JIS K 2601:1998 原油試験方法 | ページ 13

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参考表 原油分析性状表

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この方法で必要な装置に対する性能基準の測定は,この参考の参考附属書で規定する。参考附属書の一
覧を,参考付表に示す。
参考付表 参考附属書一覧表
表題
参考附属書A 蒸留カラムの効率測定方法
参考附属書B カラムの動的ホールドアップの測定方法
参考附属書C 蒸留カラムの熱損失の測定方法
参考附属書D 温度検出器の位置の確認方法
参考附属書E 温度応答時間の確認方法
参考附属書F 検出器の校正方法
参考附属書G 還流分割弁の性能検査方法
参考附属書H 含水原油試料の脱水方法
参考附属書I 蒸留温度の計算方法

1. 適用範囲

  この参考では,安定化した原油の蒸留試験の手順について規定する。
この方法では,張込み量0.530リットルで,性能が理論段数1418段の“精留”カラムを使用し,還
流比5:1で操作することを基本とする。この参考で必要な装置の性能基準を規定し,許容される装置の典
型例を図示する。
この参考は,次の項目について規定する。
− 液化ガス留分と留出油及び残留油の採取。これらに関する分析データを得てもよいが,これら各留分
の分析については記述していない。
− 上述留分の質量及び容量による収率の測定
− 温度 (℃) 対留出油の質量パーセント及び温度対留出油の容量パーセントの蒸留曲線の作成
この方法は,リード蒸気圧が82.7kPa未満の安定化した原油,又は種々の石油系混合物に適用でき
る。
ただし,液化石油ガス,非常に軽質のナフサ及び初留点が400℃を超える留分には適用できない。

2. 引用規格

  次の規格は,この参考に関連する規定を含んでいる。国際規格が発行された時点では,次の版が有効で
あった。
規格はすべて改訂されることが多いため,この国際規格に同意する各機関は,次の規格の最新版を採用
する可能性を調査することが望ましい。IEC及びISOのメンバーは,国際規格の現行版を正当なものとし
て保持する。
ISO 3007 : Petroleum products−Determination of vapour pressure−Reid method
参考 この項目の内容は,JIS K 2258(原油及び燃料油蒸気圧試験方法−リード法)と技術的内容
は,一致している。
ISO 3675 : Crude petroleum and liquid petroleum products−Laboratory determination of density or relative
density−Hydrometer method
参考 この項目の内容は,JIS K 2249(原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換
算表)と技術的内容は,一致している。

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ISO 3170 : Petroleum liquids−Manual samp1ing
参考 この項目の内容は,JIS K 2251(原油及び石油製品−試料採取方法)と技術的内容は,一致
している。
ISO 3171 : Petroleum liquids−Automatic pipeline sampling
ISO 3838 : Crude petroleum and liquid or soild petroleum products−Determination of density or relative
density−Capillary-stoppered pyknometer and graduated bicapillary pyknometer methods
参考 この項目の内容は,JIS K 2249(原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換
算表)と技術的内容は,一致している。
ASTM D-2427:Method for determination of C2 through C5 hydrocarbons in gasoline by gas chromatography
参考 この項目の内容は,JIS K 2536(石油製品−成分試験方法)と技術的内容は,一致している。

