JIS K 2601:1998 原油試験方法 | ページ 12

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附属書1 水でい分試験用水飽和トルエン調製方法

1. 適用範囲

 この附属書1は,水でい分試験方法で使用する水飽和トルエンの調製方法について規定す
る。
備考 附属書1図1に特定の温度範囲におけるトルエンの水溶解度を示す。水の溶解度は,21℃で
0.03%,70℃で0.17%と温度が上昇するにつれて増加する。通常,トルエンはほとんど水分を含
まないので,この状態で使用すると試料中水分の一部又は大部分を溶解してしまうため,見掛
け上,試料の水でい分が減少する。遠心分離法による水でい分の測定を正確に行うためには,
試験温度においてトルエンを水で飽和しておかなければならない。
2. 試験器 試験器は,次による。
(1) 加熱用液浴 容量1Lの瓶を肩まで浸すのに十分な深さの液浴で,60±3℃の温度に保持できるもの。
(2) ガラス瓶 容量1Lでねじぶた付きのもの。
3. 試薬 試薬は,次による。
(1) トルエン 本体14.3(1)に規定するもの。
(2) 水 JIS K 0557に規定するもの又は水道水。
4. 試験の手順 試験の手順は,次による。
(1) 本体14.5で遠心分離操作を行う温度60±3℃(1)に加熱用液浴の温度を合わせる。
注(1) 49±3℃で遠心分離操作を行う場合には,その温度に合わせる。
参考 75±3℃で遠心分離操作を行う場合には,その温度に合わせる。
(2) ガラス瓶にトルエン700800mLを入れ,水25mLを加え,ねじぶたをして30秒間激しく振とうする。
(3) ねじぶたを緩めて,ガラス瓶を加熱用液浴に30分間浸した後,ガラス瓶を取り出してねじぶたを閉め,
注意して30秒間振とうする。
参考 60℃におけるトルエンの蒸気圧は38℃のときの約2倍となるので,ねじぶたの密閉度が不完全
な場合には噴出するおそれがある。
(4) (3)の操作を3回繰り返す。
(5) トルエンと分離水との平衡を確実にするため,(4)で得られた水−トルエン混合液は使用前に48時間
以上,加熱用液浴に浸しておき,上澄みを使用する。48時間以前に水飽和トルエンを使用する場合に
は,上澄みを目盛試験管に入れ,試料の遠心分離と同様の条件で遠心分離を行い,目盛試験管の底部
にたまった分離水を乱さないように注意して,上澄みをピペットで採取して使用する。
(6) トルエンの水飽和は時間及び温度に左右されるので,いつでも試験に使用できるように,水−トルエ
ン混合液の瓶は試験温度範囲内に保った加熱用液浴に常時入れておくことが望ましい。

