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C 62368-1 : 2021
9.2.3 TS3
TS3は,通常動作状態,異常動作状態,単一故障状態のいずれにおいても,表38のTS2限度値を超え
るレベルのクラス3の熱エネルギー源である。
9.3 接触温度限度値
9.3.1 要求事項
アクセス可能部分の接触温度は,表38に適合しなければならない。
ただし,人体に接触すると温度が下がるアクセス可能部分は,IEC Guide 117:2010の附属書Aの限度値
に基づき評価することができる。適切かつ再現可能な試験方法は,IEC Guide 117の試験方法を十分に考
慮し製造業者が決定する。
9.3.2 試験方法及び適合性
試験は,B.1.5及びB.2.3に規定する条件の下で行う。ただし,室温は(25±5)℃とする。
試験を20 ℃25 ℃の間で行った場合は,25 ℃の周囲温度に対応するように結果を補正する。
注記1 試験結果をより高い周囲温度に補正せずに25 ℃で試験を行う理由については,IEC/TR
62368-2の説明を参照。
機器は,アクセス可能な表面及び部分が最大温度状態になるように,製造業者が指定した方法で動作さ
せる。
注記2 この状態は,最大入力電流又は電力の条件ではない場合もあるが,対象の部分の温度上昇が
最大になる条件である。
適否は,アクセス可能な表面の定常状態の温度を測定して判定する。
――――― [JIS C 62368-1 pdf 156] ―――――
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C 62368-1 : 2021
表38−アクセス可能部分の接触温度限度値
単位 ℃
レベル アクセス可能部分b) 温度限度値(Tmax)
金属d) ガラス,磁器,プラスチック, 木
ガラス質材料 ゴム
TS1 通常使用時に人体に着用する(皮膚への直接接触)
43-48 43-48 43-48 43-48
デバイス(接触時間が8時間を超える場合)e)
ハンドル,ノブ,グリップなどの部分,及び表面 48 48 48 48
で,通常使用時に保持又は接触する部分(接触時
間が1分を超え8時間未満の場合)a)
ハンドル,ノブ,グリップなどの部分,及び表面 51 56 60 60
で,短時間保持又はたまに接触する部分(接触時
間が10秒を超え1分未満の場合)
ハンドル,ノブ,グリップなどの部分,及び表面 60 71 77 107
で,非常に短い時間たまに接触する部分
(接触時間が1秒を超え10秒未満の場合)f)
機器を操作するために触る必要がない表面 70 85 94 140
(接触時間が1秒未満の場合)
TS2 ハンドル,ノブ,グリップなどの部分,及び表面 58 58 58 58
で,通常使用時に保持する部分(保持する時間が
1分を超える場合)a)
ハンドル,ノブ,グリップなどの部分,及び表面 61 66 70 70
で,短時間保持又はたまに接触する部分(接触時
間が10秒を超え1分未満の場合)
ハンドル,ノブ,グリップなどの部分,及び表面 70 81 87 117
で,非常に短い時間たまに接触する部分(接触時
間が1秒を超え10秒未満の場合)f)
機器を操作するために触る必要がない表面(接触80 95 104 150
時間が1秒未満の場合) (100) c) (100) c)
TS3 TS2限度値よりも高い場合
注a) これらの表面の例には,電話機のハンドセット,携帯電話又は他の手持形デバイス,及びノートブックのパ
ームレスト表面が含まれる。デバイスを保持する方法を変更することによって容易に接触を避けることがで
きる局所的な高温部(ホットスポット)は1秒を超え,10秒未満の限度値を適用してもよい。
b) 必要な場合,接触時間は製造業者が決定し,機器の説明書の意図した用途と一致させる。
c) 次のいずれかに該当する領域及び表面は,括弧内の値を用いてもよい。
− 機器の表面で50 mm以下の領域であって,通常使用時に接触する可能性がない。
− ヒートシンク及びヒートシンクを直接覆う金属部分。ただし,通常使用時に操作するスイッチ又は制御
部がある部分は除く。
括弧内の値を用いる場合には,F.5に規定する指示セーフガードを高温部分の上又は近傍に備えなければな
らない。
機器の他の領域及び表面に対しては,異常動作状態及び単一故障状態の下で,機器基礎セーフガードが必
要となる。
d) 金属の部分を厚さ0.3 mm以上のプラスチック又はゴム材料で覆った場合,その材料をセーフガードとみな
し,プラスチック材料又はゴム材料の限度値を適用する。
e) 例には,時計,ヘッドセット,音楽プレーヤ,及びスポーツ用モニタリング機器などの携帯形の軽量デバイ