3. 用語の定義

3.1   理論段
液体とその蒸気間の熱力学平衡を達成するために必要なカラムの区切り。
充てんカラムでは,1理論段相当高さ(HETP)をミリメートルで表す。実段カラムの効率は,実段1段で
理論段1段の何パーセントを達成できたかで表す。
3.2 還流比 R
カラムの頂部に達した蒸気は完全に凝縮し,その結果生じる液体は二つの部分に分けられる。一つはL
(還流分)としてカラムに戻され,もう一方のD(留出分)は留出油として回収される。還流比はL対D
の比すなわちR=L/Dである。還流比は,L=0すなわち全留出時の0から,D=0すなわち全還流時の無限
大まで変動する。
3.3 内部還流
カラム内を正常に流れ落ちる液体。純粋な化合物を断熱されたカラムを用いて蒸留する場合,内部還流
は頂部から底部まで一定であり,頂部における還流に等しい。原油の場合は,動的ホールドアップ中の混
合物によって温度こう配が生じるため,カラムの底部での還流がより多くなる。
3.4 圧力ドロップ
カラムの底部から頂部へと蒸気を押し上げるのに必要な推進力の目安。充てんカラム長の1m当たりの
mmHg(比圧力ドロップ)か,実段カラムでは全体のmmHgで表される。ある一定の蒸発速度下では,芳
香族の圧力の方がパラフィン族より高く,高分子量物質の方が低分子量物質より高い。
3.5 動的ホールドアップ
正常な操作条件下でカラム内に保持される液体の量。充てんカラムに対しては充てん物容積のパーセン
トとして表されるので,データは互いに比較可能である。
実段カラムでは,1段当たりのmLで,又は理論段1段当たりのmLで表す。トレイの大きさが異なる
ためデータの比較を行えるのは,同じ直径のものどうしだけである。
充てんカラムのデータは,実段カラムのデータとは比較できないが,理論段1段当たりの絶対mL単位
でなら可能である(参考表1参照)。動的ホールドアップは,フラッド点に達するまで蒸留速度が上昇する
につれて増加し,精留塔の種類によって異なる。
3.6 静的ホールドアップ
(“ウエッテイジ”と呼ばれることもある。)。蒸留が終わり,カラムからの液の滴下が止まった後,カラ
ムに残留する液体の量。これは充てん物の特性又は段の設計に特有なものであり,最終カットポイントで

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のカラム中の物質の組成によって決まる。
3.7 蒸発速度
単位時間当たりにカラムに流入する蒸気の量。比較するために,断面積1cm2当たり1時間に流入する量
をmL(比蒸発速度)で表すか,1時間当たりの液体量をmLで表す。
参考 後者の場合,効率評価にはヘプタンとメチルシクロヘキサンの試験混合物を用いて塔の底部で
測定する。ヘプタン・メチルシクロヘキサン試験混合物の最高蒸発量は,クラッディングを起
こさず安定した条件下でカラムが許容できる量である。通常の断熱操作では,蒸発速度を概算
するには留出速度に(還流比+1)を掛けることによって求められる。
3.8 留出速度
還流分割弁から留出油が留出する速度。時間当たりのmLで表す。
3.9 フラッド点
蒸留装置の蒸発速度を増していくと,上昇する蒸気が還流液の流下を妨害して,カラムが突然液体で満
たされる。この現象をフラッディング(あふれ)と呼び,この現象が起こる蒸発速度がフラッド点である。
フラッディングを元に戻すには,ヒータの加熱力,すなわち蒸発速度を低下させる。カラムのフラッド点
は,通常,ヘプタン・メチルシクロヘキサン試験混合物を用いてカラムの効率を調べるときに測定する。
3.10 断熱性
カラムの全体にわたり著しい熱の増加も損失もみられない性質。原油のような混合物を蒸留するときは,
カラムの下方の内部還流が増加するのが普通である。
参考 カラムで熱の損失が起こる場合,内部還流は,頭部の還流よりも異常に多い。過剰加熱したマ
ントルによって,カラムが加熱されたときは,損失と逆の現象が起こる。
3.11 蒸留温度
カラムのすぐ上の頭部で測定される飽和蒸気の温度。頭部温度又は蒸気温度ともいう。
3.12 蒸留圧力
蒸気温度の測定点にできるだけ近いところ,通常は凝縮管の上部で測定する圧力。
3.13 原油の脱ブタン化
ブタンまでの軽質炭化水素を除去し,より重質な炭化水素を保持すること。実際的には,コールドトラ
ップに集められた軽質炭化水素カットに含まれるC2C4炭化水素が,元の試料に含まれていた量の95%
を超え,C5炭化水素が元の試料の5%未満であれば,原油は脱ブタン化されたとみなす。
3.14 カット温度
留出油を区分するために,あらかじめ設定する蒸留温度,カットポイントともいう。
通常は,製油所の中間製品の沸点範囲に応じた温度とすることが多い。
3.15 フラクション
あらかじめ定めたカット温度から次のカット温度に達するまで,留出油受器に採り出した個々の留出油
をいう。フラクションの量は,留出油の沸点温度範囲が5℃又は10℃に相当する量か,試料の張込み容量
の25容量%に相当する一定容量とするとよい。
張込み油量に対するフラクションの量から求めた留出量(質量%又は容量%)と対応する留出温度から
試料の蒸留曲線を求めることができる。
3.16 カット(留分)
あるカット温度から次のカット温度に達するまでに留出した各フラクションの全体を,カット又は留分
という。フラクションを採り続けている間に,あらかじめ定めたフラクション量となる前にカット温度に

