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図24−微量電量滴定式酸化法試験装置の例
7.1.4.4 装置の準備
装置の準備は,次による。
a) 電解液で滴定セル内を洗浄した後,再び電解液を各電極が十分浸る程度に入れる。
b) 検出電極,参照電極及び発生電極,発生対極のそれぞれの端子を微量電量計の回路に接続する。縦形
試験装置の場合は,この段階で終点電位を設定する。
c) 燃焼管出口部の端に滴定セルのガス導入管を連結し,テープヒータに通電し,滴定セルのガス導入管
を100 ℃以上に保温する。
d) 取扱説明書に従い酸素及び不活性ガスの流量,燃焼炉の温度,微量電量計などを測定条件に設定する。
測定条件を表12に示す。ただし,範囲を外れる場合は記録する。
表12−測定条件
項目 試験器条件
酸素流量 mL/min 200350
不活性ガス流量 mL/min 80200
燃焼炉温度 入口部 ℃ 8001 050
出口部 ℃ 8001 050
終点電位 mV 250270
7.1.4.5 補正係数の測定
7.1.4.5.1 硫黄標準液を用いる場合
a) 試料の硫黄分概略値に対応した硫黄標準液を表13から選び,表13に示す量をマイクロシリンジには
かりとる。
表13−硫黄標準液の種類及びはかりとり量の例
試料の硫黄分概略値 種類 はかりとり量
g/m3 μL
0.002以上 0.20未満 硫黄標準液(20 ng/μL) 10100
0.20以上 0.60以下 硫黄標準液(250 ng/μL) 10
――――― [JIS K 2301 pdf 51] ―――――
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b) マイクロシリンジにはかりとった硫黄標準液を,次の方法によって燃焼管へ導入する。
1) ガスインジェクター注入法 マイクロシリンジの針先をガスインジェクターの注入口に硫黄標準液
を素早く注入し,注入量を正確に読み取る5)。
2) 直接注入法 マイクロシリンジの針先を試料注入口を通して燃焼管入口部まで差し込み,硫黄標準
液を1.0 μL/s1.2 μL/sで注入し,注入量を正確に読み取る5)。
なお,試料を一定速度で注入するには,ディスペンサー又は自動注入器を用いるとよい。
注5) 検量線用標準溶液の注入前後にマイクロシリンジに同量の空気を吸引してマイクロシリン
ジ内の液量を読み取ると,その読みの差から正確な注入量を求める事ができる。
c) 硫黄量表示器に表示された値を読み取り,次の式によって補正係数を算出し,JIS Z 8401によって小
数点以下2桁に丸める。
b
f
V・N
ここに, f : 補正係数
b : 表示値(ng)
V : 硫黄標準液の注入量(μL)
N : 硫黄標準液の濃度(ng/μL)
d) 補正係数を繰り返し測定し,その補正係数が0.650.95の範囲のある値で安定した連続3回の値を平
均して平均補正係数(F)とし,試料の硫黄分の算出に用いる。補正係数がこの範囲に入らない場合
は,硫黄標準液を再調製し,再測定する。再測定の結果この範囲に入らない場合は,装置及び操作方
法を点検する。
7.1.4.5.2 硫黄標準ガスを用いる場合
a) 7.1.4.2 g)の硫黄標準ガスをガスタイトシリンジを用い,試料ガスと同量を装置のガスインジェクター,
又は試料注入口から注入し,データ処理機に示された値を読み取る。硫黄標準ガスのはかりとり量及
び測定は,7.1.4.6に準じる。
b) 硫黄量表示器に示された値を読み取り,次の式によって補正係数を算出し,JIS Z 8401によって小数
点以下2桁に丸める。
なお,硫黄標準ガスの濃度は,硫黄の質量濃度として(ng/mL)に換算する。
b
f
V・N
ここに, f : 補正係数
b : 表示値(ng)
V : 硫黄標準ガスの注入量(mL)
N : 硫黄標準ガスの濃度(ng/mL)
c) 補正係数を繰り返し測定し,その補正係数が0.650.95の範囲のある値で安定した連続3回の値を平