スが含まれる。より大きなデバイス又は生命にかかわる顔の部分(例えば,気道となる口及び鼻)に直接接触す
るデバイスに対しては,より低い限度値を適用してもよい。意図した通常使用において接触時間が8時間未
満のデバイスに対しては,“43-48”(48 ℃/1分43 ℃/8時間)の間の限度値を適用してもよい。その限度値
の計算は最も近い整数に切り捨てる。例として,バッテリ充電を2時間に制限しているヘッドセットがある。
f) 例には,遮断のために接触が必要な表面が含まれる。
――――― [JIS C 62368-1 pdf 157] ―――――
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9.4 熱エネルギー源に対するセーフガード
一般人,教育を受けた人及び熟練者がアクセス可能な部分に対するセーフガードの要求事項は,次に該
当する場合を除き,4.3による。
− TS2に対する一般人の保護は,9.5.2に規定する指示セーフガードを基礎セーフガードとして用いても
よい。
− 意図した機能のために熱を必要とし(例えば,書類ラミネータ,熱転写プリントヘッド,定着用ヒー
タなど),かつ,TS2又はTS3に分類したアクセス可能部分(内部及び外部)は,次の全てに適合し
なければならない。
· 機器を操作するために触れる必要がない(例えば,ハンドル,ノブ,又はグリップ機能も果たす部
分)。
· 通常動作状態の下で,一般人が意図的に触れる可能性がない。
· その部分と無関係な保守中に,一般人が意図せずに触れる可能性がない。
· その部分の上又は近傍に,9.5.2に規定する指示セーフガードを備えている。
· 子供が接触する可能性がない。
− 熟練者に対する保護は,TS3に分類した部分及び表面へのサービス中の意図しない接触による反動で,
他のクラス3エネルギー源への接触を引き起こさないようにするために,TS3に分類した部分及び表
面に機器セーフガード又は指示セーフガードを備えなければならない(図19参照)。
9.5 セーフガードの要求事項
9.5.1 機器セーフガード
機器セーフガードは,通常動作状態,異常動作状態及び単一故障状態の下で,熱エネルギー(温度)の
伝達を制限するか,又は表38の分類に従って接触温度の熱エネルギー源へのアクセスの可能性を制限し
なければならない。
接触温度限度値は,機器が意図した動作を維持し続け,異常動作状態又は単一故障状態であることが明
白に認識できない場合だけに適用する。機器の誤動作が明らかな場合,その限度値は適用しない。
9.5.2 指示セーフガード
指示セーフガードは,F.5に従って備えなければならない。ただし,要素3は任意である。
指示セーフガードの要素は,次による。
− 要素1a : IEC 60417-5041 (2002-10)
− 要素2 : “注意”及び“高温表面”,又はこれらと同等の語句若しくは文章
− 要素3 : 任意
− 要素4 : “接触しないでください。”,又はこれと同等の文章
9.6 ワイヤレス給電装置の要求事項
9.6.1 一般事項
近距離電力伝送用のワイヤレス給電装置は,その周辺又は上に置かれた外部の金属物を温めてしまうこ
とがある。金属物の高温による熱傷を避けるために,9.6.3の試験をワイヤレス給電装置に行う。
9.6.2 金属物の仕様
金属物は,次の全てを用いる。
− スチールディスク,図47参照
− アルミニウムリング,図48参照
――――― [JIS C 62368-1 pdf 158] ―――――
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C 62368-1 : 2021
− アルミニウムホイル,図49参照
単位 mm
No 名称 備考
1 ディスク スチール(例えば,1.1011/RFe 160)
2 熱電対 任意の適切な種類
3 ヒートシンク用コンパウンド熱伝達用
4 シリコンチューブ 張力緩和用
図47−スチールディスク
――――― [JIS C 62368-1 pdf 159] ―――――
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C 62368-1 : 2021
単位 mm
No 名称 備考
1 リング アルミニウム(例えば,AlSiMg1Mn 100 Hv)
2 熱電対 任意の適切な種類
3 ヒートシンク用コンパウンド熱伝達用
4 シリコンチューブ 張力緩和用
図48−アルミニウムリング
――――― [JIS C 62368-1 pdf 160] ―――――
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JIS C 62368-1:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 62368-1:2018(MOD)
