抵抗 (Rs) との比RG/Rsが100以上であることが必要である。
なお,直流電流,標準抵抗,直流増幅器及び絶縁抵抗が直読できる指示器を一体とした絶縁抵抗測
定器であっても,上記精度を満足すれば使用できる。
図30 直流増幅方式による体積抵抗率試験回路の例
b) 電源 蓄電池,乾電池などの直流電源を用いるか,又は電圧安定装置を備えた脈動の少ない整流電源
を使用する。直流電圧は,250Vとする。
c) 電極及び容器 電極及び容器には,23.2 a)で用いたものと同一のものを使用する。
d) 装置に対する一般的注意事項 装置に対する一般的注意事項は,次のとおりとする。
1) 漏れ電流の影響をできるだけ小さくするため,図30において主電極側の導体にはポリエチレン,ポ
リ四ふっ化エチレンなどの良好な絶縁を施し,保護導体(シールド)によって完全に遮へいする。
保護導体にシールド線を用いる場合には,例えば,ポリ四ふっ化エチレン絶縁のシールド線など
が望ましい。
2) はんだ接続部で熱起電力が発生しないよう,低熱起電力用はんだを使用するのが望ましい。
24.3 電極及び容器の準備 電極及び容器の準備は,23.3と同一の方法で行う。
24.4 試験温度及び加熱時間 試験温度は,試料の温度を80±1℃とする。電極容器に試料を注入した後,
加熱時間は1時間を超えてはならない。
24.5 操作
a) 電圧印加 試料を入れた電極に約250Vの一定の直流電圧を印加する。

――――― [JIS C 2101 pdf 53] ―――――

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b) 測定 絶縁抵抗計では電圧印加1分間後にRxを直読する。図30の回路では,電圧印加1分間後に,
印加電圧Vと主電極を流れる電流Iから次の式によって絶縁抵抗Rxを求める。
Rx=V/I
ここに, V : 印加電圧
I : 主電流を流れる電流(=Rs端子間の電位差/Rs)
c) 試験 試験は,同一試料から2個の試料をとり,各試料について測定する。
d) 操作に対する一般的注意事項
1) 同一試料で誘電正接と体積抵抗率を続けて測定する場合には,誘電正接を先に測定し,次に電極を
1分間短絡し,直後に,体積抵抗率を測定する。
2) 高い精度で測定する必要のある場合は,周囲温度,湿度の変化に十分注意して測定するのが望まし
い。
3) 汚れの混入,電圧印加後測定までの時間,電極に試料を入れてからの放置時間,印加電圧の変動な
どは測定結果に影響を及ぼすので注意を要する。
24.6 計算及び結果 体積抵抗率は,次の式によって算出する。
0.113CoRx
ここに, 体積抵抗率 ( 圀
Co : 試料を入れない状態の電極間の静電容量 (pF)
Rx : 試料の抵抗値 ( 圀
結果は,2個の試料による値の平均値を有効数字3けたまで求め,JIS Z 8401によって,有効数字2け
たに丸める。
24.7 精度 規定しない。
備考 体積抵抗率試験の意義 絶縁油の体積抵抗率(40)は,その油の電気絶縁性を表す一つの尺度であ
る。油中にイオンその他のきょう雑物が含まれると,体積抵抗率が低下する。
注(40) 絶縁油の体積抵抗率 ( 圀 ‰ その油に加えた直流電界 (V/m) と,そのとき,油の中を流れ
る単位断面積当たりの電流 (A/m2) との比である。この値は,絶縁油の一辺1mの立方体の相対
する面の間の抵抗に等しい。
25. 確認試験
25.1 試験の原理 絶縁油は,その組成によって赤外吸収スペクトルが異なる。あらかじめ既知の絶縁油
について吸収スペクトルを測定し,絶縁油ごとの特性スペクトルを定めておけば未知の絶縁油の赤外吸収
スペクトルを測定することによって,絶縁油の種類の識別を大略行うことができる。
25.2 方法 JIS K 0117によって,波数4 000400cm−1における吸収スペクトルを測定する。
なお,測定セルの厚みは,50 度のものを用いる。
25.3 種類の確認 吸収スペクトルと表18とを比較することによって種類を確認する。
なお,1種と7種との厳密な区別は難しい。