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達した場合には,留出油受器を付せ替えて,カットの区切りとする。
それぞれのカットについて分析・試験を行うことによって,製油の際の中間製品などの性状を予測する
ことができる。

4. 試験方法の概要

4.1   安定化した原油0.530リットルをはかり採り,最高温度400℃AET(常圧換算温度)まで蒸留する。
使用するカラムは,全還流において理論段数が14段以上18段以下の効率をもつこと。
4.2 すべての操作圧において還流比5 : 1を維持するが,例外として,最低操作圧が0.266kPaの場合には,
還流比2:1で蒸留してもよい。
4.3 温度,圧力及び他の変数の測定値は,一定間隔及び各カット又はフラクションの終了時に記録する。
4.4 各カット又は各フラクションの質量と密度を測定する。蒸留の質量収率は,液化ガスカット及び残
留油を含む全フラクションの質量から算出する。
4.5 蒸留の容量収率は,全フラクション及び残留油の質量と密度から算出するが,その際,温度は15℃
を適用する。
参考 共同試験の場合又は合意が得られていない場合には,蒸留開始に先立って,関係者は,試験操
作条件のすべて,特に,カット温度,最低操作圧及び最低圧下での還流比について合意に達し
ていなければならない。

5. 試料採取

5.1   JIS K 2251に規定する指示に従って,蒸留用試料を採取する。
5.1.1 試料は,漏れのない密閉容器に採取する。試料は開封する前に,冷蔵庫内に数時間(できれば1
夜間)入れ,05℃に冷却する。
5.1.2 もし開封したときに水分が含まれていることが分かったら,試料を使用する前にJIS K 2251の規
定に従って,試料を均一化してから参考附属書Hの指示事項に従って,予備蒸留によって水分を取り除く。

6. 装置

6.1   常圧蒸留 常圧蒸留用の部品は,次のものからなる。
(a) 蒸留フラスコは,沸騰熱の供給源となる加熱装置を備えたもの。
(b) カラム及び還流分割弁は,できれば高反射性真空ジャケットに封じ込められたもの。また必要ならば,
カラムからの熱損失を補償するための熱供給源となる加熱装置に覆われたもの。
(c) 凝縮管頭部は,冷却剤を供給して−20℃まで冷却できること。
(d) 留出油を取り出すための,フラクション採取器及び液体冷却器。
(e) カラム断熱材を使用する場合には,その温度測定器具,蒸気温度,圧力記録器具,カラム内の圧力ド
ロップ調節器具及び蒸留速度の直接測定器具。
(f) 附属品,例えば接続管類,二重壁凝縮管,トラップ及び受器。
蒸留装置系の典型例を参考図1に示す。
参考 すべての部品は,漏れのないように組み立てること。
6.1.1 蒸留フラスコの容量は,張込み量の少なくとも1.5倍はあること。張込み量は0.530リットルの
間で,参考表1に示し,参考附属書Bで説明するカラムのホールドアップ特性によって決まる。蒸留フラ
スコは2本の枝管が付いたものでもよい。