JIS C 62368-1:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 35 : 情報技術.事務機械 > 35.020 : 情報技術(IT)一般
- 33 : 電気通信工学.オーディオ及びビデオ工学 > 33.160 : オーディオ,ビデオ及びAV技術 > 33.160.01 : オーディオ,ビデオ及びAV技術一般
JIS C 62368-1:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB9961:2008
- 機械類の安全性―安全関連の電気・電子・プログラマブル電子制御システムの機能安全
- JISC0920:2003
- 電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)
- JISC2110-1:2016
- 固体電気絶縁材料―絶縁破壊の強さの試験方法―第1部:商用周波数交流電圧印加による試験
- JISC2134:2007
- 固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数の測定方法
- JISC2134:2021
- 固体絶縁材料の保証及び比較トラッキング指数の測定方法
- JISC2814-1:2009
- 家庭用及びこれに類する用途の低電圧用接続器具―第1部:通則
- JISC3010:2019
- 電線及び電気温床線の安全に関する要求事項
- JISC3216-3:2011
- 巻線試験方法―第3部:機械的特性
- JISC3216-5:2019
- 巻線試験方法―第5部:電気的特性
- JISC3662-1:2009
- 定格電圧450/750V以下の塩化ビニル絶縁ケーブル―第1部:通則
- JISC3663-1:2010
- 定格電圧450/750V以下のゴム絶縁ケーブル―第1部:通則
- JISC3665-1-2:2007
- 電気ケーブル及び光ファイバケーブルの燃焼試験―第1-2部:絶縁電線又はケーブルの一条垂直燃焼試験―1kW混合ガス炎による方法
- JISC3665-1-3:2007
- 電気ケーブル及び光ファイバケーブルの燃焼試験―第1-3部:絶縁電線又はケーブルの一条垂直燃焼試験―燃焼落下物(粒子)の測定方法
- JISC4003:2010
- 電気絶縁―熱的耐久性評価及び呼び方
- JISC4526-1:2013
- 機器用スイッチ―第1部:一般要求事項
- JISC4526-1:2020
- 機器用スイッチ―第1部:通則
- JISC5101-14:2014
- 電子機器用固定コンデンサ―第14部:品種別通則:電源用電磁障害防止固定コンデンサ
- JISC5381-11:2014
- 低圧サージ防護デバイス―第11部:低圧配電システムに接続する低圧サージ防護デバイスの要求性能及び試験方法
- JISC60068-2-11:1989
- 環境試験方法(電気・電子)塩水噴霧試験方法
- JISC60068-2-6:2010
- 環境試験方法―電気・電子―第2-6部:正弦波振動試験方法(試験記号:Fc)
- JISC60068-2-78:2015
- 環境試験方法―電気・電子―第2-78部:高温高湿(定常)試験方法(試験記号:Cab)
- JISC6011-1:2015
- 電子装置用きょう体の試験方法―第1部:屋内設置のキャビネット,ラック,サブラック及びシャシの耐環境性能の試験及び安全性の評価
- JISC6065:2016
- オーディオ,ビデオ及び類似の電子機器―安全性要求事項
- JISC60664-3:2019
- 低圧系統内機器の絶縁協調―第3部:汚損保護のためのコーティング,ポッティング及びモールディングの使用
- JISC60695-10-2:2018
- 耐火性試験―電気・電子―第10-2部:異常発生熱―ボールプレッシャー試験方法
- JISC60695-10-3:2005
- 耐火性試験―電気・電子―第10-3部:異常発生熱―成形応力解放変形試験
- JISC60695-11-10:2015
- 耐火性試験―電気・電子―第11-10部:試験炎―50W試験炎による水平及び垂直燃焼試験方法
- JISC60695-11-20:2018
- 耐火性試験―電気・電子―第11-20部:試験炎―500W試験炎による燃焼試験方法
- JISC60695-11-5:2018
- 耐火性試験―電気・電子―第11-5部:試験炎―ニードルフレーム(注射針バーナ)試験方法―装置,試験炎確認試験装置の配置及び指針
- JISC60695-2-11:2016
