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図18 試験装置
18.3 材料 材料は,次のものを用いる。
a) 銅触媒 触媒に用いる銅は,JIS C 3101に規定する直径1mmの新しい硬銅線。
b) 研磨紙 研磨紙は,JIS R 6252に規定する400番。
18.4 試薬 試薬は,次のとおりとする。
a) クロロホルム クロロホルムは,JIS K 8322に規定するもの。
b) 沈殿用ナフサ 沈殿用ナフサは,表11に適合するもの。
表11 沈殿用ナフサ
密度 (15℃) /ml 0.6920.702
アニリン点℃ 5860
留出温度℃ 初留50以上,50%留出7080,終点130以下
c) 混合溶剤 混合溶剤は,16.3 c)に規定するもの。
d) アルカリブルー6B指示薬 アルカリブルー6B指示薬は,16.3d)に規定するもの。
e) 0.05mol/l水酸化カリウム標準エタノール溶液 0.05mol/l水酸化カリウム標準エタノール溶液は,
16.3e)に規定するもの。
18.5 試験の準備
18.5.1 試料容器の洗浄 容器内に油,スラッジなどが付着しているときには,クロロホルムなどの適切な
溶剤で十分に洗浄した後,JIS K 8034に規定するアセトンですすぎ洗いを行う。次に,磨き粉と中性洗剤
で洗浄した後,よく水洗いし,最後に蒸留水で洗浄する。
透視してじんあいなどが付着していないことを確かめた後,空気恒温槽で105110℃で少なくとも3時
間乾燥し,デシケータ中で室温まで放冷する。
18.5.2 銅触媒の準備 直径1mmの新しい硬銅線を研磨紙で研磨して表面の酸化物を除去し,乾いた布で
研磨粉をふき取る。
次に研磨した硬銅線800mmを,直径15mmのコイルに巻いて,これを50mmに引き伸ばす。これをエ
ーテルに浸して洗浄し,風乾後直ちに容器に入れる。銅線の取扱いには,直接指触することを避け,異物
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の付着を防ぐ。
18.5.3 試料の前処理 105110℃で1時間乾燥した直後のろ紙を用いて試験直前に試料をろ過する。ろ過
の初めに出る25mlは捨てる。
18.6 操作
18.6.1 酸化 試料容器に準備した銅触媒を入れて全体の質量を0.1gまで量る。次に試料25mlを,清浄な
乾燥したピペットを用いて器壁に付着させないように試料容器に採って,この合計の質量を0.1gのけたま
ではかり,その差から試料の質量を求める。次に,あらかじめ120±0.5℃に調節された恒温油浴内に浸し,
空気の漏れがないことを確かめ,図18のように組み立てる。試料容器を浸す深さは,試料油面が恒温油浴
面下約10mmになるようにする。試料容器を恒温油浴内に浸した後,直ちに酸素を導入し,末端の水銀マ
ノメータ差圧が6mmに保たれるように,ガス圧調節器内のガラス管の深さを調節する。
酸素の導入は,ガス圧調節器内のガラス管からかすかに泡として出し(1秒間に約1個),油の酸化によ
って消費される酸素を補給する程度とする。試料の酸化操作は,中断しないように75時間行う。
なお,隣り合った試料容器の中間付近の温度が,試料容器すり合わせ部分の高さにおいて40±3℃に保
てるよう適切な処置をとる。所定時間の酸化を終わった試料容器は,酸素との連絡を止めた後,切り離し
て恒温油浴の外に取り出して,これを暗所に約1時間放置する。
18.6.2 測定 測定は,次によって行う。
a) スラッジの定量 暗所に1時間放置した酸化油は,沈殿用ナフサを加えて洗いながら,容量500mlの
共栓容器に移す。銅触媒及び試料容器は,十分に洗浄し,その液を油溶液に加える。この場合,溶剤
の使用量は300mlとする。これを暗所に1620時間放置した後,次のろ過方法のいずれかによって
ろ過し,スラッジ量を定量する。
1) ろ紙でろ過する場合 ろ紙は,あらかじめ100105℃で1時間乾燥し,質量をはかる。ろ紙上のス
ラッジは,沈殿用ナフサ(175ml未満)で洗浄し,洗液に着色を認めなくなったら,100105℃で
3時間乾燥した後その質量をはかる。この際,スラッジ及びろ紙の質量をはかるには,これらの吸
湿による質量変化を避けるため,はかり瓶を使用する。
2) 吸引ろ過の場合 吸引ろ過を行う場合は,メンブランフィルタ又はガラスフィルタを使用する。こ
の場合ろ紙でろ過する場合と同様に行うが,メンブランフィルタを用いる場合,沈殿用ナフサで洗
浄した後,保持器の上部を取り外し,フィルタ端部に残っている油分を沈殿用ナフサで更に洗浄す
