JIS K 2301:2011 燃料ガス及び天然ガス―分析・試験方法 | ページ 14

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塩化鉄(III)を加え,生成するメチレンブルーの吸光度を測定する。この方法は,試料ガス5 Lを採取し
た場合,硫化水素濃度0.001 g/m30.03 g/m3のガスの分析ができる。
7.2.2.2 試験装置
吸収装置の例を図30に示す。吸収瓶は,図29に例を示すガス吸収瓶2個,又は図31に例を示す全量発
色瓶1個を用い,軟質ポリ塩化ビニル管で連結する。
図30−硫化水素吸収装置の例
単位 mm
注記 図中の各寸法は,標準寸法を示す。
図31−全量発色瓶(50 mL)の例
7.2.2.3 試薬
試薬は,次による。
a) 吸収液 7.2.1.3 a)による。
b) 塩化鉄(III)溶液 JIS K 8142に規定する塩化鉄(III)六水和物1.0 gを硫酸(1+100)100 mLに溶
かす。
c) よう素溶液(0.05 mol/L) 7.2.1.3 c)と同じ。
d) 二塩化N, N-ジメチル-p-フェニレンジアンモニウム溶液 JIS K 8193に規定する二塩化N, N-ジメチル
-p-フェニレンジアンモニウム0.10 gを硫酸(1+3)100 mLに溶かす。
e) 硫化水素標準液(0.001 mgH2S/mL) JIS K 8949に規定する無色の結晶硫化ナトリウム九水和物約1 g
を,酸素を含まない水に溶かして100 mLとしたものから10 mLをとり,よう素溶液(0.05 mol/L)25
mL及びJIS K 8180に規定する塩酸1 mLを加える。栓をして10分間放置した後,でんぷん指示薬を

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加え,0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準液(ファクターf)で滴定する(滴定値a mL)。別に空試験と
して,硫化ナトリウム溶液を用いないで同様の操作を行う(滴定値b mL)。
直ちに [117.6/(b−a) f] mLを全量フラスコ(100 mL)にとって水を標線まで加え,原液とする。こ
の原液5 mLを全量フラスコ(1 L)にとって吸収液を標線まで加える。
硫化水素標準液及び原液は,使用の都度,調製する。
f) 0.1 mol/Lチオ硫酸ナトリウム標準液 7.2.1.3 e)と同じ。
7.2.2.4 操作
操作は,次の手順によって,全て直射日光を避けて行う。
a) 吸収瓶2個に吸収液をそれぞれ50 mLずつ入れる。全量発色瓶を用いる場合には,吸収液を30 mL入
れる。
b) バイパス流路を通して吸収瓶に至る配管中を試料ガスで十分に置換した後,三方コックを切り換えて,
硫化水素量0.025 mg0.15 mg(全量発色瓶を用いるときは0.005 mg0.03 mg)が吸収されるまで,
試料ガスを15 L/h30 L/hの流量で通して,試料溶液とする。ガスメータを読み,箇条5 e)によって
採取した試料ガスの体積を計算する。
c) 試料溶液を全量フラスコ(200 mL)に移し,吸収瓶及び配管部を吸収液で洗浄してこれに合わせ,更
に吸収液を標線まで加える。続いて,この溶液40 mLを全量フラスコ(50 mL)に分取する。全量発
色瓶を用いる場合には,b)の試料溶液全量についてd)以降の操作を行う。
d) 二塩化N, N-ジメチル-p-フェニレンジアンモニウム溶液4 mLを加え,続いて塩化鉄(III)溶液2 mL
を添加し,栓をして静かに2回転倒させて混合した後,吸収液を標線まで加え,室温で30分間放置す
る。
e) この溶液の一部を吸収セルに移し,670 nm付近における吸光度を測定する。対照液は吸収液40 mLを
全量フラスコ(50 mL)にとり,d)と同様に操作した液とする。
7.2.2.5 検量線の作成
数個の全量フラスコ(50 mL)に調製直後の硫化水素標準液0 mL30 mL(硫化水素として0 mg0.03 mg)
の各種液量を段階的にとり,吸収液を加えて液量を40 mLとし,以下,7.2.2.4 d)以降の手順に従って操作
し,得た吸光度と硫化水素量との関係線を作成し,検量線とする。
7.2.2.6 計算
7.2.2.5で作成した検量線から硫化水素量を求め,試料ガス中の硫化水素濃度を次の式によって算出する。
A
CH2S
V0 B
ここに, H2S試料ガス中の硫化水素濃度(g/m3)
C :
A : 検量線から求めた発色溶液中の硫化水素量(mg)
V0 : 箇条5 e)によって算出した標準状態における試料ガスの体積
(L)
B : 試料溶液の分取比,1/5(ただし,全量発色瓶を用いたときは
1)
7.2.2.7 分析結果の表示
JIS Z 8401によって,有効数字2桁に丸めて表示する。
7.2.3 酢酸鉛試験紙法
7.2.3.1 原理
酢酸鉛溶液に浸したろ紙に試料ガスを接触させ,硫化鉛の生成によるろ紙の変色の有無を確認する。こ

