52
R 2015 : 2007
d) ろ紙を白金皿(例えば,JIS H 6202に規定する75番)に入れ,電気炉中で移して低温で乾燥・灰化す
る。白金皿に残った試料は,質量を測定後,微粉砕し,前処理後試料とする。
D.1.6 計算
試料の前処理による試料の回収率は,次の式によって算出する。
m1
R 100
0
ここに, R : 試料の回収率[%(質量分率)]
m0 : D.1.5 a) の試料のはかり取り量 (g)
m1 : D.1.5 d) の試料の質量 (g)
D.2 定量方法の区分
炭化ほう素含有率の推定方法は,次のいずれかによる。
a) 電位差滴定法
b) CP発光分光分析法
c) クルクミン吸光光度法(ロソシアニン法)
D.2.1 電位差滴定法
D.2.1.1 要旨
前処理後試料を炭酸ナトリウムで融解し,塩酸に溶かした後,水酸化ナトリウムを加えて中和後,炭酸
バリウムを加えて鉄,アルミニウムなどを沈殿分離する。ろ液のpHを2.53.0に調節し,水酸化ナトリ
ウム溶液を加えて,第一変曲点に相当するpHに調節する。これにD (−)-マンニトールを加え,酸性のほ
う素との錯体を生成させ,水酸化ナトリウム溶液で第二変曲点まで滴定して,D (−)-マンニトール添加後
に要した水酸化ナトリウム溶液の消費量から全ほう素量を算出する。
D.2.1.2 試薬
試薬は,次による。
D.2.1.2.1 塩酸(1+1) IS K 8180に規定する塩酸を用いて調製する。
D.2.1.2.2 硝酸ナトリウム JIS K 8562に規定するもの。
D.2.1.2.3 炭酸ナトリウム(無水) JIS K 8625に規定するもの。
D.2.1.2.4 炭酸バリウム
D.2.1.2.5 D (−)-マンニトール JIS K 8882に規定するもの。
D.2.1.2.6 D (−)-マンニトール溶液(100 g/L) 11.2.2.6による。
D.2.1.2.7 0.1 mol/Lほう素溶液 11.2.2.7による。
D.2.1.2.8 水酸化ナトリウム溶液(飽和) 11.2.2.8による。
D.2.1.2.9 水酸化ナトリウム溶液(200 g/L) 11.2.2.9による。
D.2.1.2.10 0.1 mol/L水酸化ナトリウム溶液 11.2.2.10による。
D.2.1.3 装置
a) 電位差滴定装置 11.2.3 a) による。
b) 電気炉 11.2.3 b) による。
c) H計 11.2.3 c) による。
D.2.1.4 試料のはかり取り量
D.1.6で得た前処理後試料のはかり取り量は,0.5 gとする。
――――― [JIS R 2015 pdf 56] ―――――
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R 2015 : 2007
D.2.1.5 操作
定量操作は,次の手順によって行う。
a) 11.2.5のa) 及びb) の操作を行って試料を融解する。ただし,11.2.5 b) の電気炉の最高温度は,1 050 ℃
とし,試料を完全に融解する。
b) 以下,11.2.5 c) f) の操作を行って試料溶液を調製し,0.1 mol/L水酸化ナトリウム溶液使用量を求め
る。ただし,試料溶液は,全量フラスコ250 mLに移すことなく,その全量をビーカー500 mLに移し
て用いる。
D.2.1.6 空試験
試料を使用しないでD.2.1.5の操作を行う。
D.2.1.7 計算
試料中の炭化ほう素の含有率は,次の式によって算出する。
.0001 381 V1 V2 F
B4C
m R
ここに, B4C : 炭化ほう素の含有率[%(質量分率)]
V1 : 試料溶液にD (−)-マンニトール添加後の0.1 mol/L水酸
化ナトリウム溶液使用量 (mL)
V2 : 空試験液にD (−)-マンニトール添加後の0.1 mol/L水酸
化ナトリウム溶液使用量 (mL)
F : 0.1 mol/L水酸化ナトリウム溶液のファクター
m : 前処理後試料のはかり取り量 (g)
R : D.1.6の試料の回収率[%(質量分率)]
D.2.2 ICP発光分光分析法
D.2.2.1 要旨
前処理後試料を炭酸ナトリウムで融解し,水に抽出してろ過した試料溶液を希釈後,ICP発光分光分析
装置を用いてほう素分析線の発光強度を測定する。
D.2.2.2 試薬
D.2.2.2.1 炭酸ナトリウム(無水) JIS K 8625に規定するもの。
D.2.2.2.2 硝酸ナトリウム JIS K 8562に規定するもの。
D.2.2.2.3 ほう素標準液(Bとして0.1 mg/mL) 12.3.2.2による。
D.2.2.2.4 検量線用溶液系列 ほう素標準液(Bとして0.1 mg/mL)010 mLを数個の全量フラスコ100 mL
に段階的に取り,それぞれにD.2.2.5の空試験液25 mLを加え,水を標線まで加える。この調製例は,一
例である。分析試料の組成及び使用する分析装置の種類・性能などに応じて,最適な検量線用溶液を調製
する。試料溶液の分取量を変える場合は,空試験液もその変えた量と同量にする。
D.2.2.3 試料のはかり取り量