均して平均補正係数(F)とし,試料の硫黄分の算出に用いる。補正係数がこの範囲に入らない場合
は,硫黄標準ガスを再測定する。再測定の結果この範囲に入らない場合は,装置及び操作方法を点検
する。
7.1.4.6 試料の測定
a) 試料のはかりとり 試料ガスの採取口と試料ガス採取用バッグの導入口とをできるだけ短い軟質ポリ
塩化ビニル管を用いて,四ふっ化エチレン樹脂製三方バルブを介して接続する。試料ガスで試料ガス
採取用バッグ内を2回共洗いした後,試料ガス採取用バッグに試料ガスを採取する。採取口のセプタ
――――― [JIS K 2301 pdf 52] ―――――
50
K 2301 : 2011
ムを通して試料ガスでガスタイトシリンジを2,3回共洗いした後,表14に準じ,試料ガスをはかり
とる。
b) 測定 ガスタイトシリンジにはかりとった試料を装置のガスインジェクター,又は試料注入口から注
入し,データ処理機に示された値を読み取る。ただし,注入速度は0.2 mL/s2.0 mL/sとする。
なお,試料を一定速度で注入するには,自動注入器を用いるとよい。
表14−試料のはかりとり量の例
試料の硫黄分概略値 はかりとり量
g/m3 mL
0.002以上 0.20未満 10
0.20以上 0.60以下 5
硫黄分0.60(g/m3)を超える試料は,その試料の硫黄分に応じてはかり
とり量を調整する。試料中の硫黄分濃度が低い場合で,試料はかりとり量
が10 mL以上導入できる場合は,試料はかりとり量を増やしてもよい。
7.1.4.7 計算及び結果の表示
微量電量滴定式酸化法による硫黄分は,次の式によって算出し,JIS Z 8401によって,有効数字2桁に
丸めて表示する。
B 3
S 10
273.15
V F
273.15 t
ここに, S : 硫黄濃度(g/m3)
B : 分析試料中の硫黄表示値(ng)
V : 試料注入量(mL)
t : 試料温度(℃)
F : 平均補正係数
ただし,試料温度は,室温とする。
7.1.5 紫外蛍光法
7.1.5.1 紫外蛍光法(バッチ法)
7.1.5.1.1 原理
試料を加熱した燃焼管に導入し,酸素雰囲気中で分解酸化させ,試料中の硫黄化合物を二酸化硫黄に酸
化する。次に,この二酸化硫黄を含む燃焼生成ガス中の水分を除去した後,紫外光(190 nm230 nm)を
照射する。二酸化硫黄は紫外光からエネルギーを吸収して励起状態の二酸化硫黄に変換する。励起された
二酸化硫黄が基底状態の二酸化硫黄に戻るとき放出する蛍光(300 nm450 nm)を光電子増倍管で検出し,
この蛍光量から硫黄分を求める。
この方法は,硫黄分が0.002 g/m3以上の試料に適用する。
なお,試料中の硫黄分は,あらかじめ硫黄標準液を用いて求めておいた検量線によって求める。
7.1.5.1.2 試薬
a) 酸素 純度は,体積分率99.8 %以上のもの。
b) 不活性ガス 純度は,体積分率99.99 %以上のアルゴン又はヘリウム。
c) 溶媒
溶媒は,次の1)3) に規定するものを用いるか,硫黄分析用に調製された市販のブランク溶媒を用
いてもよい。また,溶媒に硫黄が含まれていないことをあらかじめ確認しておく。
――――― [JIS K 2301 pdf 53] ―――――
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1) トルエン JIS K 8680に規定するもの。
2) ヘキサン JIS K 8848に規定するもの。
3) 2,2,4-トリメチルペンタン JIS K 9703に規定するもの。
d) 硫黄化合物
1) ジブチルスルフィド 純度99 %以上のものを用いる。硫黄含有量は質量分率21.915 %。
2) ジブチルジスルフィド 純度99 %以上のものを用いる。硫黄含有量は質量分率35.950 %。
e) 硫黄標準液
1) 硫黄標準液(2 500 ng/μL)の調製
1.1) ジブチルスルフィドを用いた硫黄標準液の調製
全量フラスコ(100 mL)にジブチルスルフィド1.1 g前後を正確にはかりとり,溶媒を加えて溶