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の方法は,硫化水素が試料ガス中に数mg/m3含まれていれば変色する。
7.2.3.2 試験装置
試験装置の例を,図32及び図33に示す。
図32−試験装置の例
単位 mm
図33−試験装置の詳細図の例
7.2.3.3 試薬及び試験紙
試薬及び試験紙は,次による。
a) 酢酸鉛溶液 JIS K 8374に規定する酢酸鉛(II)三水和物5.0 gを水100 mLに溶かし,密栓して保存
する。空気中の二酸化炭素を吸収して濁りが生じた場合は,ろ過して用いる。
b) 試験紙 JIS P 3801に規定する定性分析用ろ紙を,長さ3 cm,幅1 cmに切ったもの。
7.2.3.4 操作
操作は,次の手順による。
a) 試料ガスの流量を2.5 L/minに調整する。
b) 試験紙2片を酢酸鉛溶液に浸し,直ちに引き上げる。
c) この湿潤した試験紙のうち1片を,試験装置の中につるして試料ガスに1分間接触させる。
d) これを取り出し,他の1片と比較し,淡黄色又は黒褐色への変色の有無を確認する。

――――― [JIS K 2301 pdf 68] ―――――

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7.2.3.5 分析結果の表示
試験紙の変色の有無を表示する。
7.2.4 炎光光度検出器付ガスクロマトグラフ法
7.2.4.1 原理
分離カラムとして,充カラム又はキャピラリーカラムを用い,また,検出器として,炎光光度検出器
を用いて分析する。採取した試料ガスをガスクロマトグラフに導入し,得られたクロマトグラムから硫化
水素を定量する。試料ガス100 Lを導入した場合,定量範囲は,0.000 3 g/m30.076 g/m3である。
7.2.4.2 試薬
a) りん酸 JIS K 9005に規定するもの。
b) ヘリウム 純度99.999体積分率%以上のもの。
c) 窒素 JIS K 1107に規定する1級又は2級のもの。
d) 水素 JIS K 0512に規定する1級3級のもの。
e) 酸素 JIS K 1101に規定する純度99.5体積分率%以上のもの。
f) 高純度空気 清浄にして,かつ,乾燥したもの。
g) 硫化水素測定用標準ガス 濃度既知の標準ガスを用いる。
7.2.4.3 洗浄液の調製方法
洗浄液の調製方法は,次による。
a) ガス捕集容器用のりん酸の洗浄液は,りん酸5.5 gに,水を加えて全量を1 Lとする。
7.2.4.4 試料ガスの捕集容器
試料ガスの捕集容器は,次による。
a) 試料ガスを配管によって分析室まで導きガスクロマトグラフに注入する場合
1) 配管 ふっ素樹脂製又は不活性化処理などを施したステンレス鋼製の導管。
b) 分析室に運搬した試料ガス(試験室試料)をガスクロマトグラフに注入する場合
1) ガス採取袋 容量1 L以上で,ガス成分を吸着又は吸収しにくいポリエステル樹脂製,ふっ素樹脂
製などのガス採取用袋のもの。この捕集容器は,試料ガスを長時間保存しなければならない場合に
は適さない。
2) ガス捕集瓶 JIS K 0095の図4のb 2)(真空捕集瓶)に例示する容量1 L程度のガラス製の瓶で,
7.2.4.3で調製したりん酸を用いてあらかじめ洗浄処理を行った後,水洗,乾燥したもの。
3) ガス捕集缶 内面を電解研磨し,シリカコーティングなどによって不活性化処理を施した容量1 L
以上のステンレス鋼製缶で,ガス流路内面を不活性化処理した開閉バルブを備えたもの。
7.2.4.5 装置及び器具
用いる装置及び器具は,次による。
7.2.4.5.1 ガスクロマトグラフの試料導入器具 ガスクロマトグラフへの試料導入器具は,次による。
a) 気体試料導入装置 6.3.2の気体試料導入装置と同様のもので,一定量の分析用試料ガスを満たすため
の計量管(サンプルループ管)をバイパス式に取り付けたステンレス鋼製,ふっ素樹脂製などによる
ロータリーバルブ又はスライド式バルブで構成したもので,気体試料導入時に150 ℃程度まで加熱可
能なもの,又は水分濃度や硫化水素濃度が低い場合には,ガス成分が吸着しにくいように計量管及び
配管類の内面を不活性化処理したステンレス鋼製,ふっ素樹脂製又は同等以上の不活性度をもつ材質
などで構成したものを用いる。気体試料導入装置の例を図34に示す。