――――― [JIS K 2601 pdf 56] ―――――

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附属書1図1 トルエンの各温度における水溶解度

――――― [JIS K 2601 pdf 57] ―――――

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附属書2 水でい分試験用試料の均一化方法

1. 適用範囲

 この附属書2は,混和器を使用して水でい分試験用原油試料を均一化する方法について規
定する。
備考 水でい分試験用試料の水でい分の均一性について疑義が生じた場合,この均一化の操作を行っ
てから,試料の水でい分を測定する。
2. 均一化法の原理 あらかじめ低水分原油に,定量の水を加えた試料容器中で,水分が均一になるよう
な混和器の運転条件を求める。ここで求めた混和器の運転条件で試料原油中の水分を均一にする。
3. 器具及び試薬 器具及び試薬は,JIS K 2275の4.(カールフィッシャー式容量滴定法),5.(カールフ
ィッシャー式電量滴定法)又は6.(水素化物反応法)に規定されているものによるほかは,次による。
(1) 低水分原油 JIS K 2275の4.,5.又は6.の規定によって測定した水分が0.1容量%以下の原油。
(2) 試料容器 500mL又は適切な大きさのもの。
(3) 混和器 二重回転翼式のホモジナイザーで回転数約3000rpmのものが適切であるが,満足できる性能
であれば他の型を用いてもよい。
また,揮発性物質を含む試料には密閉式のものがよい。
参考 エアーモータなど引火のおそれのないものがよい。
4. 混和器の効率の測定 新しい混和器を使用する場合,試料容器の形状を変える場合,及び原油の粘度
が大きく変わる場合は,必ず前もってこの測定を行い,均一化を確認する。
(1) 試料容器の質量を0.01 gのけたまではかる。これをM0(g)とする。
(2) 試料容器に低水分原油を約80%満たす。
(3) 混和器の底が試料容器の底から5mm上にくるように,混和器をセットして使用予定の回転数及び時
間で,低水分原油をかき混ぜる。
(4) 直ちに低水分原油の水分をJIS K 2275の4.,5.又は6.の規定によって,2回測定し,2回の結果の平均
値を求める。この水分結果を空試験値として記録する。
備考 2回の測定結果の差が室内併行許容差内であることを確認する。
(5) 低水分原油及び試料容器の質量を0.01gのけたまではかり,これをM1 (g) とする。(3)と同じように混
和器をセットする。
(6) 低水分原油の質量 (M1−M0) から,加えたい水分量に相当する量を求める。
備考 加えたい水分量は,低水分原油の質量の12質量%である。
(7) 注射器に,加えたい水分量に相当する水を満たし,質量を0.1mgのけたまではかる。
(8) 混和器の注ぎ口の近くの低水分原油の表面下に水を注入する。
(9) 針についている油分をすべてふき取り,注射器の質量を再度0.1mgのけたまではかり,加えた水の質
量を求め,(6)の低水分原油量から添加した水分を求める。
(10) (3)と同じ条件で試料をかき混ぜる。
備考 均一化中の温度上昇は,10℃を超えてはならない。
(11) 直ちに液面のすぐ下の試料の水分含量をJIS K 2275の4.,5.又は6.の規定によって1回測定する。

――――― [JIS K 2601 pdf 58] ―――――

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(12) かき混ぜることなく,15分後及び30分後に水分含量をそれぞれ1回測定する。
(13)(11)及び(12)で求めた水分から(4)の空試験値を減じた値と,添加した水分の差が0.05%以内にあること,
及び直後,15分,30分のはかり採り時の水分が0.05%以内にあることを確認する。
(14) もしこれが(13)の条件を満足しない場合は,(3)の混和器回転数及び混和時間を変えて再度(4)から(13)
までの操作をやり直す。
参考 原油によっては,水分の均一化がしにくいことがあるが,この場合は原油を室温以下に冷却し
て行うとよい。
5. 原油試料の均一化方法 試料容器の中の原油の水でい分を測定するに先立って,4.で均一が確認され
た混和器を使用して,同一の条件でかき混ぜる。
備考 この均一化は,水でい分測定の直前(15分以内)に行う。

――――― [JIS K 2601 pdf 59] ―――――

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参考 理論段数15段の精留塔を使用した蒸留試験方法
この試験方法は,本体の規定に関係した試験方法を参考として明示したものであって,規格の一部では
ない。
この参考は,1984年に発行されたISO/DIS 8708 (Crude petroleum oil−Determination of distillation
characteristics using 15 theoretical plates column) を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することな
く作成したものである。
なお,この参考で下線(点線)を施した部分及び報告様式の一例は,原国際規格にない事項である。
0.

序文

  この参考で規定する方法は,精留の度合いと試験所要時間とを勘案して,試験室間の蒸留データの比較
を容易にするものである。
技術的内容として,15:5(理論段数15段塔,5:1還流比)すなわちT.B.P.(真沸点)による方法を規定し
ている。
したがって,得られる蒸留性状は,原油の商品価値の評価及び石油精製の際の技術的データとして有益
である。
得られる留出油のフラクション又はカットは,混合して分析用及び品質評価用試料とすることができる
が,そのような留出油の混合や評価はこの参考には含まれない。
原油と,この方法で得られた留出油についての試験項目と報告様式の一例を参考表に示す。

