JIS K 2301:2011 燃料ガス及び天然ガス―分析・試験方法 | ページ 5

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K 2301 : 2011
6.3.4 データ処理装置
データ処理装置は,クロマトグラムの成分ピークの面積に比例する信号を数値として表す装置であって,
次の性能をもつものを用いる。
a) 積分感度 1 μV・sにつき1カウント以上のもの。
b) 精度 ガスクロマトグラフと接続し,表6に示す分析条件の下で,空気を3回以上繰り返して分析し
たとき,窒素と酸素とのピーク計数値の比(N2/O2)の変動係数は±0.5 %のもの。
c) 直線性 入力1 mV以上の測定値に対して±0.1 %のもの。
d) 入力電圧 最大1 000 mVのもの。

6.4 カラム

  カラムは,次による。
a) 管 カラムに用いる管は,銅,ステンレス鋼,ガラスなどで製作し,表5に示す内径及び長さをもち,
金具によって両端をガスクロマトグラフに緊密に接続できるもの。
b) 充剤 カラム充剤は,分析対象成分に対して必要,かつ,十分な分離能をもつものを用いる。例
を表5に示す。
表5−カラムの例
カラムの種類 カラム充剤 管
固定相 担体の種類 担体の粒径 内径 長さ
μm mm m
充カ a 合成ゼオライトa) 合成ゼオライト13X形(Na塩)又は合成 177250 2.55 1.53
ラム ゼオライト5A形(Ca塩)
b 多孔性高分子(ポー多孔性高分子(ポーラスポリマー) 24
ラスポリマー)b)
c シリカゲル シリカゲル 12
d セバコニトリル セバコニトリル25 % けい藻土 810
e nPS-DMS n-プロピルスルホン-ジメチけい藻土 250590 45 1315
ルスルホラン(75 : 25)混
合液35 %
f DOP フタル酸ビス(2-エチルヘけい藻土 177250 2.55 57
キシル)25 %
g PEG6000 ポリエチレングリコール けい藻土 1.53
6000 25 %
h シリコーンオイル DC−200/500 15 %28 % けい藻土 180300 4.75 0.459
キャピ i 吸着/多孔性高分 Al2O3/KCl 0.3 50
ラリー j 子形 多孔性高分子(ポーラスポリマー) 0.53 25
カラム k 合成ゼオライト5A 0.53 50
l 分配形キャピラリ ジメチルポリシロキサン 0.32 50
ーカラム
注a) 合成ゼオライトには,モレキュラーシーブ13X及びモレキュラーシーブ5Aがある。
b) 多孔性高分子形(ポーラスポリマー形)充剤は,エチルビニルベンゼンとジビニルベンゼンとの共重合体
などからなるポラパックQ,Rなどがある。ポラパックQ,Rは,市販製品の例である。この情報は,この
規格の利用者の便宜のために掲載するもので,この製品を推奨するものではない。
c) 充方法 内部をよく洗浄し,乾燥した規定の管の一端をガラス綿で軽く塞ぐ。管に振動を与えるか,
又は吸引しながら,他端からカラム充剤を少量ずつ流入させ,内部に空隙ができないように均一,
かつ,密に充する。充後,その端もガラス綿で軽く塞ぐ。

