JIS K 2601:1998 原油試験方法 | ページ 2

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つためのOリング及び温度計挿入孔を設けたもの。その詳細は,図1に示す。
(2.2) ふた 黄銅などの金属製のもので試料カップ上面に取り付けて,ちょうつがい及びふたどめによっ
て開閉する機構とし,閉の状態でOリングに密着して試料上の空間を密閉する。ふたには3個の窓,
試料注入管,試験炎のぞき機構及び可動板を設ける。その詳細は,図2に示す。
(a) 可動板 黄銅などの金属製のもので,可動板ガイドに沿ってふたに密着してしゅう動して,ふたに
設けた3個の窓を開閉し,試験炎をのぞかせる機構とする。開の状態とした際,可動板の2個の窓
は対応するふたの2個の窓と正確に合致しなければならない。
また,ふたの上面と可動板との間の滑り面はすり合わせて,試料蒸気が漏れないようにしなけれ
ばならない。その詳細は,図3に示す。
(b) 試験炎のぞき機構 黄銅又はステンレス鋼製のもので,試験炎の大きさを3.5±0.5mmに調節する
ことができ,可動板を開としたときふた中央の窓へ試験炎をのぞかせる構造とする。
なお,試験炎をのぞかせたとき,試験炎ノズルの先端の中心がふたの下側の平面と±0.1mmの範
囲内で一致しなければならない。その詳細は,図1に示す。
(2.3) 温度計 表3に規定するもの。
なお,温度計の水銀球と加熱ブロックの温度計挿入孔との透き間には熱伝導性のよいペーストを
詰める。
参考 熱伝導性のよいペーストとしては,シリコン系のグリースに金属酸化物を混入したものが適切
である。
市販品には,Dow Corning 340 Heat Sink Compound,KS 609などがある。
表3 迅速平衡式引火点試験用ガラス温度計
目盛範囲 ℃ 0110
浸没 mm 44.5±1
目盛 ℃ 目量 1
長目盛線 5
目盛数字 10
目盛の誤差 0.5
膨張室 温度計許容加熱温度 ℃ 120
+
20024
全長 mm −
直径 mm 67
球 mm 長さ 1014
直径 4.504.65
目盛の位置 mm 球下端から0℃目盛線までの距離 50±2
球下端から110℃目盛線までの距離 165185
膨らみ なし
備考 温度計は,JIS B 7410の附属書に規定する補正試験を行って,あらかじ
め目盛の誤差を求めておく。
(2.4) 加熱器 設定温度が常温以上の場合に,試料カップを設定温度±0.2℃に保つことができる温度調節
機構をもち,加熱ブロックが設定温度に達したことを表示する機能を備えた電熱式のもの。
(2.5) 試料管 ステンレス鋼などの金属製で,内径は約10mmで長さは適切なもの。
(2.6) 冷却袋 設定温度が室温以下の場合に,加熱ブロックを冷却するために使用するもので,プラスチ
ック製の袋に凍結温度の低い液体を封入した市販の保冷剤を冷凍庫などで冷却したものか,又は試
験温度に応じて,プラスチック製の袋などに砕氷若しくは砕氷と塩化ナトリウムの混合物を入れた

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もの。
(2.7) 試料ならし具 試料カップに採取した試料を押し付けて,試料カップ底部に均一な厚さとなるよう
に広げるために使用するもので,試料カップの内径よりやや小さい直径の適切な金属製円板に柄を
取り付けたもの,又は適切な大きさのガラス製若しくは金属製のビーカーを用いてもよい。
図1 迅速平衡式引火点試験器
図2 ふた 図3 可動板
(3) 試料の採取及び調製 試料は,JIS K 2251に規定する一次試料の採取方法及び二次試料の調製方法,
又はそれに準じた方法によって採取及び調製し,試験を実施するまで密閉した容器内に保存する。

