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K 2301 : 2011
7 特殊成分の分析方法
7.1 全硫黄の分析方法
全硫黄の分析方法には,過塩素酸バリウム沈殿滴定法,ジメチルスルホナゾIII吸光光度法,イオンクロ
マトグラフ法,微量電量滴定式酸化法,紫外蛍光法(バッチ法,連続流通法)の6種の分析法がある。そ
のうち紫外蛍光法(連続流通法)は,COS,CS2,若しくは芳香族炭化水素などを含むガスについて,その
影響を無視できる場合に適用できる。それ以外の5種の分析方法は,いずれも試料ガス中の全硫黄分析に
適用できる。
7.1.1 過塩素酸バリウム沈殿滴定法
7.1.1.1 原理
試料ガスを空気と混合して燃焼するか,又は酸水素炎中に導入して燃焼し,生成する硫黄の酸化物を過
酸化水素水に吸収して硫酸とする。生成した硫酸をアンモニア水でpHを約6に調製し,アセトンを加え,
ジメチルスルホナゾIIIを指示薬として,過塩素酸バリウム標準液で滴定する。この方法は,試料ガス100
Lを採取した場合,全硫黄濃度が0.01 g/m3以上のガスの分析に用いることができる。
7.1.1.2 試薬
試薬は,次による。
a) 吸収液 過酸化水素水(1+9)。この溶液は,褐色瓶に保存する。
b) アンモニア水(1+200)
c) 塩化カリウム溶液 JIS K 8121に規定する塩化カリウム1 gを水に溶かして100 mLとしたもの。
d) エタノール(95) JIS K 8102に規定するもの。
e) アセトン JIS K 8034に規定するもの。
f) 標準硫酸カリウム溶液(S : 0.05 mg/mL) JIS K 8962に規定する硫酸カリウムを粉末にし,105 ℃
110 ℃で2.5時間3時間乾燥させる。その0.272 gをはかりとってビーカ(200 mL)に移し,少量の
水に溶かす。これを全量フラスコ(1 L)に洗い移し,水を標線まで加えたもの。
g) 0.005 mol/L過塩素酸バリウム標準液 JIS K 9551に規定する過塩素酸バリウム三水和物1.95 gを水に
溶かし,過塩素酸(10 %)4滴5滴を加えた後,水で1 Lとしたもの。標定は,次による。
標準硫酸カリウム溶液10 mLを全量ピペットでコニカルビーカ(200 mL)にとり,水15 mL,塩化
カリウム溶液1 mL,アセトン50 mL及びジメチルスルホナゾIII溶液4滴5滴を加え,この溶液を
マグネチックスターラでかき混ぜながら,5 mLのマイクロビュレットを用い,0.005 mol/L過塩素酸
バリウム標準液で滴定し,溶液の色が紫色から緑青色に変わったとき,その色が1分間継続した点を
終点とする。別に水を用いて空試験を行い,次の式によってファクターを算出する。
.005 10
f
.0160 (a b)
ここに, f : 0.005 mol/L過塩素酸バリウム標準液のファクター
a : 初めの滴定に要した0.005 mol/L過塩素酸バリウム標準液の
量(mL)
b : 空試験に要した0.005 mol/L過塩素酸バリウム標準液の量
(mL)
0.160 : 0.005 mol/L過塩素酸バリウム標準液1 mLに相当する硫黄の
質量(mg)
0.005 mol/L過塩素酸バリウム標準液の代わりに0.005 mol/L塩化バリウム標準液を用いてもよい。
この場合は,JIS K 8155に規定する塩化バリウム二水和物1.22 gを水に溶かして1 Lとし,次に,
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0.005 mol/L過塩素酸バリウム標準液と同様に操作し,ファクターを算出する。
h) ブロモクレゾールグリーン溶液 JIS K 8840に規定するブロモクレゾールグリーン0.04 gをJIS K
8102に規定するエタノール(95)20 mLに溶かし,水を加えて100 mLとしたもの。
i) ジメチルスルホナゾIII溶液 ジメチルスルホナゾIII(2ナトリウム塩)0.02 gを,水20 mLに溶か
したもの。この溶液は,褐色瓶に入れ,冷暗所に保存する。