る。
銅触媒及び試料容器に付着しているスラッジはクロロホルムに溶かし,この液を100105℃で蒸
発させ,残量を量ってこれを上記のスラッジの質量に加算する。
スラッジは,次の式によって算出する。
A B
S
W
ここに, S : スラッジ (%)
W : 試料油の質量 (g)
A : スラッジの質量 (g)
B : 銅触媒及び試料容器に付着しているスラッジの質量 (g)
b) 全酸価 スラッジを分離したろ液は,すべて500mlメスフラスコに集め,沈殿用ナフサで薄めて500ml
とする。これから100mlを採り,これに混合溶剤100mlとアルカリブルー6B指示薬13mlを加えた
後,標定した0.05mol/l水酸化カリウム溶液で滴定する。沈殿用ナフサ100mlについて上記と同様にし
――――― [JIS C 2101 pdf 32] ―――――
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て空試験を行う。
N A B 561.
TVA
W
ここに, TVA : 全酸価 (mgKOH/g)
N : 0.05mol/l水酸化カリウム標準エタノール溶液の規定度
A : 滴定に要した0.05mol/l水酸化カリウム標準エタノール溶
液の量 (ml)
B : 空試験に要した0.05mol/l水酸化カリウム標準エタノール
溶液の量 (ml)
W : 試料の質量 (g)
18.7 計算及び結果 同一試料は,試料容器3個以上を同時に試験し,それらの平均値を小数点以下3け
たまで求め,JIS K 8401によって,小数点以下2けたに丸める。
a) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験器で,引き続き短時間内に同一試料を2回試
験したときの,試験結果の差の許容差を表12に示す。
表12 精度
室内併行許容差
スラッジ 平均値の30%
全酸価 平均値の25%
b) 室間再現精度 規定しない。
19. 臭素価試験 臭素価試験は,JIS K 2605による。
20. 水分試験
20.1 試験の原理 水分試験は,5.6に示す採取方法によって試料を採取し,カールフィッシャー容量滴定
方法又は電量滴定方法のうちいずれかによって行う。
備考1. この試験における妨害物質には,次のものがある。
a) 遊離アルカリ,酸化性物質,還元性物質,メルカプタンなど,よう素と反応する物質。
b) 二酸化硫黄,ピリジン又はメタノールと反応して水を生成する物質。
2. 水分試験に際しては,油種・予期水分濃度・妨害物質の有無によって気化装置を使用すると
よい。
20.2 試料採取及び試料取扱い上の留意点 試料は外気の水の影響を受けやすいので,次の点に注意して
取り扱う。
a) 試料容器は,密封できる構造のものを,あらかじめ乾燥して用いる。
b) 試料採取量は,試料容器の8割以上とする。
c) 試料採取後,別の試料容器に移し替えてはならない。
d) 試料は,開封前に十分振り混ぜて均質にする。
e) 試料容器の密封は,試料温度が室温になってから行う。
f) 試料容器開封後は,直ちに試験を行う。
g) 他の試験も行う場合は,最初に水分試験を実施する。
20.3 容量滴定方法の場合
――――― [JIS C 2101 pdf 33] ―――――
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20.3.1 試験の原理 容量滴定方法は,よう素,二酸化硫黄,ピリジン及びメタノールを主成分とするカー
ルフィッシヤ試薬が,次の化学反応式のように水と定量的に反応することを利用して水分を求めるもので
ある。
試料を含む滴定フラスコにカールフィッシャ試薬を分極電流の変化点まで滴下する。消費された試薬量
が水の量と比例することから,あらかじめ試薬の力価を標定しておくことによって,試料中の水分を定量
することができる。
20.3.2 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。
a) カールフィッシャ容量滴定装置 カールフィッシャ容量滴定装置は,定電圧分極電流方式のもので,
例えば図19が代表的な装置である。
備考 試料中のメルカプタン硫黄分及び硫化水素1mg/kgは,それぞれ0.3mg/kg,0.6mg/kgの水分に
相当する正の誤差を生じる。
図19 容量滴定装置
1) 滴定フラスコ 滴定フラスコは,容量250mlの試料注入口付きガラス製平底フラスコで,かき混ぜ
速度を適切に調節できるマグネチックスターラを備えたもの。