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また,容器内の内容物上の空間は容器全容量の10%を超えないように注意する。
備考 プラスチック容器(ポリプロピレン製,ポリエチレン製など)は,試料中の揮発性物質が壁面
を透過して拡散する可能性があるので使用してはならない。
(4) 試験器の準備 試験器は,できるだけ通風の少ない場所に置く。直射日光や強い照明は避ける。
(5) 温度の設定 判定温度を整数単位で設定し,これを設定温度とする。
備考 気圧が99.4103.2kPa[{746774mmHg}]の範囲を超えている場合には,次の式によって判定温度
から設定温度を計算し,整数位に丸める。
TC=T−0.25 (101.3−P1)
{TC=T−0.033 (760−P2)}
ここに, TC: 設定温度(℃)
T: 判定温度(℃)
P1: 気圧(kPa)
P2: 気圧(mmHg)
(6) 試験の手順 (5)で求めた設定温度に応じて,(6.1)設定温度が室温を超える場合,又は(6.2)設定温度が
室温以下の場合に従って試験を行う。
(6.1) 設定温度が室温を超える場合
(a) 試料,試料ならし具及び清浄な試料管を設定温度より約10℃低い温度に保つ。ただし,設定温度が
室温より10℃以上高い場合は,試料,試料ならし具及び試料管を室温に保つ。
(b) 試料カップの内面,ふた及び可動板をティッシュペーパーなどでふき,清浄にする。試料注入口を
耐熱性のゴム栓などで密閉した後,ふたを閉じる。
(c) 加熱器のスイッチを入れ,温度調節器を調整して温度計の読みを設定温度に正確に合わせて,温度
を安定させる。
(d) 試料中に試料管を突き刺した後,試料管上端を指でふさいで引き抜くことによって,試料を採る。
この際,試料を採る位置は試料管の先端が試料容器の側壁及び試料容器の中心からほぼ等距離で,
深さは試料上面及び試料容器底面からほぼ等距離の点に位置することが望ましい。
備考 試料の固化状態によっては,試料管で試料を採るのが困難なことがある。この場合には,スパ
チュラなどを用いて試料表面を避けて試料採取を行う。
(e) 試験器のふたを開き,試料管の上端にゴム球などで圧力を加えて,試料23g(3)を試料カップ中に
押し出す。直ちに試料カップの上に薄いプラスチックフィルム(4)を載せ,その上から試料ならし具
を押し付けて,できるだけ試料が試料カップ底部全面に均一な厚さになるように広げる。試料なら
し具及びプラスチックフィルムを取り除き,ふたを閉じてふたどめで固定し,秒時計を始動する。
(e)の操作は,できるだけ迅速に行う。
注(3) 試料管の内径及び試料の密度から,押し出す長さを計算しておく。
(4) プラスチックフィルムは,JIS K 2541に規定する放射線励起法で,セル窓材として使用するポ
リエステル製フィルム,又は家庭で電気冷蔵庫や電子レンジに食品を入れる際,包装に使用す
るもの。
(f) ガス調節弁を開き,案内炎と試験炎に点火して,試験炎の大きさを直径3.5±0.5mmに調節する。
(g) 試料カップに試料を入れてから60秒経過したら,2.5±0.5秒間可動板を開いて試験炎をのぞかせ,
引火(5)の有無を観察する。
注(5) 引火点に近い温度では,試験炎の周りに青白い輪が現れることがあるが,これは引火とみなさ

