35
C 2101 : 1999
ここに, f : カールフィッシャ試薬のファクター (mgH2O/ml)
A : 加えた水の量 (mg)
B : 加えた水の滴定に要したカールフィッシャ試薬の量 (ml)
備考 水の添加を正確に行うにはJIS K 0068又はJIS K 2275に規定する水−メタノール又は酒石酸ナ
トリウム二水和物を添加するとよい。
20.3.5 操作 操作は,次によって行う。
a) あらかじめ,乾燥処理を施した試料採取器で試料を吸い上げ,その内部を洗浄する。この操作を23
回繰り返した後,試料採取器に試料2040mlを採取する。直ちに試料採取器に付着した試料をガー
ゼでふき取り,試料採取器の先端をゴム栓で,高粘度試料の場合はすり合わせキャップで密閉し,そ
の質量を0.1gまではかる。
b) シリンジの場合,試料を金属又はふっ素ゴムストッパのパッキンを通して,20.3.4 a)及びb)の操作で
無水状態にした滴定フラスコに注入する。針の先端を再びゴム栓で密閉し,その質量を0.1gまではか
る。
また,注射器の場合,20.3.4 a)及びb)の操作で無水状態にしたフラスコの側栓を開けて試料を注入
し,側栓を閉じる。試料採取器の先端を再びすり合わせキャップで密閉し,その質量を0.1gまではか
る。
試料の注入量は,表13を参考にする。
表13 試料の注入量
水分mg/kg 試料注入量ml カールフィッシャ試薬のファクター
20以下 2040 0.71.0mgH2O/ml
20を超えるもの 1020 2.53.0mgH2O/ml
c) 試料注入前後の注射器の質量差から注入した試料の質量を求める。
d) 滴定フラスコ中の溶液を約1分間かき混ぜた後,カールフィッシャ試薬で終点まで滴定する。
e) 注射筒を用いた場合は,ブランク試験として20.3.4 a)及びb)の操作で無水状態にしたフラスコの側栓
を試料注入に要した時間だけ開け,フラスコの側栓を閉じる。その後滴定フラスコ中の溶液を約1分
間かき混ぜ,カールフィッシャ試薬で終点まで滴定する。
20.3.6 計算及び結果 水分は,次の式によって計算し,小数点1けたまで求め,JIS Z 8401によって,整
数値に丸める。
f V B
W
S
ここに, W : 試料中の水分 (mg/kg)
f : カールフィッシャ試薬のファクター (mgH2O/ml)
V : 試料の滴定に要したカールフィッシャ試薬の量 (ml)
S : 試料質量 (g)
B : 空試験の滴定に要したカールフィッシャ試薬の量 (ml) (注
射筒を用いた場合)
20.3.7 精度 精度は,次による。ただし,3種は図20に示すような水分気化装置を使用した場合にだけ,
この精度を利用する。
a) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同一試験器で,引き続き短時間内に同一試料を2回試
験したときの,試験結果の差の許容差を表14に示す。
――――― [JIS C 2101 pdf 36] ―――――
36
C 2101 : 1999
表14 精度
水分mg/kg 室内併行許容差
30以下 3mg/kg
30を超えるもの 平均値の10%
b) 室間再現精度 規定しない。
20.4 電量滴定方法の場合
20.4.1 試験の原理 よう化物イオン,二酸化硫黄を主成分とするピリジン,メタノール混合溶剤に試料を
加え,電気分解によってよう素を発生させて水と反応させ,電気量から水の量 ( 最 ‰
は次のように説明できる。
混合液中のよう化物イオンは,陽極で酸化されてよう素となる。
2I−−2e→I2
発生するよう素の量は,電気分解に消費された電気量 (C) に比例し,ファラデーの法則に基づき,よう
素1molは96487×2C[電流 (A) ×時間 (s)]の電気量によって発生する。発生したよう素は,カールフィ
ッシャ試薬中のよう素と同じように試料中の水と20.3.1に示す反応式で反応する。
よう素1molは水1molと反応するので,水1mgと反応するのに必要な量のよう素は,
96 487 2
10.71 C
18 000
の電気量によって発生する。
したがって,滴定終点までに消費された電気量を測定すれば水の量が求められる。電気量は,電解電流
を時間について積分することによって求められる。
なお,発生したよう素は,水と反応して再びよう化物イオンに戻るので混合液は繰り返し使うことがで
きる。
備考 試料中のメルカプタン硫黄分及び硫化水素1mg/kgは,それぞれ0.3mg/kg,0.6mg/kgの水分に
相当する正の誤差を生じる。
20.4.2 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。
a) 電量滴定装置 装置は次の各部からなり,概略を図21に示す。
備考 表示部には,水量 (最 ‰
図21 装置の構成