――――― [JIS K 2601 pdf 60] ―――――

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JIS K 2601:1998の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 3680:1983(MOD)
  • ISO 9030:1990(MOD)

JIS K 2601:1998の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 2601:1998の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB7410:1997
石油類試験用ガラス製温度計
JISC2520:1999
電熱用合金線及び帯
JISK0050:2019
化学分析方法通則
JISK0113:2005
電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JISK0115:2004
吸光光度分析通則
JISK0115:2020
吸光光度分析通則
JISK0557:1998
用水・排水の試験に用いる水
JISK1107:2005
窒素
JISK2249:1995
原油及び石油製品―密度試験方法及び密度・質量・容量換算表
JISK2251:2003
原油及び石油製品―試料採取方法
JISK2254:2018
石油製品―蒸留性状の求め方
JISK2258:1998
原油及び燃料油 ― 蒸気圧試験方法 ― リード法
JISK2265:1996
原油及び石油製品 ― 引火点試験方法
JISK2269:1987
原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法
JISK2270:2000
原油及び石油製品 ― 残留炭素分試験方法
JISK2272:1998
原油及び石油製品―灰分及び硫酸灰分試験方法
JISK2275:1996
原油及び石油製品―水分試験方法
JISK2279:2003
原油及び石油製品―発熱量試験方法及び計算による推定方法
JISK2283:2000
原油及び石油製品―動粘度試験方法及び粘度指数算出方法
JISK2435:1992
ベンゼン・トルエン・キシレン
JISK2541:1996
原油及び石油製品―硫黄分試験方法
JISK2609:1998
原油及び石油製品―窒素分試験方法
JISK8005:2014
容量分析用標準物質
JISK8034:2006
アセトン(試薬)
JISK8051:2010
3-メチル-1-ブタノール(試薬)
JISK8101:2006
エタノール(99.5)(試薬)
JISK8102:2012
エタノール(95)(試薬)
JISK8122:2015
塩化カルシウム二水和物(試薬)
JISK8122:2021
塩化カルシウム二水和物(試薬)
JISK8123:2018
塩化カルシウム(試薬)
JISK8124:2018
塩化カルシウム(乾燥用)(試薬)
JISK8142:2018
塩化鉄(III)六水和物(試薬)
JISK8150:2006
塩化ナトリウム(試薬)
JISK8159:2017
塩化マグネシウム六水和物(試薬)
JISK8180:2015
塩酸(試薬)
JISK8180:2021
塩酸(試薬)
JISK8193:2020
N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン二塩酸塩(試薬)
JISK8230:2016
過酸化水素(試薬)
JISK8271:2007
キシレン(試薬)
JISK8374:2007
酢酸鉛(II)三水和物(試薬)
JISK8541:2015
硝酸(試薬)
JISK8541:2021
硝酸(試薬)
JISK8550:2006
硝酸銀(試薬)
JISK8550:2021
硝酸銀(試薬)
JISK8576:2019
水酸化ナトリウム(試薬)
JISK8625:2017
炭酸ナトリウム(試薬)
JISK8637:2006
チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JISK8659:2014
でんぷん(溶性)(試薬)
JISK8680:2006
トルエン(試薬)
JISK8810:2018
1-ブタノール(試薬)
JISK8848:2012
ヘキサン(試薬)
JISK8891:2006
メタノール(試薬)
JISK8913:2006
よう化カリウム(試薬)
JISK8920:2008
よう素(試薬)
JISK8949:2019
硫化ナトリウム九水和物(試薬)
JISK8951:2006
硫酸(試薬)
JISK8953:2008
硫酸亜鉛七水和物(試薬)
JISK8960:2008
硫酸アンモニウム(試薬)
JISK8982:2008
硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JISK8987:2006
硫酸ナトリウム(試薬)
JISK9001:2008
チオシアン酸カリウム(試薬)
JISP3801:1995
ろ紙(化学分析用)
JISR3503:1994
化学分析用ガラス器具
JISZ8401:2019
数値の丸め方
JISZ8402:1991
分析・試験の許容差通則