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ず,試料の表面に炎が広がった場合に引火したとみなす。
(h) 引火した場合には(7.1)によって“引火”と表し,試験を終了する。未引火の場合には(a)(g)の操作
を繰り返し,引火した場合には(7.1)によって“引火”と表す。2回の試験結果がいずれも未引火の
場合には,(7.1)によって“未引火”と表す。
(6.2) 設定温度が室温以下の場合
(a) 試料,試料ならし具及び清浄な試料管を設定温度より35℃低い温度に保つ。
(b) 試料カップの内面,ふた及び可動板をティッシュペーパーなどでふき,清浄にする。試料注入管を
耐熱性のゴム栓などで密閉する。
(c) ふたを開けて試料カップ中に冷却モジュール(6)を置くか,又はふたを閉じてふたの上に冷却袋をか
ぶせて,温度計が設定温度より35℃低い温度を示すまで加熱ブロックを冷却する。
注(6) 冷却モジュールは,ステンレス鋼などの金属製のシリンダ状の容器で,外径は試料カップ内に
密着する大きさとし,高さは200mm以上とする。
なお,試料カップに密着する部分以外の外壁を適切な保温材で覆う。この中に砕氷又は砕氷
と塩化ナトリウムの混合物を入れて,試料カップ中に置き加熱ブロックを冷却する。
(d) 試料中に試料管を突き刺した後,試料管上端を指でふさいで引き抜くことによって,試料を採取す
る。この際,試料を採取する位置は試料管の先端が試料容器の側壁及び試料容器の中心からほぼ等
距離で深さは試料上面及び試料容器底面からほぼ等距離の点に位置することが望ましい。
備考 試料の固化状態によって,試料管による試料採取が困難なことがある。この場合には,スパチ
ュラなどを用いて試料表面を避けて試料採取を行う。
(e) 試験器のふたを開き,凝縮水が認められる場合は,ティッシュペーパーなどでふき取る。試料管の
上端にゴム球などで圧力を加えて,試料23g(3)を試料カップ中に押し出す。直ちに試料カップの
上に薄いプラスチックフィルム(4)を載せ,その上から試料ならし具を押し付けて,できるだけ試料
が試料カップ底部全面に均一な厚さになるように広げる。試料ならし具及びプラスチックフィルム
を取り除き,ふたを閉じてふたどめで固定し,秒時計を始動する。
(e)の操作は,できるだけ迅速に行う。
(f) ふたの上に冷却袋をかぶせて加熱ブロックを保冷し,5分以上加熱ブロックの温度を設定温度又は
設定温度より3℃低い温度の範囲に保つ。
(g) 冷却袋を取り除いた後,ガス調節弁を開き案内炎と試験炎に点火して,試験炎の大きさを直径3.5
±0.5mmに調節する。
(h) 試験器をそのまま放置して,温度計が設定温度を示したら,2.5±0.5秒間シャッタを開いて試験炎
をのぞかせ,引火(5)の有無を観察する。ただし,(e)で秒時計を始動してから試験炎をのぞかせるま
での時間が10分を超えた場合には,(f)の保冷温度を変えて試験をやり直す。
(i) 引火した場合には(7.1)によって“引火”と表し,試験を終了する。未引火の場合には(a)(h)の操作
を繰り返し,引火した場合には(7.1)によって“引火”と表す。2回の試験結果がいずれも未引火の
場合には,(7.1)によって“未引火”と表す。
(7) 試験結果及び精度
(7.1) 試験結果 迅速平衡式引火点試験の結果は,(5)で決めた判定温度を整数で,また,判定温度におい
て“引火”又は“未引火”であることを表す。その際,迅速平衡式引火点試験の結果であることを,
例えば略号(RCC)などで記す(例1.及び例2.参照)。
備考 設定温度を補正した場合には,実際に試験を行ったときの温度すなわち補正した設定温度では

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なく,未補正の設定温度で表す。
例1.引火点(RCC) ········· 21℃,引火
例2.引火点(RCC) ········· 5℃,未引火
参考 RCCは,Rapid equi1ibrium Closed Cupの頭文字を表す。
(7.2) 精度 引火点試験方法の精度は,規定しない。
(8) 試験結果の報告 試験結果には,次の事項を記載する。
(8.1) 試料名,採取場所及び採取年月日
(8.2) ISの規格番号 例 JIS K 2601
(8.3) 試験方法の名称・項番号及び(7.1)によって得られた結果
(8.4) 特記事項

14. 水でい分試験方法

14.1 試験の原理 遠心分離用の目盛試験管2本にそれぞれ試料50m1と水で飽和したトルエン50m1を採
り,完全に混合してから遠心分離器で60℃(7)で10分間の遠心分離操作を2回繰り返し,目盛試験管底部
に沈積した水でい層の容量を読み,水でい分を算出する。
注(7) あらかじめ49℃で沈殿物にワックス状のものが認められないことが分かっている場合には,
49℃で遠心分離を行ってもよい。
備考 この試験方法で得られる結果は,水と沈積物の総量である。したがって,水分だけを正確に測
定するには12.による。
参考 60℃で試験を行った際,沈殿物にワックス状のものが認められた場合には,ワックス状のもの
が認められなくなる温度で試験をやり直す。一例として75℃がよい。ただし,精度は規定しな
い。
14.2 水でい分試験器 水でい分試験器は,次による。
(1) 遠心分離器 試料を入れた規定の目盛試験管2個以上の偶数個を60±3℃(8)の温度に保ち,規定速度
で回転できるもので,かつ,引火性の雰囲気中であっても安全に操作でき,構造が丈夫なもの。目盛
試験管保持管は金属製とし,これに緩衝用としてフェルト,ゴムその他適切なものを入れる。回転部
は破損したとき危険を防止できるように,丈夫な金属製の囲いで覆う。回転速度は,目盛試験管底部
における相対遠心力が600になるように調節する。所要の毎分回転数は,次の式によって算出する。
f
R=1 335
d
ここに, R : 毎分回転数(rpm)
f : 相対遠心力
d : 回転直径(回転状態において相対する目盛試験管の両底間の
距離)(mm)
注(8) 49℃で試験を行う場合には,10分間遠心分離した後の目盛試験管内の溶液の温度が46℃以上あ
ればよい。
参考 回転直径と回転数の関係を参考表1に示す。