――――― [JIS K 2301 pdf 21] ―――――

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d) カラムの空焼き カラムをガスクロマトグラフの規定の位置に接続し,キャリヤーガスを通しながら
カラム槽の温度を常用の温度より高く(ただし,最高使用温度以下)調整する。調整後,残存溶媒な
どが除去されるまで空焼きを行う。このとき,カラムの検出器側の一端は,検出器に接続しないでお
く。
e) カラムの組合せ 試料ガスの全成分を分析するために,対象成分に合わせて数種のカラムを使い分け
る。カラムの組合せ及び分析条件の例を表6に示す。ただし,試料ガスの全成分の分離溶出が確かめ
られていれば,他のカラムの組合せ及び分析条件下で分析してよい。
なお,各成分の分離が添付クロマトグラム例に示された分離と同等の分離であることを確認する方
法としては,JIS K 0114に規定する方法で分離度を確認することが望ましい。
表6−カラムの組合せ及び分析条件の例
カラ カラムの種類 分析対象成分 分析条件 標準ガスの分析値
ム組 槽温度 キャリヤー 流量 純ガス 混合標
合せ ℃ ガス mL/min 準ガス
A 合成ゼオライト H2 常温70 N2 3060 H2 6.2.1に
合成ゼオライト O2,N2, 常温70 He N2又は よる。
CH4,CO CH4
nPS−DMS C2H4,C2H6,CO2, 常温40 He C3H8
C3C6成分
PEG6000 C6H6,C6H5CH3 常温40 He −
B 合成ゼオライト H2 常温70 N2 3060 H2
合成ゼオライト O2,N2, 常温70 He N2又は
CH4,CO CH4
多孔性高分子(ポーラC2H6,CO2 50100 He CO2
スポリマー)
セバコニトリル C3C6成分 常温60 He C3H8
C 合成ゼオライト O2,N2, 常温70 He 3060 CH4
CH4,CO
シリカゲル C2H4,C2H6,CO2 常温70 He N2又は
CH4
DOP C3C6成分 5070 He C3H8
D 合成ゼオライト H2 常温70 N2 3060 H2
合成ゼオライト O2,N2, 常温70 He CH4
CH4,CO
多孔性高分子(ポーラC2H4,C2H6, 50100 He CO2
スポリマー) CO2
吸着形キャピラリー C3C6成分,C6H6, 100→200 He 23 C3H8
カラム(Al2O3/KCl) C6H5CH3 昇温
E 合成ゼオライト H2,He, 40200 Ar 30 −
O2,N2
多孔性高分子(ポーラN2,CO2, 40200 He 30 −
スポリマー) C1C8成分
F シリコーンオイル C6+成分 70150 He 40 −
シリコーンオイル N2,CO2, 70150 He −
C1C8成分
G シリコーンオイル C6+成分 70105 He 28 −
シリコーンオイル C3C5成分 70105 He −

――――― [JIS K 2301 pdf 22] ―――――

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表6−カラムの組合せ及び分析条件の例(続き)
カラ カラムの種類 分析対象成分 分析条件 標準ガスの分析値
ム組 槽温度 キャリヤー 流量 純ガス 混合標
合せ ℃ ガス mL/min 準ガス
G シリコーンオイル N2,CO2, 70105 He 28 − 6.2.1に
CH4,C2H6 よる。
H 吸着形キャピラリー CO2, 40140 Ar 4 −
カラム[多孔性高分子C2C3成分
(ポーラスポリマ
ー)]
吸着形キャピラリー H2,He,O2, 40140 Ar −
カラム(合成ゼオライN2,CH4,CO
ト5A)
分配形キャピラリー C3C6+成分 35240 N2 0.6 −
カラム(ジメチルポリ
シロキサン)

6.5 試料採取方法

  試料ガスは,箇条5によって採取する。

6.6 分析手順

  分析は,次の手順による。
a) ガスクロマトグラフの調整 分析に先立ち,構成機器の取扱説明書に従ってガスクロマトグラフを調
整しておく。
b) ガスクロマトグラフの安定化 感度切換装置を測定する条件に設定した後,記録計を始動させ,基線
のドリフトが,10分間に記録計フルスケールの1 %以下になるまで,ガスクロマトグラフを安定させ
る。
c) ガスクロマトグラフの安定性の確認 標準ガスを,試料計量管に採取し,試料導入装置の流路を切り
換えてカラムに導入し,記録計又はデータ処理装置にクロマトグラムを記録させる。この操作を2回
繰り返し,最も大きいピークについてその2回のピークの高さの差又はデータ処理装置の計数値の差
が,その高さ又は計数値の1 %以下であることを確かめる。1 %を超えるときは,試料計量管内の置換
の不完全,試料導入装置の漏れ,試料導入操作の不確実などが考えられるので,それらを確認する必
要がある。
記録計を用いる場合は,感度切換装置を適宜切り換えて,成分ピークが記録紙上で適切な大きさに
なるように調整する。
d) 標準ガスの導入 c)と同様の操作によって,標準ガスを導入し,クロマトグラムを記録させる。この
操作はc)の操作と兼ねることができるが,1日の分析の始め又は分析条件が変わったときには,少な
くとも1回行うことが望ましい。また,純ガスを用いる方法は,一般に体積分率80 %以上の成分に対
して用い,体積分率10 %以上体積分率80 %未満の成分に対しては,ガスクロマトグラフの直線性を
JIS K 0055に基づき定期的に確認し,分析する。
e) 試料ガスの導入 試料ガス容器又は導管を試料導入装置に接続し,試料計量管に試料ガスを流して置
換した後,試料導入装置の流路を切り換えて試料ガスをカラムに導入し,クロマトグラムを記録させ
る。
記録計を用いる場合は,感度切換装置を適宜切り換えて,成分ピークが記録紙上で適切な大きさに