――――― [JIS C 2101 pdf 54] ―――――

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表18 波数及び吸収
波数 種類
cm−1 1種 2種 3種 4種 5種 6種 7種
2 0001 700(41) × ○ × ○ ○ × △
1 630(42) × × × ○ × × ×
1 600(43) △ ○ × ○ ○ × ○
1 1001 000(44) × × × × × ◎ ×
880(45) × × × ○ ○ × ×
注(41) 2 0001 700cm−1 : ベンゼン環倍音,結合音吸収
(42) 1 630cm−1 : ナフタレン環の伸縮振動
(43) 1 600cm−1 : ベンゼン環の伸縮振動
(44) 1 1001 000cm−1 : Si−O−Siの伸縮振動
(45) 880cm−1 : ベンゼン環の孤立水素の面外変角振動
備考 ◎吸収強度 大,○吸収強度 中,△吸収強度 小,×吸収なし
各種絶縁油の赤外吸収スペクトルの参考例を付図111に示す。
25.4 号の確認
a) 2種は,赤外吸収スペクトルによって1号,2号のグループと3号,4号のグループに分類できる。2
種1号,2号は,1 3801 360cm-1付近の吸収が2本に分かれ,3号,4号は1本になる。
また,1号,2号は,720cm-1に吸収がないが,3号,4号は吸収がある。さらに,1号,2号の区別
及び3号,4号の区別は,粘度によって判別できる(JIS C 2320参照)。
b) 3種,4種は,いずれも粘度によって号の判別ができる(JIS C 2320参照)。
備考 絶縁油は,核磁気共鳴スペクトルによっても種類の識別が大略できる。また,絶縁油を金属製
スパチュラ又は紙片の先に付けて燃焼させると6種だけが白煙を上げて燃え,燃えかすは白く
なる。15種及び7種は,黒煙を上げ燃える。この燃焼性によって,6種を他の絶縁油と区別
することができる。

――――― [JIS C 2101 pdf 55] ―――――

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JIS C 2101:1999の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60296:1982(MOD)
  • IEC 60296:1982/AMENDMENT 1:1986(MOD)
  • IEC 60465:1988(MOD)
  • IEC 60836:1988(MOD)
  • IEC 60867:1993(MOD)
  • IEC 60963:1988(MOD)

JIS C 2101:1999の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 2101:1999の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB7410:1997
石油類試験用ガラス製温度計
JISB7510:1993
精密水準器
JISC1602:2015
熱電対
JISC2320:1999
電気絶縁油
JISC3101:1994
電気用硬銅線
JISH3100:2018
銅及び銅合金の板及び条
JISK0062:1992
化学製品の屈折率測定方法
JISK0068:2001
化学製品の水分測定方法
JISK0113:2005
電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JISK0115:2004
吸光光度分析通則
JISK0115:2020
吸光光度分析通則
JISK0117:2017
赤外分光分析通則
JISK0124:2011
高速液体クロマトグラフィー通則
JISK1101:2017
酸素
JISK1107:2005
窒素
JISK2240:2013
液化石油ガス(LPガス)
JISK2249:1995
原油及び石油製品―密度試験方法及び密度・質量・容量換算表
JISK2251:2003
原油及び石油製品―試料採取方法
JISK2265-3:2007
引火点の求め方―第3部:ペンスキーマルテンス密閉法
JISK2265-4:2007
引火点の求め方―第4部:クリーブランド開放法
JISK2269:1987
原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法
JISK2275:1996
原油及び石油製品―水分試験方法
JISK2283:2000
原油及び石油製品―動粘度試験方法及び粘度指数算出方法
JISK2435-1:2006
ベンゼン・トルエン・キシレン―第1部:ベンゼン
JISK2435-2:2006
ベンゼン・トルエン・キシレン―第2部:トルエン
JISK2513:2000
石油製品―銅板腐食試験方法
JISK2580:2003
石油製品―色試験方法
JISK2605:1996
石油製品―臭素価試験方法―電気滴定法
JISK8001:2017
試薬試験方法通則
JISK8005:2014
容量分析用標準物質
JISK8034:2006
アセトン(試薬)
JISK8102:2012
エタノール(95)(試薬)
JISK8103:2013
ジエチルエーテル(試薬)
JISK8105:2013
エチレングリコール(試薬)
JISK8322:2020
クロロホルム(試薬)
JISK8550:2006
硝酸銀(試薬)
JISK8550:2021
硝酸銀(試薬)
JISK8574:2006
水酸化カリウム(試薬)
JISK8594:2015
石油ベンジン(試薬)
JISK8621:2011
炭酸水素カリウム(試薬)
JISK8680:2006
トルエン(試薬)
JISK8777:2017
ピリジン(試薬)
JISK8810:2018
1-ブタノール(試薬)
JISK8839:2007
2-プロパノール(試薬)
JISK8848:2012
ヘキサン(試薬)
JISK8891:2006
メタノール(試薬)
JISK9701:2013
ヘプタン(試薬)
JISP3801:1995
ろ紙(化学分析用)
JISR3413:2012
ガラス糸
JISR3503:1994
化学分析用ガラス器具
JISR6001:1998
研削といし用研磨材の粒度
JISR6111:2005
人造研削材
JISR6111:2020
人造研削研磨材
JISR6251:2006
研磨布
JISR6252:2006
研磨紙
JISZ8401:2019
数値の丸め方
JISZ8703:1983
試験場所の標準状態