JIS K 2601:1998 原油試験方法 | ページ 5

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(a) IS K 8005に規定する塩化ナトリウム5g以下を白金るつぼに入れ,600℃で約1時間加熱した後,
無水過塩素酸マグネシウムを乾燥剤としたデシケータ中で0.51時間放冷する。
(b) (a)の塩化ナトウリム1.01.2gを0.1mgのけたまではかり採り,少量の水に溶解する。これを1L全
量フラスコに洗い移し,水を標線まで加える。
(c) (b)の塩化ナトリウム水溶液20mLをピペットで採取し,300mL三角フラスコに入れ,水50mL及び
ウラニン指示薬溶液を加えて,硝酸銀溶液で滴定する。緑色の蛍光が消えて桃色に変わった点を終
点とする。
(d) 硝酸銀溶液のモル濃度は,次の式によって算出し,JIS Z 8401の規定によって小数点以下5けたに
丸める。
0.02 M P
C=
0.058 44V 100
ここに, C : 硝酸銀溶液のモル濃度(mol/L)
M : (b)ではかり採った塩化ナトリウムの質量(g)
V : 終点までに要した硝酸銀溶液の容量(mL)
P : 塩化ナトウリムの含量(%)
(10) 0.005mol/L硝酸銀標準液 (9)の0.02mol/L硝酸銀標準液を原液として,ピペット及び全量フラスコを
用いて原液を水で4倍に希釈し,着色瓶に入れて保存する。
原液のモル濃度を41倍してモル濃度とする。
(11) 0.02mol/Lチオシアン酸カリウム標準液 JIS K 9001に規定するチオシアン酸カリウム約2gを水に溶
かして1Lとする。
この溶液のモル濃度を,以下によって求める。
(a) 300mL共栓付き三角フラスコにピペットを用いて0.02mol/L硝酸銀標準液25mLを入れ,水25mL,
硝酸溶液(30%)5mL,鉄みょうばん指示薬溶液3mL及びイソアミルアルコール10mLを加える。
(b) よく振り混ぜながらチオシアン酸カリウム標準液で滴定する。終点に近づき,液がやや赤みを帯び
たら三角フラスコに栓をして15秒間激しく振とうし,沈殿物を凝結沈降させた後,栓を取り除く(13)。
注(13) フラスコの栓を取り除く際,振とうしている間に生じた圧力のため,フラスコの口から溶液が
飛び散ることがあるので注意する。
(c) さらに,よく振り混ぜながらゆっくりと滴定して,赤色が消えなくなった点を終点とする。
(d) チオシアン酸カリウム標準液のモル濃度は,次の式によって算出し,JIS Z 8401の規定によって小
数点5けたに丸める。
M V1
C=
V2
ここに, C : チオシアン酸カリウム標準液のモル濃度(mol/L)
M : 0.02mol/L硝酸銀標準液のモル濃度(mol/L)
V1 : 0.02mol/L硝酸銀標準液の採取量(mL)
V2 : 滴定に要したチオシアン酸カリウム標準液の量(mL)
15.4 試料の採取及び調製 試料は,JIS K 2251に規定する一次試料の採取方法及び二次試料の調製方法,
又はそれに準じた方法によって採取及び調製する。
15.5 試験の手順
15.5.1 抽出 抽出は,次による。
(1) 試料約80gを0.1g単位まで250mLビーカーにはかり採り,これを60±5℃まで加熱し,同温度に加熱