かし,更に溶媒を標線まで加えて調製する。この溶液の硫黄濃度は,次の式によって算出する。
32.07M
A 10 4
146.29
ここに, A : 硫黄標準液(2 500 ng/μL)の硫黄濃度(ng/μL)
M : ジブチルスルフィドはかりとり量(g)
32.07 : 硫黄の原子量
146.29 : ジブチルスルフィドの分子量
1.2) ジブチルジスルフィドを用いた硫黄標準液の調製
全量フラスコ(100 mL)にジブチルジスルフィド0.7 g前後を正確にはかりとり,溶媒を加えて
溶かし,更に溶媒を標線まで加えて調製する。この溶液の硫黄濃度は,次の式によって算出する。
64.14M
A 10 4
178.36
ここに, A : 硫黄標準液(2 500 ng/μLの硫黄濃度(ng/μL)
M : ジブチルジスルフィドはかりとり量(g)
64.14 : 硫黄の原子量(32.07)×2
178.36 : ジブチルジスルフィドの分子量
なお,硫黄標準液は,各試験項目で調製方法を規定するもののほか,トレーサビリティを確保
してある市販標準液,又はそれを一定濃度に希釈したものを用いる。
標準液は,使用目的に適合していることを確認したのちに用いる。
注記 トレーサビリティを確保してある標準液には,JCSSマークを付けたものがある。
2) 検量線用標準液 硫黄標準液を選択した溶媒で希釈して検量線用標準液を調製する。
f) 硫黄標準ガス 試料ガス中に含まれる主な硫黄化合物を用いて作製した濃度既知の混合ガスを標準ガ
スとして用いる。
7.1.5.1.3 装置及び器具
装置及び器具の例を次に示す(図25及び表15参照)。
a) 燃焼炉 燃焼管は,取扱説明書に示された温度(800 ℃1 050 ℃程度)で加熱調整できるもの。
b) 燃焼管 石英製で,試料を酸素と不活性ガス気流中で燃焼させることができるもの。
c) 流量調節器 酸素及び不活性ガスを規定量流せるもの。
d) 除湿管 燃焼生成ガス中の水分を除去できるもの6)。
注6) 電子除湿器を用いてもよい。
e) 紫外蛍光検出器 紫外光源(キセノンランプなど)及び蛍光検出部から構成されており,二酸化硫黄
――――― [JIS K 2301 pdf 54] ―――――
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に紫外光を照射させ,放出される蛍光量を光電子増倍管で定量的に測定できるもの。
f) データ処理機 放出した蛍光を光電子増倍管が検出し,この蛍光強度を表示又は記録できるもの。又
は蛍光量をピーク面積積分値として記録できるもの。
g) マイクロシリンジ 容量10
h) ガスタイトシリンジ 容量10 mL及び5 mLのもの。
i) 試料ガス採取用バッグ 箇条5のd) 2.2.3)ガス捕集袋法に示す容積1 L3 Lのプラスチックフィルム
製の袋で,ガスの透過性及び吸着性が小さく,セプタム付の試料ガス採取口の付いたもの。
図25−紫外蛍光法試験装置
7.1.5.1.4 装置の準備 装置の準備は,次による。
a) 取扱説明書に従い,酸素及び不活性ガスの流量を調整する。
b) 取扱説明書を参考にして,燃焼炉の温度を設定する。測定条件を表15に示す。
c) 試験器の感度及び基線を安定に調整した後,製造業者のガイドラインに従って試料を用いないで空試
験を行う。紫外光源は,測定前に最低30分の暖機運転を行い,十分安定していることを確認する。
測定条件を表15に示す。ただし,範囲を外れる場合は記録する。
表15−測定条件
項目 設定値
酸素流量 mL/min 400600
不活性ガス流量 mL/min 100400
燃焼炉温度 入口部 ℃ 8001 050
燃焼部 ℃ 8001 050
7.1.5.1.5 検量線の作成
検量線作成方法は,次による。
なお,検量線作成方法には,多点検量線法及び一点検量線法があり,いずれを用いてもよい。
――――― [JIS K 2301 pdf 55] ―――――
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- JISZ8710:1993
- 温度測定方法通則