――――― [JIS K 2301 pdf 69] ―――――

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図34−気体試料導入装置の例
図34において,ポジション3(out)の位置に吸引ポンプを接続して分析用試料ガスを計量管に吸引
する。計量管に試料ガスを満たした後,分析用試料ガスの温度及び圧力を安定させ,バルブを切り替
えて,ポジション1及び2,ポジション5及び6を接続させて,計量管内の分析試料ガスを注入口か
らガスクロマトグラフに導入する。
b) 気体採取用シリンジ 容量1 mL5 mLで,ガラス製のもので内面が吸着しにくいもの。
7.2.4.5.2 ガスクロマトグラフの構成 ガスクロマトグラフの構成は,次による。
a) 充カラム 次の1)のカラム用管に,2)のカラム充剤のいずれかを充したものを用いる。
1) カラム用管 ガラス管の内面を酸でよく洗浄したものを,7.2.4.3のりん酸によって洗浄処理を行っ
た後,水洗し乾燥した管,又はふっ素樹脂製の管8)。
注8) ふっ素樹脂製の管を用いる場合には,ガス漏れのないように接続に注意する。
2) カラム充剤
2.1) 分配形充剤 粒径が74 m250 mのポリマービーズ,高純度のけい藻土系担体又は不活性材
料9)から成る担体に,JIS K 0114に示す代表的な充カラム用固定相液体のうち適切なもの[例え
ば,1,2,3-トリス(2-シアノエトキシ)-プロパン]を含浸させたもの。
注9) テレフタル酸の粒子,ふっ素樹脂粒など。
2.2) 多孔性高分子形充剤 有機高分子化合物から成り,化学的安定性及び機械的強度に優れている
もの。
b) キャピラリーカラム 次の1)のカラム用管内壁に,2)の固定相液体を化学結合させたもの,又は3)の
吸着剤を固定化させたものを用いる。
1) カラム用管 溶融シリカ又は内面を不活性化処理したステンレス鋼製の管によるもの。
2) 固定相液体 ジメチルポリシロキサン又はメチル基の一部が別の官能基(例えば,フェニル基)に
置換されているジメチルポリシロキサン,又はポリエチレングリコール。
3) 吸着剤 シリカ,アルミナ又は有機高分子化合物から成り,化学的安定性及び機械的強度に優れて
いるもの。
c) 検出器 炎光光度検出器による。
d) キャリヤーガス 7.2.4.2のヘリウム又は窒素を用いる。
e) 検出器用ガス 各検出器に用いるガスは,次による。
1) 炎光光度検出器 炎光光度検出器用として,次の用途に応じてガスを選択する。
1.1) 付加ガス 7.2.4.2のヘリウム又は窒素を用いる。

――――― [JIS K 2301 pdf 70] ―――――

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JIS K 2301:2011の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 19739:2004(MOD)
  • ISO 6326-1:2007(MOD)
  • ISO 6327:1981(MOD)
  • ISO 6974-1:2000(MOD)
  • ISO 6974-2:2001(MOD)
  • ISO 6974-3:2000(MOD)
  • ISO 6974-4:2000(MOD)
  • ISO 6974-5:2000(MOD)
  • ISO 6974-6:2002(MOD)
  • ISO 6975:1997(MOD)
  • ISO 6976:1995(MOD)