なお,試料注入口は,パッキン付きの金属又はポリ四ふっ化エチレン製ストッパをすり合わせ結
合できる構造。
2) ビュレット ビュレットは,容量5ml以上で目盛0.02mlのもの。
――――― [JIS C 2101 pdf 34] ―――――
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3) 試薬瓶 カールフィッシャ試薬瓶は,適切な容量の褐色試薬瓶を用いる。
b) マイクロシリンジ マイクロシリンジは,容量10 25 は50 の長さ約140mmのもの。
c) 水分気化装置 図20に示す水分気化装置は,試料単独又は水に不溶性の溶剤,例えばJIS K 2435に
規定するベンゼン,トルエンとともに加熱炉で加熱し,気化した水分を滴定フラスコ内に送り込み,
試料の水分を測定する装置である。水分気化装置はすべての絶縁油に適用できるが,ポリブテンのよ
うな粘度の高い試料は,滴定溶剤への溶解性か悪いため特に適する。
また,試料に過酸化物が含まれる場合も,カールフィッシャ試薬の妨害成分となるため水分気化装
置を用いた方がよい。
図20 水分気化装置
20.3.3 試薬 試薬は,次のとおりとする。
a) カールフィッシャ試薬 カールフィッシャ試薬は,力価0.71.0mgH2O/ml又は2.53.0mgH2O/mlの
ものを,20.3.4に従って標定したもの。
参考 市販のカールフィッシャ試薬を使用してもよい。調製する場合は,JIS K 0113による。
b) 水 水は蒸留水又はイオン交換水。
c) 滴定用溶剤 滴定用溶剤は,JIS K 8322に規定するクロロホルム4容とJIS K 8891に規定するメタノ
ール1容を混合した一般溶剤,又はJIS K 8777に規定するピリジン5容とJIS K 8105に規定するエチ
レングリコール1容を混合したケトン用溶剤のいずれかを用いる。一般用溶剤が適用される絶縁油は,
1種,2種,4種,5種及び7種である。
また,ケトン用溶剤が適用される絶縁油は,1種6種及び7種である。
20.3.4 カールフィッシャ試薬の標定 カールフィッシャ試薬の力価は経時変化しやすいので,試料測定日
に次によって力価を求める。
a) 滴定用溶剤約50mlを滴定フラスコに入れ,溶液の色が黄褐色になるまで過剰のカールフィッシャ試
薬を加え,約10分間かき混ぜながら滴定フラスコ内の水分を反応させる。
b) 過剰のカールフィッシャ試薬による黄褐色が黄色になるまで水を加えた後,直ちにカールフィッシャ
試薬で終点まで滴定して,滴定フラスコ内を無水の状態にする(終点3060秒間持続)。
c) 滴定フラスコに次に示す水をマイクロシリンジで正確に加え,終点までカールフィッシャ試薬で滴定
する。
1) 力価0.71.0mgH2O/mlのカールフィッシャ試薬を標定する場合,水を510mg加える。
2) 力価2.53.0mgH2O/mlのカールフィッシャ試薬を標定する場合,水を1020mg加える。
d) カールフィッシャ試薬のファクター(カールフィッシャ試薬1mlと反応する水のmg数)は,次の式
によって小数点以下2けたまで求め,JIS Z 8401によって,小数点以下1けたに丸める。
A
f
B
――――― [JIS C 2101 pdf 35] ―――――
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JIS C 2101:1999の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60296:1982(MOD)
- IEC 60296:1982/AMENDMENT 1:1986(MOD)
- IEC 60465:1988(MOD)
- IEC 60836:1988(MOD)
- IEC 60867:1993(MOD)
- IEC 60963:1988(MOD)
JIS C 2101:1999の国際規格 ICS 分類一覧
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- JISC2320:1999
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- 電気用硬銅線
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- 銅及び銅合金の板及び条
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