D.1.5 d)で得た前処理後試料のはかり取り量は,0.5 gとする。
D.2.2.4 操作
定量操作は,次の手順によって行う。
a) 11.2.5のa) 及びb) の操作を行って試料を融解する。ただし,11.2.5 b) の電気炉の最高温度は,1 050 ℃
とし,試料を完全に融解する。
b) 融成物をプラスチック製ビーカー500 mLに移し,温水150 mLを加えて,沸騰水浴上で融成物の塊が
なくなるまで,時々溶液をプラスチック製のかくはん棒でかき混ぜながら加熱する。ビーカーを水浴
――――― [JIS R 2015 pdf 57] ―――――
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R 2015 : 2007
から降ろし,JIS P 3801に規定するろ紙5種Cを用いてろ過し,温水で洗浄し,洗液は,ろ液に合わ
せる。放冷後,全量フラスコ250 mLに移し入れ,水を標線まで加える。この溶液をプラスチック瓶
に移し,試料溶液とする。
c) 以下,12.3.4のb) 及びc) の操作を行ってほう素の発光強度を測定する。
D.2.2.5 空試験
試料を用いないでD.2.2.4の操作を行う。
D.2.2.6 検量線の作成
D.2.2.2.4の検量線用溶液系列を用いて12.3.4 c) の操作を行い,ほう素量と発光強度との関係線を作成し,
検量線とする。
なお,検量線用溶液系列の測定は,試料溶液及び空試験液測定の一連の操作として行う。検量線は,測
定ごとに新しいものを作成して用いる。
D.2.2.7 計算
試料中の炭化ほう素の含有率は,D.2.2.4 c) 及びD.2.2.5で得た発光強度とD.2.2.6で得た検量線とからほ
う素の量を求め,次の式によって算出する。
.1278 ( A1 A2 ) 250
B4C
m R 25
ここに, B4C : 炭化ほう素(III)の含有率[%(質量分率)]
1.278 : ほう素から炭化ほう素への換算係数
A1 : 分取した試料溶液(C)中のほう素の量 (g)
A2 : 分取した空試験液(C)中のほう素の量 (g)
m : 前処理後試料のはかり取り量 (g)
R : D.1.6の試料の回収率[%(質量分率)]
D.2.3 クルクミン吸光光度法(ロソシアニン法)
D.2.3.1 要旨
前処理後試料を炭酸ナトリウムで融解し,水に抽出してろ過した試料溶液を希釈後,硫酸を加えて加熱
し,脱水した後,クルクミンを加えてロソシアニンを生成させ,水−エタノールに溶かして吸光度を測定
する。
D.2.3.2 試薬
試薬は,次による。
D.2.3.2.1 硫酸(1+1) 12.4.2.1による。
D.2.3.2.2 水−エタノール溶媒 12.4.2.2による。
D.2.3.2.3 クルクミン酢酸溶液 12.4.2.3による。
D.2.3.2.4 ほう素標準液(Bとして0.1 mg/mL) 12.3.2.2による。
D.2.3.2.5 ほう素標準液(Bとして0.2 μg/mL) 12.4.2.5による。
D.2.3.3 試料のはかり取り量
D.1.6で得られた前処理後試料のはかり取り量は,0.1 gとする。
D.2.3.4 操作
操作は,次の手順によって行う。
a) .2.2.4のa) 及びb) の操作を行って試料溶液を調製する。
b) ) で得た試料溶液の一定量をプラスチック製の全量フラスコ100 mLに分取し,水で標線まで薄め,
希釈試料溶液とする。希釈試料溶液の一定量を正しく白金皿(例えば,JIS H 6202に規定する90番)
――――― [JIS R 2015 pdf 58] ―――――
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R 2015 : 2007
に分取する。試料溶液及び希釈試料溶液の分取量は,試料中の炭化ほう素含有率に応じ,表D.1を目
安とする。
表D.1−試料溶液及び希釈試料溶液の分取量の目安
炭化ほう素の含有率 試料溶液の分取量 希釈試料溶液の分取量
%(質量分率) mL mL
0.1未満 25 10
0.1以上 0.2未満 10 10
0.2以上 0.5未満 10 5
0.5以上 2.0未満 5 2
なお,白金皿は,例えば,ふっ化水素酸と少量の硫酸とを加え,熱板上で硫酸の白煙が出るまで加
熱した後,水洗して乾燥したものを用いる。
c) 硫酸(1+1) 1 mLを加え,熱板上で加熱蒸発し,硫酸白煙が発生し始めたら,白金皿の底を水に約1分
間浸し冷却する。直ちに白金皿の底の水を完全にぬぐい,クルクミン酢酸溶液1 mLを加え,時計皿
でふたをして約60分間放置する。これに,水−エタノール溶媒20 mLを加え,時々かき混ぜながら
30分間放置し,呈色錯体を完全に溶解する。
d) )の発色液の一部を吸光光度計の吸収セルに取り,波長555 nm付近で水を対照液にして吸光度を測定
する。
D.2.3.5 空試験
試料を用いないでD.2.3.4の操作を行う。
D.2.3.6 検量線の作成
ほう素標準液(Bとして0.2 μg/mL)08.0 mLを数個の白金皿(例えば,JIS H 6202に規定する90番)
に段階的に取り,それぞれについてD.2.3.4のc) 及びd) の操作を行い,ほう素の量と吸光度との関係線