- 耐火性試験―電気・電子―第2-11部:グローワイヤ/ホットワイヤ試験方法―最終製品に対するグローワイヤ燃焼性指数(GWEPT)
- JISC61558-1:2019
- 変圧器,リアクトル,電源装置及びこれらの組合せの安全性―第1部:通則及び試験
- JISC61558-2-16:2012
- 入力電圧1 100V以下の変圧器,リアクトル,電源装置及びこれに類する装置の安全性―第2-16部:スイッチモード電源装置及びスイッチモード電源装置用変圧器の個別要求事項及び試験
- JISC61810-1:2020
- 電磁式エレメンタリ リレー―第1部:一般及び安全性要求事項
- JISC62133-1:2020
- ポータブル機器用二次電池の安全性―第1部:アルカリ蓄電池
- JISC62133-2:2020
- ポータブル機器用二次電池の安全性―第2部:リチウム二次電池
- JISC62368-3:2021
- オーディオ・ビデオ,情報及び通信技術機器―第3部:通信ケーブル及び通信ポートを介する直流電力伝送の安全性要求事項
- JISC6691:2019
- 温度ヒューズ―要求事項及び適用の指針
- JISC6802:2014
- レーザ製品の安全基準
- JISC6803:2013
- レーザ製品の安全―光ファイバ通信システムの安全
- JISC6804:2008
- レーザ製品の安全―情報伝送のための光無線通信システムの安全
- JISC6950-1:2016
- 情報技術機器―安全性―第1部:一般要求事項
- JISC6965:2007
- ブラウン管の機械的安全性
- JISC7550:2011
- ランプ及びランプシステムの光生物学的安全性
- JISC8201-1:2020
- 低圧開閉装置及び制御装置―第1部:通則
- JISC8201-5-5:2008
- 低圧開閉装置及び制御装置―第5部:制御回路機器及び開閉素子―第5節:機械的ラッチング機能をもつ電気的非常停止機器
- JISC8283-1:2019
- 家庭用及びこれに類する用途の機器用カプラ―第1部:一般要求事項
- JISC8285:2018
- 工業用プラグ,コンセント及びカプラ
- JISC8286:2013
- 電気アクセサリ―電源コードセット及び相互接続コードセット
- JISC8286:2021
- 電気アクセサリ―電源コードセット及び相互接続コードセット
- JISC8300:2019
- 配線器具の安全性
- JISC8303:2007
- 配線用差込接続器
- JISC8702-1:2009
- 小形制御弁式鉛蓄電池―第1部:一般要求事項,機能特性及び試験方法
- JISC8702-2:2009
- 小形制御弁式鉛蓄電池―第2部:寸法,端子及び表示
- JISC8704-1:2006
- 据置鉛蓄電池―一般的要求事項及び試験方法―第1部:ベント形
- JISC8704-2-1:2019
- 据置鉛蓄電池―第2-1部:制御弁式―試験方法
- JISC8704-2-2:2019
- 据置鉛蓄電池―第2-2部:制御弁式―要求事項
- JISC8712:2015
- ポータブル機器用二次電池(密閉型小型二次電池)の安全性
- JISC8713:2006
- 密閉形小形二次電池の機械的試験
- JISC8715-2:2019
- 産業用リチウム二次電池の単電池及び電池システム―第2部:安全性要求事項
- JISC9730-1:2019
- 自動電気制御装置―第1部:一般要求事項
- JISC9921-5:2009
- テレビジョン受信機(ブラウン管のものに限る)の設計上の標準使用期間を設定するための標準使用条件
- JISK2265-2:2007
- 引火点の求め方―第2部:迅速平衡密閉法
- JISK2265-3:2007
- 引火点の求め方―第3部:ペンスキーマルテンス密閉法
- JISK6258:2016
- 加硫ゴム及び熱可塑性ゴム―耐液性の求め方
- JISK7111-1:2012
- プラスチック―シャルピー衝撃特性の求め方―第1部:非計装化衝撃試験
- JISK7171:2016
- プラスチック―曲げ特性の求め方
- JISK7193:2010
- プラスチック―高温空気炉を用いる着火温度の求め方
- JISK7206:2016
- プラスチック―熱可塑性プラスチック―ビカット軟化温度(VST)の求め方
- JISK7241:2005
- 発泡プラスチック―小火炎による小試験片の水平燃焼特性の求め方
- JISK7341:2006
- プラスチック―小火炎に接触する可とう性フィルムの垂直燃焼性試験方法
- JISK7350-1:1995
- プラスチック―実験室光源による暴露試験方法 第1部:通則
- JISK7350-1:2020
- プラスチック―実験室光源による暴露試験方法―第1部:通則