――――― [JIS K 2301 pdf 23] ―――――

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なるように調整する。
f) 成分の同定 e)によって得られたクロマトグラムは,成分既知の試料を用いて保持時間を比較するか,
又は図8図17を参考にして,ピークごとにそれぞれの成分の同定を行う。
g) ピーク面積の測定 クロマトグラムに現れた標準ガス及び各分析対象成分のピーク面積は,次に示す
方法で測定する。ただし,キャピラリーカラムによって分離した場合は,データ処理装置を用いる方
法でピーク面積を測定する。
1) データ処理装置を用いる方法 データ処理装置に表示された計数値(カウント)をもって,ピーク
面積値とする。
2) 半値幅法 得られたクロマトグラムのピークは,図7に示すように,ピーク高さについては0.5 mm
まで,半値幅については0.1 mmまで,副尺付き長さ計を用いて正確に読み取り,次の式によって
ピーク面積(A)を計算する。
A=w×h×R
ここに, A : ピーク面積(mm2)
w : ピーク半値幅(mm)
h : ピーク高さ(mm)
R : 感度切換装置の減衰比
図7−半値幅法によるピーク面積測定法(対称的ピークの場合)

6.7 計算

6.7.1  各成分濃度の算出
各成分の濃度は,次に示す方法で求める。
a) 混合標準ガスを用いる場合 計算は,次の方法による。
1) 混合標準ガスに含まれる成分を算出するときは,次の式による。
Ai Pi
CV´i
ASi
ここに, C'Vi : 試料ガス中の成分iの算出濃度[体積分率(%)]
Ai : 試料ガス中の成分iのピーク面積(mm2又はカウント)
Pi : 混合標準ガス中の成分i濃度[体積分率(%)]
ASi : 混合標準ガス中の成分iのピーク面積(mm2又はカウント)
2) 混合標準ガスに含まれない成分を算出するときは,次の式による。
Ai fi CVS
CV´i
AS
ここに, C'Vi : 試料ガス中の成分iの算出濃度[体積分率(%)]
Ai : 試料ガス中の成分iのピーク面積(mm2又はカウント)
fi : 基準となる成分に対する成分iの補正係数

――――― [JIS K 2301 pdf 24] ―――――

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CVS : 混合標準ガス中の基準となる成分の濃度[体積分率(%)]
AS : 混合標準ガス中の基準となる成分のピーク面積(mm2又はカ
ウント)
ただし,成分iの補正係数(fi)は,装置及び条件によって多少変動することがあるので,通常実
測した値を用いる。特に支障のない場合には,表7又は表8の補正係数を用いてもよい。
天然ガスなどに含まれる可能性のあるC6以上の高沸点炭化水素を,バックフラッシング操作を用
いて,一括してC6+として定量した場合に,パラフィン類が主成分のときは,ヘキサンとみなし,
芳香族炭化水素類が主成分のときは,ベンゼンとみなして,計算する。
b) 純ガスを用いる場合 純ガスを標準ガスとする場合の計算は,次による。
Ai P
CV´i
AS
ここに, C'Vi : 試料ガス中の成分iの算出濃度[体積分率(%)]
Ai : 試料ガス中の成分iのピーク面積(mm2又はカウント)
P : 純ガスの純度[体積分率(%)]
AS' : 純ガスのピーク面積(mm2又はカウント)
6.7.2 各成分濃度のノーマライゼーション
6.7.1によって各成分の算出濃度の総和を求め,その総和が体積分率98.00 %体積分率102.00 %の範囲
内にあるときは,次の式によって各成分の分析値を算出する。
各成分の算出濃度の総和が体積分率98.00 %体積分率102.00 %の範囲を外れるときは,装置の調整,
分析操作若しくは計算に重大な誤りがあるか,又は分析対象成分以外の他の成分が存在することがあるた
め,十分に確認する必要がある。
C´Vi
CVi 100
Σ C´Vi
ここに, CVi : 試料ガス中の成分iの分析値[体積分率(%)]
C'Vi : 試料ガス中の成分iの算出濃度[体積分率(%)]
ΣC'Vi : 各成分の算出濃度の総和[体積分率(%)]

――――― [JIS K 2301 pdf 25] ―――――

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JIS K 2301:2011の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 19739:2004(MOD)
  • ISO 6326-1:2007(MOD)
  • ISO 6327:1981(MOD)
  • ISO 6974-1:2000(MOD)
  • ISO 6974-2:2001(MOD)
  • ISO 6974-3:2000(MOD)
  • ISO 6974-4:2000(MOD)
  • ISO 6974-5:2000(MOD)
  • ISO 6974-6:2002(MOD)
  • ISO 6975:1997(MOD)
  • ISO 6976:1995(MOD)