JIS K 2301:2011の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 2301:2011の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB7410:1997
石油類試験用ガラス製温度計
JISC1302:2018
絶縁抵抗計
JISK0055:2002
ガス分析装置校正方法通則
JISK0088:1997
排ガス中のベンゼン分析方法
JISK0095:1999
排ガス試料採取方法
JISK0114:2012
ガスクロマトグラフィー通則
JISK0115:2004
吸光光度分析通則
JISK0115:2020
吸光光度分析通則
JISK0127:2013
イオンクロマトグラフィー通則
JISK0512:1995
水素
JISK0557:1998
用水・排水の試験に用いる水
JISK1101:2017
酸素
JISK1107:2005
窒素
JISK2839:1990
石油類試験用ガラス器具
JISK8032:2013
アセトニトリル(試薬)
JISK8034:2006
アセトン(試薬)
JISK8051:2010
3-メチル-1-ブタノール(試薬)
JISK8102:2012
エタノール(95)(試薬)
JISK8116:2006
塩化アンモニウム(試薬)
JISK8121:2007
塩化カリウム(試薬)
JISK8124:2018
塩化カルシウム(乾燥用)(試薬)
JISK8142:2018
塩化鉄(III)六水和物(試薬)
JISK8150:2006
塩化ナトリウム(試薬)
JISK8155:2017
塩化バリウム二水和物(試薬)
JISK8180:2015
塩酸(試薬)
JISK8180:2021
塩酸(試薬)
JISK8193:2020
N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン二塩酸塩(試薬)
JISK8228:2020
過塩素酸マグネシウム(試薬)
JISK8230:2016
過酸化水素(試薬)
JISK8295:2020
グリセリン(試薬)
JISK8355:2006
酢酸(試薬)
JISK8355:2021
酢酸(試薬)
JISK8374:2007
酢酸鉛(II)三水和物(試薬)
JISK8500:2007
N,N-ジメチルホルムアミド(試薬)
JISK8519:2016
しゅう酸二水和物(試薬)
JISK8541:2015
硝酸(試薬)
JISK8541:2021
硝酸(試薬)
JISK8550:2006
硝酸銀(試薬)
JISK8550:2021
硝酸銀(試薬)
JISK8568:1957
焼石コウ(試薬)
JISK8568:2011
硝酸マンガン(II)六水和物(試薬)
JISK8576:2019
水酸化ナトリウム(試薬)
JISK8622:2007
炭酸水素ナトリウム(試薬)
JISK8625:2017
炭酸ナトリウム(試薬)
JISK8638:2011
チオ硫酸ナトリウム(試薬)
JISK8659:2014
でんぷん(溶性)(試薬)
JISK8680:2006
トルエン(試薬)
JISK8722:2019
ペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム二水和物(試薬)
JISK8798:2012
フェノール(試薬)
JISK8840:2014
ブロモクレゾールグリーン(試薬)
JISK8844:2012
ブロモフェノールブルー(試薬)
JISK8848:2012
ヘキサン(試薬)
JISK8858:2007
ベンゼン(試薬)
JISK8863:2007
ほう酸(試薬)
JISK8866:2008
四ほう酸ナトリウム十水和物(試薬)
JISK8896:2012
メチルレッド(試薬)
JISK8897:2012
メチレンブルー(試薬)
JISK8913:2006
よう化カリウム(試薬)
JISK8920:2008
よう素(試薬)
JISK8922:2008
よう素酸カリウム(試薬)
JISK8949:2019
硫化ナトリウム九水和物(試薬)
JISK8951:2006
硫酸(試薬)
JISK8953:2008
硫酸亜鉛七水和物(試薬)
JISK8960:2008
硫酸アンモニウム(試薬)
JISK8962:2008
硫酸カリウム(試薬)
JISK9005:2006
りん酸(試薬)
JISK9501:2019
アジ化ナトリウム(試薬)
JISK9551:2020
過塩素酸バリウム(試薬)
JISK9703:2013
2,2,4-トリメチルペンタン(試薬)
JISK9704:1994
2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(試薬)
JISK9808:1996
生化学試薬―2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(ビス-トリス)
JISP3801:1995
ろ紙(化学分析用)
JISR3503:1994
化学分析用ガラス器具
JISR3505:1994
ガラス製体積計
JISZ8401:2019
数値の丸め方
JISZ8402-2:1999
測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第2部:標準測定方法の併行精度及び再現精度を求めるための基本的方法
JISZ8710:1993
温度測定方法通則