――――― [JIS C 2101 pdf 37] ―――――
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C 2101 : 1999
1) 電量滴定セル 電量滴定セルは,容量約200mlのガラスセルで陽極室,陰極室の2室からなり,両
室はセラミックス又はイオン交換樹脂などの隔膜で仕切られ,試料注入口は,金属,ポリ四ふっ化
エチレン製又はシリコーンゴム製のストッパが付いたものを用いる。
滴定セルは,大気に接する開口部にシリカゲルの乾燥剤を入れた管を取り付け,また,ガラス器
具の接続にはすべてすり合わせ継手を用い,大気からの吸湿を防ぐものとする。
2) 終点検出表示部 終点検出表示部は,電解液に浸した2個の白金電極間に微弱な電流(直流又は交
流)を流して,分極を起こさせ,よう素がわずかに過剰になり,分極が消極するのを電気的に終点
として検出できるものを用いる。
3) 水量表示器 水量表示器は, を表示できるものを用いる。
4) 電解電流電源
5) 電流制御器 電流制御器は,終点近くで電解電流を漸減又は断続できるものを用いる。
6) 電流積算部
7) 分極電流検出部
b) 水分気化装置 水分気化装置は,20.3.2 c)による。
20.4.3 試薬 試薬には,次の電解液を用いる。電解液には一般用とケトン用の2種類があり,一般用に適
用される絶縁油は1種,2種,4種,5種及び7種で,ケトン用に適用される絶縁油は1種7種である。
a) 一般用電解液(25)
発生液 : よう化物イオン,二酸化硫黄,ピリジン又はそれに代わる塩基などの電解質,メタノールな
どの混合液
対極液 : 電解液(ピリジン又はそれに代わる塩基などの電解質,二酸化硫黄など)とメタノールなど
の混合液
注(25) 一般用電解液の組成例として表15の配合がある。ピリジンを含まない非ピリジン系の塩基を用
いた電解液が市販されているので,それを使用してもよい。
表15 一般用電解液の組成例
発生液 対極液
よう素 23.8g
二酸化硫黄 48.3g
ピリジン 217ml
メタノール 245ml
水 0.0250.05g
クロロホルム 214ml −
b) ケトン用電解液
発生液 : よう化物イオン,二酸化硫黄,ピリジン又はそれに代わる塩基などの電解質,メタノール
以外の溶剤,例えば,クロロホルムとの混合液
対極液 : 電解液(ピリジン又はそれに代わる塩基などの電解質,二酸化硫黄など)とメタノール以
外の溶剤,例えば,メチルセロソルブとの混合液
20.4.4 試験器の校正 カールフィッシャー式電量滴定法の試験器の校正は,次による。
a) 使用済の陽極液及び陰極液をそれぞれ抜き取り,電解セル内を清浄・乾燥する。電解セルの陽極室に
陽極液を約100ml,陰極室に陰極液を約5ml入れ,電解セルを組み立て,試験器へ取り付ける。
b) 電解セル内の陽極液をかき混ぜながら電解電流(26)を流し,よう素を陽極側に発生させて電解セル内を
無水の状態にする。
――――― [JIS C 2101 pdf 38] ―――――
38
C 2101 : 1999
c) 次に,水をマイクロシリンジで正確に10 畭 に注入し,終点まで電量滴定を行い水分を求める。
この操作を2回繰り返して行い,求めた水分量が10 000±200 囲内でなければならない。
注(26) 陽極液に遊離よう素が存在しているときは電解が行われない。このようなときは,水−アルコ
ール液又は水を2 0003 000 過剰になるように加えるとよい。
20.4.5 試験の手順 カールフィッシャ式電量滴定法の手順は,次による。
a) 試験器点検 試験に先立ち試験器を点検し,次の事項に該当する場合は,陽極液及び陰極液を取り替
える。
1) 水10mm3を注入した結果,水分が10000±200 囲外にある。
2) バックグランド電流が安定していない。
3) 滴定セル内の試料量が陽極液容積の31を超えている。
4) 陽極液内での相分離,又は試料による電極の汚染が認められる。
5) 滴定セル内の溶液が,1週間以上経過している。
b) 操作 操作は,次によって行う。
1) 電量滴定セルの発生液槽(陽極室)に発生液を,対極液槽(陰極室)に対極液を入れ,セルを密封
した後装置にセットする。
2) 電量滴定セル内の発生液をかき混ぜながら電解電流を流し,よう素を発生液側に発生させて,セル
内を無水の状態にする。この場合,水の量 ( 最 ‰ 算に入れないから記録する必要がない。
3) 少量の試料を試料採取器に吸い上げ,その内部を洗浄する。この操作を23回繰り返した後,試料
採取器に試料1020cm3を採取する。直ちに試料採取器に付着した試料をガーゼでふき取り,試料
採取器の先端をゴム栓又はすり合わせキャップで密封し,その質量を0.1gまではかる。
4) シリンジの場合,試料をストッパのパッキンを通して,無水状態にした滴定セルに注入する。