――――― [JIS K 2601 pdf 21] ―――――

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したトルエン40mLを溶液が均一になるようにかき混ぜながらゆっくり加える。この溶液をチッスル
管から煮沸用フラスコに移した後,約60℃に熱したトルエン15mLずつを用いて,ビーカー及びチッ
スル管を2回洗い流す。
煮沸用フラスコ内の溶液が冷えないうちに温エタノール25mL及び温アセトン15mLをチッスル管
から加える。
(2) 煮沸用フラスコ内には突沸防止のため多孔質のゼオライトなどを入れるか,又は窒素ガスの導入など
を行い,溶液を2分間激しく沸騰させる。
次に加熱を止め,沸騰しなくなってから水125mLをチッスル管から加え,更に15分間沸騰させて
放冷する。
(3) 層が分かれたら下層を110mL以上抜き取る。この際必要ならば,ろ紙で抽出液をろ過する。
備考 少量のエタノールとアセトンは試料層に溶解して残るので,有効な下層抽出液量は160mLとす
る。
(4) 抽出液100mLを250mLビーカーにはかり採り,硝酸溶液(30%)5mLを加えてビーカーを時計皿で覆い,
沸騰させる。
蒸気中に硫化水素が存在するか否かを酢酸鉛紙で試験する。
(5) 酢酸鉛紙が黒変しない場合は,15.5.2によって滴定する。
酢酸鉛紙が黒変した場合は,蒸気中に硫化水素がなくなるまで抽出液を沸騰させる。抽出液の沸騰
は,酢酸鉛紙が黒変しなくなった後,更に5分間行う。
15.5.2 滴定 抽出液中の塩分は,(1)又は(2)のいずれかによって測定する。
(1) 指示薬滴定法
(a) 抽出液を放冷した後,水を用いてこれを300mL共栓付き三角フラスコに洗い流し,3−メチル−1
−ブタノール10mLと鉄みょうばん指示薬溶液3mLを加える。
(b) ビュレットを用いて0.02mol/Lチオシアン酸カリウム標準液0.5mLを300mL共栓付き三角フラスコ
に加えた後,フラスコを激しく振りながら0.02mol/L硝酸銀標準液で無色になるまで滴定する。さ
らに,0.02mol/L硝酸銀標準液5mLを加え,フラスコに栓をして15秒間激しく振り,沈殿物を凝結
沈降させた後,栓を取り除く(14)。
注(14) フラスコの栓を取り除く際,振っている間に生じた圧力のため,フラスコの口から溶液が飛び
散ることがあるから注意すること。
(c) 0.02mol/Lチオシアン酸カリウム標準液でゆっくり滴定し,終点が近づき徐々に赤く着色してきたら
止める。フラスコを激しく振り,赤色が消えれば更に滴定を繰り返し,赤色が消えなくなった点を
終点とする。
(d) 空試験は,試料の変わりにトルエン95mLを用いて,15.5.1及び(a)(c)の操作を行う。
(2) 電位差滴定法
(a) 15.5.1(5)で得られた抽出液を550mL(15)に濃縮し,アセトン50mL及び硝酸溶液(30%)2mLを加え
た後,硝酸銀標準液(16)で電位差滴定を行う。
電位差計の読み (mV) に対する硝酸銀標準液の滴定曲線を作図し,その変曲部から滴定終点を求
める(17)。
滴定用試料溶液中にメルカプタンが存在する場合は,塩分の変曲点の前にメルカプタンの変曲点
が現れる。この場合,塩分の変曲点までの滴定量からメルカプタンの変曲点までの滴定量を差し引
いた量を塩分の滴定量とする。

――――― [JIS K 2601 pdf 22] ―――――

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注(15) 試料の塩分が20質量ppm以下の場合は,510mLに濃縮する。
(16) 試料の塩分が20質量ppmを超える場合は,0.02mol/L硝酸銀標準液を,20質量ppm以下の場
合は0.005mol/L硝酸銀標準液を用いる。
(17) 滴定終点は,JIS K 0113の規定に従って求める。
(b) 空試験は,試料の代わりにトルエン95mLを用いて15.5.1及び(a)の操作を行う。
15.6 計算方法及び精度
15.6.1 計算方法 塩分は次の式によって算出し,JIS Z 8401の規定によって整数位に丸める。ただし,1
99質量ppmの場合は整数位(1けた又は2けた)で表示し,100999質量ppmの場合は,整数10位(3
けた)に丸めて表示する。
(1) 指示薬滴定法の場合
935. 103 VS−VB N− vS−vB n
S=
M
ここに, S : 塩分(質量ppm)
VS : 試料の滴定に要した0.02mol/L硝酸銀標準液の量 (mL)
VB : 空試験に要した0.02mol/L硝酸銀標準液の量 (mL)
vS : 試料の滴定に要した0.02mol/Lチオシアン酸カリウム標準
液の量 (mL)
vB : 空試験に要した0.02mol/Lチオシアン酸カリウム標準液の
量 (mL)
N : 0.02mol/L硝酸銀標準液のモル濃度
n : 0.02mol/Lチオシアン酸カリウム標準液のモル濃度
M : 試料採取量 (g)
160
(有効下層抽出液量)58.44
93.5 : (塩化ナトリウムの分子量)
100
(使用した抽出液量)
(2) 電位差滴定法の場合
935. 103 VS−VB N
S=
M
ここに, S : 塩分(質量ppm)
VS : 試料の滴定に要した0.02mol/L,又は0.005mol/L硝酸銀標
準液の量 (mL)
VB : 空試験に要した0.02mol/L,又は0.005mol/L硝酸銀標準液
の量 (mL)
N : 0.02mo 一 又は0.005mol/L硝酸銀標準液のモル濃度
M : 試料採取量(g)
160
(有効下層抽出液量)58.44
93.5 : (塩化ナトリウムの分子量)
100
(使用した抽出液量)
15.6.2 精度 塩分試験方法によって得られた試験結果の許容差(確率0.95)は,次のとおりである。
備考 試験結果が許容差を外れた場合には,JIS Z 8402の規定によって処理する。
(1) 室内併行精度 同一試験室において,同一人が同試験器で,引き続き短時間内に同一試料を2回試験
したときの試験結果の差の許容差を表7に示す。
(2) 室間再現精度 異なる試験室において,別人が別の試験器で,同一試料をそれぞれ1回ずつ試験した
とき,2個の試験結果の差の許容差を表7に示す。