を作成し,検量線とする。
D.2.3.7 計算
炭化ほう素の含有率は,D.2.3.4 d) 及びD.2.3.5で得た吸光度とD.2.3.6で作成した検量線とから,ほう
素の量を求め,次の式によって算出する。
.1278 (A1 A2 ) 250 100
B4C
m R V1 V2
ここに, B4C : 炭化ほう素の含有率[%(質量分率)]
1.278 : ほう素から炭化ほう素への換算係数
A1 : 分取した希釈試料溶液中のほう素の量 (g)
A2 : 分取した希釈空試験液中のほう素の量 (g)
m : 前処理後試料のはかり取り量 (g)
R : D.1.6の試料の回収率[%(質量分率)]
V1 : 試料溶液の分取量 (mL)
V2 : 希釈試料溶液の分取量 (mL)
参考文献 JIS K 8659 でんぷん(溶性)(試薬)
JIS R 2015:2007の国際規格 ICS 分類一覧
- 81 : ガラス及びセラミック工業 > 81.080 : 耐火物
JIS R 2015:2007の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISH6201:1986
- 化学分析用白金るつぼ
- JISH6202:1986
- 化学分析用白金皿
- JISK0050:2019
- 化学分析方法通則
- JISK0115:2004
- 吸光光度分析通則
- JISK0115:2020
- 吸光光度分析通則
- JISK0116:2014
- 発光分光分析通則
- JISK0121:2006
- 原子吸光分析通則
- JISK0557:1998
- 用水・排水の試験に用いる水
- JISK1101:2017
- 酸素
- JISK1105:2017
- アルゴン
- JISK1107:2005
- 窒素
- JISK8001:2017
- 試薬試験方法通則
- JISK8005:2014
- 容量分析用標準物質
- JISK8034:2006
- アセトン(試薬)
- JISK8069:2019
- アルミニウム(試薬)
- JISK8101:2006
- エタノール(99.5)(試薬)
- JISK8103:2013
- ジエチルエーテル(試薬)
- JISK8121:2007
- 塩化カリウム(試薬)
- JISK8150:2006
- 塩化ナトリウム(試薬)
- JISK8180:2015
- 塩酸(試薬)
- JISK8180:2021
- 塩酸(試薬)
- JISK8202:2019
- 1,10-フェナントロリン塩酸塩一水和物(試薬)
- JISK8228:2020
- 過塩素酸マグネシウム(試薬)
- JISK8251:2020
- ガラスウール(試薬)
- JISK8355:2006
- 酢酸(試薬)
- JISK8355:2021
- 酢酸(試薬)
- JISK8359:2006
- 酢酸アンモニウム(試薬)
- JISK8422:1993
- 酸化銅(II)(試薬)
- JISK8532:2007
- L(+)-酒石酸(試薬)
- JISK8541:2015
- 硝酸(試薬)
- JISK8541:2021
- 硝酸(試薬)
- JISK8562:2007
- 硝酸ナトリウム(試薬)
- JISK8576:2019
- 水酸化ナトリウム(試薬)
- JISK8603:2011
- ソーダ石灰(試薬)
- JISK8617:2007
- 炭酸カルシウム(試薬)
- JISK8625:2017
- 炭酸ナトリウム(試薬)
- JISK8660:2018
- 銅(試薬)
- JISK8798:2012
- フェノール(試薬)
- JISK8819:2017
- ふっ化水素酸(試薬)
- JISK8839:2007
- 2-プロパノール(試薬)
- JISK8863:2007
- ほう酸(試薬)
- JISK8875:2013
- マグネシウム(試薬)
- JISK8882:2020
- D(-)-マンニトール(試薬)
- JISK8885:2018
- 二酸化けい素(試薬)
- JISK8905:2019
- モリブデン(VI)酸アンモニウム四水和物(試薬)
- JISK8913:2006
- よう化カリウム(試薬)
- JISK8951:2006
- 硫酸(試薬)
- JISK8960:2008
- 硫酸アンモニウム(試薬)
- JISK9502:2020
- L(+)-アスコルビン酸(試薬)
- JISK9551:2020
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- JISP3801:1995
- ろ紙(化学分析用)
- JISR1307:1995
- 化学分析用磁器燃焼管
- JISR2001:1952
- 耐火レンガの一般通則
- JISR2001:1985
- 耐火物用語
- JISR2011:2007
- 炭素及び炭化けい素含有耐火物の化学分析方法
- JISZ8401:2019
- 数値の丸め方
- JISZ8801-1:2019
- 試験用ふるい―第1部:金属製網ふるい
- JISZ8802:2011
- pH測定方法