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JIS K 2601:1998の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 3680:1983(MOD)
  • ISO 9030:1990(MOD)

JIS K 2601:1998の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 2601:1998の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB7410:1997
石油類試験用ガラス製温度計
JISC2520:1999
電熱用合金線及び帯
JISK0050:2019
化学分析方法通則
JISK0113:2005
電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JISK0115:2004
吸光光度分析通則
JISK0115:2020
吸光光度分析通則
JISK0557:1998
用水・排水の試験に用いる水
JISK1107:2005
窒素
JISK2249:1995
原油及び石油製品―密度試験方法及び密度・質量・容量換算表
JISK2251:2003
原油及び石油製品―試料採取方法
JISK2254:2018
石油製品―蒸留性状の求め方
JISK2258:1998
原油及び燃料油 ― 蒸気圧試験方法 ― リード法
JISK2265:1996
原油及び石油製品 ― 引火点試験方法
JISK2269:1987
原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法
JISK2270:2000
原油及び石油製品 ― 残留炭素分試験方法
JISK2272:1998
原油及び石油製品―灰分及び硫酸灰分試験方法
JISK2275:1996
原油及び石油製品―水分試験方法
JISK2279:2003
原油及び石油製品―発熱量試験方法及び計算による推定方法
JISK2283:2000
原油及び石油製品―動粘度試験方法及び粘度指数算出方法
JISK2435:1992
ベンゼン・トルエン・キシレン
JISK2541:1996
原油及び石油製品―硫黄分試験方法
JISK2609:1998
原油及び石油製品―窒素分試験方法
JISK8005:2014
容量分析用標準物質
JISK8034:2006
アセトン(試薬)
JISK8051:2010
3-メチル-1-ブタノール(試薬)
JISK8101:2006
エタノール(99.5)(試薬)
JISK8102:2012
エタノール(95)(試薬)
JISK8122:2015
塩化カルシウム二水和物(試薬)
JISK8122:2021
塩化カルシウム二水和物(試薬)
JISK8123:2018
塩化カルシウム(試薬)
JISK8124:2018
塩化カルシウム(乾燥用)(試薬)
JISK8142:2018
塩化鉄(III)六水和物(試薬)
JISK8150:2006
塩化ナトリウム(試薬)
JISK8159:2017
塩化マグネシウム六水和物(試薬)
JISK8180:2015
塩酸(試薬)
JISK8180:2021
塩酸(試薬)
JISK8193:2020
N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン二塩酸塩(試薬)
JISK8230:2016
過酸化水素(試薬)
JISK8271:2007
キシレン(試薬)
JISK8374:2007
酢酸鉛(II)三水和物(試薬)
JISK8541:2015
硝酸(試薬)
JISK8541:2021
硝酸(試薬)
JISK8550:2006
硝酸銀(試薬)
JISK8550:2021
硝酸銀(試薬)
JISK8576:2019
水酸化ナトリウム(試薬)
JISK8625:2017
炭酸ナトリウム(試薬)
JISK8637:2006
チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JISK8659:2014
でんぷん(溶性)(試薬)
JISK8680:2006
トルエン(試薬)
JISK8810:2018
1-ブタノール(試薬)
JISK8848:2012
ヘキサン(試薬)
JISK8891:2006
メタノール(試薬)
JISK8913:2006
よう化カリウム(試薬)
JISK8920:2008
よう素(試薬)
JISK8949:2019
硫化ナトリウム九水和物(試薬)
JISK8951:2006
硫酸(試薬)
JISK8953:2008
硫酸亜鉛七水和物(試薬)
JISK8960:2008
硫酸アンモニウム(試薬)
JISK8982:2008
硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JISK8987:2006
硫酸ナトリウム(試薬)
JISK9001:2008
チオシアン酸カリウム(試薬)
JISP3801:1995
ろ紙(化学分析用)
JISR3503:1994
化学分析用ガラス器具
JISZ8401:2019
数値の丸め方
JISZ8402:1991
分析・試験の許容差通則