――――― [JIS K 2601 pdf 23] ―――――

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表7 精度
単位 質量ppm
室内併行許容差 室間再現許容差
20 40
15.7 試験結果の報告 試験結果には,次の事項を記載する。
(1) 試料名,採取場所及び採取年月日
(2) ISの規格番号 例 JIS K 2601
(3) 試験方法の名称・項番号及び15.6.1によって得られた結果
(4) 特記事項

16. 塩分試験方法(導電率法)

16.1 試験の原理 試料10mLをキシレン及び混合アルコール溶剤に溶解して導電率(又は電流値)を測
定し,あらかじめ標準液を用いて作成した検量線から,試料中の塩分濃度を求める。
備考 導電率法によって得られた試験結果に疑義が生じた場合は,15.塩分試験方法(滴定法)に規定
する指示薬滴定法又は電位差滴定法の結果による。
参考1 この試験方法は,ASTM 3230-89,Salts in Crude Oil (Electrometric Method) 及びIP 265/70,Total
Salts Content of Crude Oil Conductivity Methodを参考にして作成した。
2 塩分の測定濃度範囲は,10300質量ppmが適切である。
16.2 導電率法塩分試験器 導電率法塩分試験器は,(1)(3)からなり,その一例を図1113に示す。
(1) 導電率計 0.1100 一 ヰ 1/cm}] の導電率が測定できるもの。
なお,(2)の測定用セルと組み合わせて,16.6試験の手順の操作によって,試料中の塩分を10300
質量ppmの濃度範囲にわたって,規定の精度で測定できるものであれば,電流計を使用してもよい。
(2) 測定セル (a)(c)からなり,図11のように組み立てる。
(a) セル用ビーカー 容量約100mLのトールビーカーで,こぼし口のないもの。
図11に示すものが適切である。
参考 JIS K 2839に規定する図58が相当する。
(b) ふた 図12に示す形状・寸法で,材質はナイロン又はこれと同等以上の耐溶剤性のプラスチックと
する。
(c) 電極 図13に示す形状・寸法で,材質はステンレス鋼 (SUS304) とし,相対して正確に平行で,
6.4mmの間隔になるように(b)のふたに取り付け,ナイロン又は四ふつ化エチレン樹脂製のスペーサ
で絶縁する。なお,曲げたり,位置がずれたりしないように,取扱いには注意する。
(3) 温度計 JIS B 7410に規定する温度計番号 42(SG) のもの。
なお,目量が0.2℃で試験温度の範囲を測定可能なものを使用してもよい。

――――― [JIS K 2601 pdf 24] ―――――

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図11 測定セル
図12 ふた 図13 電極
16.3 試薬 試薬は,次による。
(1) キシレン JIS K 8271に規定するもの,又はJIS K 2435に規定する3度キシレン若しくは5度キシレ
ン。
(2) 1−ブタノール JIS K 8810に規定するもの。
(3) メタノール JIS K 8891に規定するもの。
(4) 混合アルコール溶剤 1−ブタノール63容とメタノール37容を混合し,この混合液1Lにつき3mL
の水を加えたもの。