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JIS K 2601:1998の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 3680:1983(MOD)
  • ISO 9030:1990(MOD)

JIS K 2601:1998の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 2601:1998の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB7410:1997
石油類試験用ガラス製温度計
JISC2520:1999
電熱用合金線及び帯
JISK0050:2019
化学分析方法通則
JISK0113:2005
電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JISK0115:2004
吸光光度分析通則
JISK0115:2020
吸光光度分析通則
JISK0557:1998
用水・排水の試験に用いる水
JISK1107:2005
窒素
JISK2249:1995
原油及び石油製品―密度試験方法及び密度・質量・容量換算表
JISK2251:2003
原油及び石油製品―試料採取方法
JISK2254:2018
石油製品―蒸留性状の求め方
JISK2258:1998
原油及び燃料油 ― 蒸気圧試験方法 ― リード法
JISK2265:1996
原油及び石油製品 ― 引火点試験方法
JISK2269:1987
原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法
JISK2270:2000
原油及び石油製品 ― 残留炭素分試験方法
JISK2272:1998
原油及び石油製品―灰分及び硫酸灰分試験方法
JISK2275:1996
原油及び石油製品―水分試験方法
JISK2279:2003
原油及び石油製品―発熱量試験方法及び計算による推定方法
JISK2283:2000
原油及び石油製品―動粘度試験方法及び粘度指数算出方法
JISK2435:1992
ベンゼン・トルエン・キシレン
JISK2541:1996
原油及び石油製品―硫黄分試験方法
JISK2609:1998
原油及び石油製品―窒素分試験方法
JISK8005:2014
容量分析用標準物質
JISK8034:2006
アセトン(試薬)
JISK8051:2010
3-メチル-1-ブタノール(試薬)
JISK8101:2006
エタノール(99.5)(試薬)
JISK8102:2012
エタノール(95)(試薬)
JISK8122:2015
塩化カルシウム二水和物(試薬)
JISK8122:2021
塩化カルシウム二水和物(試薬)
JISK8123:2018
塩化カルシウム(試薬)
JISK8124:2018
塩化カルシウム(乾燥用)(試薬)
JISK8142:2018
塩化鉄(III)六水和物(試薬)
JISK8150:2006
塩化ナトリウム(試薬)
JISK8159:2017
塩化マグネシウム六水和物(試薬)
JISK8180:2015
塩酸(試薬)
JISK8180:2021
塩酸(試薬)
JISK8193:2020
N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン二塩酸塩(試薬)
JISK8230:2016
過酸化水素(試薬)
JISK8271:2007
キシレン(試薬)
JISK8374:2007
酢酸鉛(II)三水和物(試薬)
JISK8541:2015
硝酸(試薬)
JISK8541:2021
硝酸(試薬)
JISK8550:2006
硝酸銀(試薬)
JISK8550:2021
硝酸銀(試薬)
JISK8576:2019
水酸化ナトリウム(試薬)
JISK8625:2017
炭酸ナトリウム(試薬)
JISK8637:2006
チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JISK8659:2014
でんぷん(溶性)(試薬)
JISK8680:2006
トルエン(試薬)
JISK8810:2018
1-ブタノール(試薬)
JISK8848:2012
ヘキサン(試薬)
JISK8891:2006
メタノール(試薬)
JISK8913:2006
よう化カリウム(試薬)
JISK8920:2008
よう素(試薬)
JISK8949:2019
硫化ナトリウム九水和物(試薬)
JISK8951:2006
硫酸(試薬)
JISK8953:2008
硫酸亜鉛七水和物(試薬)
JISK8960:2008
硫酸アンモニウム(試薬)
JISK8982:2008
硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JISK8987:2006
硫酸ナトリウム(試薬)
JISK9001:2008
チオシアン酸カリウム(試薬)
JISP3801:1995
ろ紙(化学分析用)
JISR3503:1994
化学分析用ガラス器具
JISZ8401:2019
数値の丸め方
JISZ8402:1991
分析・試験の許容差通則