JIS K 2301:2011の国際規格 ICS 分類一覧

JIS K 2301:2011の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB7410:1997
石油類試験用ガラス製温度計
JISC1302:2018
絶縁抵抗計
JISK0055:2002
ガス分析装置校正方法通則
JISK0088:1997
排ガス中のベンゼン分析方法
JISK0095:1999
排ガス試料採取方法
JISK0114:2012
ガスクロマトグラフィー通則
JISK0115:2004
吸光光度分析通則
JISK0115:2020
吸光光度分析通則
JISK0127:2013
イオンクロマトグラフィー通則
JISK0512:1995
水素
JISK0557:1998
用水・排水の試験に用いる水
JISK1101:2017
酸素
JISK1107:2005
窒素
JISK2839:1990
石油類試験用ガラス器具
JISK8032:2013
アセトニトリル(試薬)
JISK8034:2006
アセトン(試薬)
JISK8051:2010
3-メチル-1-ブタノール(試薬)
JISK8102:2012
エタノール(95)(試薬)
JISK8116:2006
塩化アンモニウム(試薬)
JISK8121:2007
塩化カリウム(試薬)
JISK8124:2018
塩化カルシウム(乾燥用)(試薬)
JISK8142:2018
塩化鉄(III)六水和物(試薬)
JISK8150:2006
塩化ナトリウム(試薬)
JISK8155:2017
塩化バリウム二水和物(試薬)
JISK8180:2015
塩酸(試薬)
JISK8180:2021
塩酸(試薬)
JISK8193:2020
N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン二塩酸塩(試薬)
JISK8228:2020
過塩素酸マグネシウム(試薬)
JISK8230:2016
過酸化水素(試薬)
JISK8295:2020
グリセリン(試薬)
JISK8355:2006
酢酸(試薬)
JISK8355:2021
酢酸(試薬)
JISK8374:2007
酢酸鉛(II)三水和物(試薬)
JISK8500:2007
N,N-ジメチルホルムアミド(試薬)
JISK8519:2016
しゅう酸二水和物(試薬)
JISK8541:2015
硝酸(試薬)
JISK8541:2021
硝酸(試薬)
JISK8550:2006
硝酸銀(試薬)
JISK8550:2021
硝酸銀(試薬)
JISK8568:1957
焼石コウ(試薬)
JISK8568:2011
硝酸マンガン(II)六水和物(試薬)
JISK8576:2019
水酸化ナトリウム(試薬)
JISK8622:2007
炭酸水素ナトリウム(試薬)
JISK8625:2017
炭酸ナトリウム(試薬)
JISK8638:2011
チオ硫酸ナトリウム(試薬)
JISK8659:2014
でんぷん(溶性)(試薬)
JISK8680:2006
トルエン(試薬)
JISK8722:2019
ペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム二水和物(試薬)
JISK8798:2012
フェノール(試薬)
JISK8840:2014
ブロモクレゾールグリーン(試薬)
JISK8844:2012
ブロモフェノールブルー(試薬)
JISK8848:2012
ヘキサン(試薬)
JISK8858:2007
ベンゼン(試薬)
JISK8863:2007
ほう酸(試薬)
JISK8866:2008
四ほう酸ナトリウム十水和物(試薬)
JISK8896:2012
メチルレッド(試薬)
JISK8897:2012
メチレンブルー(試薬)
JISK8913:2006
よう化カリウム(試薬)
JISK8920:2008
よう素(試薬)
JISK8922:2008
よう素酸カリウム(試薬)
JISK8949:2019
硫化ナトリウム九水和物(試薬)
JISK8951:2006
硫酸(試薬)
JISK8953:2008
硫酸亜鉛七水和物(試薬)
JISK8960:2008
硫酸アンモニウム(試薬)
JISK8962:2008
硫酸カリウム(試薬)
JISK9005:2006
りん酸(試薬)
JISK9501:2019
アジ化ナトリウム(試薬)
JISK9551:2020
過塩素酸バリウム(試薬)
JISK9703:2013
2,2,4-トリメチルペンタン(試薬)
JISK9704:1994
2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(試薬)
JISK9808:1996
生化学試薬―2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(ビス-トリス)
JISP3801:1995
ろ紙(化学分析用)
JISR3503:1994
化学分析用ガラス器具
JISR3505:1994
ガラス製体積計
JISZ8401:2019
数値の丸め方
JISZ8402-2:1999
測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)―第2部:標準測定方法の併行精度及び再現精度を求めるための基本的方法
JISZ8710:1993
温度測定方法通則