シリンジの先端を再びゴム栓で密封し,その質量を0.1gまではかる。また,注射筒の場合,無水
状態にした滴定セルの側栓を開けて試料を注入し,側栓を閉じる。試料採取器の先端を再びすり合
わせキャップで密封し,その質量を0.1gまではかる。
試料注入量は表16を参考にする。
表16 試料注入量
水分mg/kg 試料の注入量ml
20以下 10
20を超えるもの 5
5) 試料注入前後の試料採取器の質量差から,注入した試料の質量を求める。
6) 発生液の水分を終点まで電量滴定し,このときの電気量 (C) 又は水の量 ( 最 ‰ 録する。
7) 注射筒を用いた場合は,空試験として無水状態にした滴定セルの側栓を試料注入に要した時間だけ
開け,側栓を閉じる。その後,発生液の水分を終点まで電量滴定をし,このときの水の量 ( 最 ‰
記録する。
20.4.6 計算及び結果 水分は,次の式によって計算し,少数点以下1けたまで求め,JIS Z 8401によって
整数値に丸める。
G GB
W
S
ここに, W : 水分 (mg/kg)
G : 試料の水の量 ( 最
GB : 注射筒を用いた場合のブランクの水の量 ( 最
――――― [JIS C 2101 pdf 39] ―――――
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S : 試料の質量 (g)
20.4.7 精度 精度は,20.3.7による。ただし,3種の2号,3号は,図20に示すような水分気化装置を使
用した場合にだけこの精度を適用する。
21. ベンゾトリアゾール定量試験
21.1 試験の原理 試験は,強制冷却式油入電気機器で生じる流動帯電を抑制するために,絶縁油に添加
した油中ベンゾトリアゾール(27)(以下,BTAという。)を定量するものである。
BTA定量試験は,高速液体クロマトグラフを用いた方法と,紫外分光光度計を用いた方法のいずれかに
よって行う。前者は後者に比べると,少油量,短時間測定が可能である。
なお,BTAは,日光の影響を受けやすいので,定量試験に際しては日光にさらさないように注意する。
注(27) ベンゾトリアゾールとは,1,2,3-ベンゾトリアゾールで,次の化学構造で示される。
21.2 高速液体クロマトグラフ分析による場合
21.2.1 試験の原理 油中のBTAをメタノールで抽出し,JIS K 0124の規定に基づき他成分とBTAを分離
検出し,あらかじめ作成した検量線を基に定量する方法である。
21.2.2 装置及び器具 装置及び器具は,次のとおりとする。
a) 高速液体クロマトグラフ JIS K 0124による。
b) 振とう機 150回/min以上振とう可能なもの。
c) 分液漏斗 50ml程度のもの。
d) マイクロシリンジ 100 決 度のもの。
21.2.3 試薬 試薬は,次のとおりとする。
a) TA 純度99%以上のもの。
b) メタノール メタノールは,JIS K 8891に規定するもの。
c) 溶離液 溶離液は,液体クロマトグラフ用(以下,LC用という。)メタノール40部と純水(LC用)
60部とを混合したもの。
21.2.4 試験の準備
a) 標準試料 JIS C 2320に規定する1種又は7種のBTAを含まない絶縁油[もし測定試料の基油がある
場合にはその基油(28)]約1kgを採取し,1gのけたまではかる。次にBTAを約0.1g採取し,0.001gの
けたまではかる。
絶縁油にBTAをよく溶かす。BTAが溶解しにくい場合は,約90℃を超えない程度に加熱して溶かす。
このようにして調製したBTA含有絶縁油を,測定試料濃度領域における3種類以上の濃度に希釈して,検
量線作成用の標準試料とする(29)。
注(28) TA無添加油
(29) 標準試料は,できるだけ試料測定時に調製する。もし保存する場合には,冷暗所に保存する。
b) 抽出方法 試料10gを0.01gのけたまではかり,10±0.2mlのメタノールと共に分液漏斗に入れ5分間
振とう機で振とうし(150回/min以上),10分間静置する。上層(メタノール相)に油中のBTAが抽
出される。
――――― [JIS C 2101 pdf 40] ―――――
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- IEC 60296:1982(MOD)
- IEC 60296:1982/AMENDMENT 1:1986(MOD)
- IEC 60465:1988(MOD)
- IEC 60836:1988(MOD)
- IEC 60867:1993(MOD)
- IEC 60963:1988(MOD)
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- 石油類試験用ガラス製温度計
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