――――― [JIS K 2601 pdf 25] ―――――

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JIS K 2601:1998の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 3680:1983(MOD)
  • ISO 9030:1990(MOD)

JIS K 2601:1998の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 2601:1998の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB7410:1997
石油類試験用ガラス製温度計
JISC2520:1999
電熱用合金線及び帯
JISK0050:2019
化学分析方法通則
JISK0113:2005
電位差・電流・電量・カールフィッシャー滴定方法通則
JISK0115:2004
吸光光度分析通則
JISK0115:2020
吸光光度分析通則
JISK0557:1998
用水・排水の試験に用いる水
JISK1107:2005
窒素
JISK2249:1995
原油及び石油製品―密度試験方法及び密度・質量・容量換算表
JISK2251:2003
原油及び石油製品―試料採取方法
JISK2254:2018
石油製品―蒸留性状の求め方
JISK2258:1998
原油及び燃料油 ― 蒸気圧試験方法 ― リード法
JISK2265:1996
原油及び石油製品 ― 引火点試験方法
JISK2269:1987
原油及び石油製品の流動点並びに石油製品曇り点試験方法
JISK2270:2000
原油及び石油製品 ― 残留炭素分試験方法
JISK2272:1998
原油及び石油製品―灰分及び硫酸灰分試験方法
JISK2275:1996
原油及び石油製品―水分試験方法
JISK2279:2003
原油及び石油製品―発熱量試験方法及び計算による推定方法
JISK2283:2000
原油及び石油製品―動粘度試験方法及び粘度指数算出方法
JISK2435:1992
ベンゼン・トルエン・キシレン
JISK2541:1996
原油及び石油製品―硫黄分試験方法
JISK2609:1998
原油及び石油製品―窒素分試験方法
JISK8005:2014
容量分析用標準物質
JISK8034:2006
アセトン(試薬)
JISK8051:2010
3-メチル-1-ブタノール(試薬)
JISK8101:2006
エタノール(99.5)(試薬)
JISK8102:2012
エタノール(95)(試薬)
JISK8122:2015
塩化カルシウム二水和物(試薬)
JISK8122:2021
塩化カルシウム二水和物(試薬)
JISK8123:2018
塩化カルシウム(試薬)
JISK8124:2018
塩化カルシウム(乾燥用)(試薬)
JISK8142:2018
塩化鉄(III)六水和物(試薬)
JISK8150:2006
塩化ナトリウム(試薬)
JISK8159:2017
塩化マグネシウム六水和物(試薬)
JISK8180:2015
塩酸(試薬)
JISK8180:2021
塩酸(試薬)
JISK8193:2020
N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン二塩酸塩(試薬)
JISK8230:2016
過酸化水素(試薬)
JISK8271:2007
キシレン(試薬)
JISK8374:2007
酢酸鉛(II)三水和物(試薬)
JISK8541:2015
硝酸(試薬)
JISK8541:2021
硝酸(試薬)
JISK8550:2006
硝酸銀(試薬)
JISK8550:2021
硝酸銀(試薬)
JISK8576:2019
水酸化ナトリウム(試薬)
JISK8625:2017
炭酸ナトリウム(試薬)
JISK8637:2006
チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)
JISK8659:2014
でんぷん(溶性)(試薬)
JISK8680:2006
トルエン(試薬)
JISK8810:2018
1-ブタノール(試薬)
JISK8848:2012
ヘキサン(試薬)
JISK8891:2006
メタノール(試薬)
JISK8913:2006
よう化カリウム(試薬)
JISK8920:2008
よう素(試薬)
JISK8949:2019
硫化ナトリウム九水和物(試薬)
JISK8951:2006
硫酸(試薬)
JISK8953:2008
硫酸亜鉛七水和物(試薬)
JISK8960:2008
硫酸アンモニウム(試薬)
JISK8982:2008
硫酸アンモニウム鉄(III)・12水(試薬)
JISK8987:2006
硫酸ナトリウム(試薬)
JISK9001:2008
チオシアン酸カリウム(試薬)
JISP3801:1995
ろ紙(化学分析用)
JISR3503:1994
化学分析用ガラス器具
JISZ8401:2019
数値の丸め方
JISZ8402:1991
分析・試験の許容差通則