7.1.1.3 試料ガスの燃焼
試料ガスを,次のいずれかの方法によって燃焼させる。各燃焼方法における試料ガスの発熱量と燃焼流
量との関係は,表10による。
燃焼させる試料ガス量は,吸収させる硫黄全量が1 mg8 mgとなる量が望ましい。
表10−試料ガスの発熱量と燃焼流量との関係
単位 L/h
燃焼方法 ガスの総発熱量(kJ/m3)
10 500以上 21 000以上 42 000以上 84 000以上
21 000未満 42 000未満 84 000未満 126 000未満
A法(一般法) 2010 105 52 −
(ノズル口径3 mm) (ノズル口径2 mm) (ノズル口径2 mm)
B法(迅速法) 100以上 10040 4020 2010
C法(酸水素炎燃焼法) 300以上 300220 220180 180150
試料ガス中に硫化水素を含み,かつ,湿式ガスメータを用いて体積を測定する場合には,ガスメータの前に図28
又は図30に例を示す硫化水素吸収装置を配置し,硫化水素を捕集した後のガスを燃焼させて全硫黄を定量とすると
ともに,この捕集した硫化水素を7.2.1,7.2.2又は7.2.4によって定量して全硫黄の量に換算した後,全硫黄定量値
に加えて補正する。
a) 法(一般法) A法に用いる装置及び操作は,次による。
1) 装置 A法に用いる燃焼装置の例を図18及び図19に示す。ガスメータには,あらかじめ試料ガス
を十分に通して,メータ内の水を試料ガスで飽和させておく。
図18−A法に用いる燃焼装置の例
――――― [JIS K 2301 pdf 37] ―――――
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単位 mm
注 バーナは,I形又はII形のいずれかを用いる。
図19−A法に用いる燃焼装置用の燃焼管,吸収管及びバーナの例
2) 操作 燃焼操作は,次による。
2.1) 吸収管に吸収液50 mLを入れる。
2.2) 吸引ポンプによって流量140 L/h180 L/hで空気を吸引する。
2.3) バーナを燃焼管から外した後,試料ガスを発熱量に応じて表10に示す流量で流し,これに送風ポ
ンプから空気を送入して点火し,バーナに至るまでのガス採取系統を試料ガスで十分に置換して
おく。点火には,硫黄分を含むマッチなどを用いてはならない。
2.4) バーナを燃焼管内に挿入すると同時にガスメータの目盛を読み,炎が穏やかに,かつ,完全燃焼
するように,ガス流量及び空気流量を調節する。この場合,燃焼管上部にすすが発生せず,吸収
――――― [JIS K 2301 pdf 38] ―――――
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管内の泡がスプレートラップにあふれない程度に液中を均一に上昇している状態を保つ。
2.5) 適量の試料ガスを燃焼させた後,ガスメータの目盛を読み,直ちにバーナを取り外し,試料ガス
並びに吸引ポンプ及び送風ポンプを止める。
2.6) ガスメータの読みから,箇条5 e)によって燃焼に用いた試料ガスの体積を計算する。
b) 法(迅速法) B法に用いる装置及び操作は,次による。
1) 装置 B法に用いる燃焼装置の例を図20及び図21に示す。ガスメータにはあらかじめ試料ガスを
十分に通して,メータ内の水を試料ガスで飽和させておく。
図20−B法に用いる燃焼装置の例
――――― [JIS K 2301 pdf 39] ―――――
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単位 mm
注記 燃焼管及びバーナには,硬質1級ガラス製のものを用いる。
図21−B法に用いる燃焼装置用の燃焼管,吸収管及びバーナの例
2) 操作 燃焼操作は,次の手順による。
2.1) バーナを燃焼管から取り外し,試料ガス及び送風ポンプからの空気を適切な流量で流して点火し,
バーナに至るまでのガス採取系統を試料ガスで十分に置換する。点火には,硫黄分を含むマッチ
などを用いてはならない。
2.2) 試料ガスを止めた後,バーナを燃焼管内に挿入し,送風ポンプから空気を送る。
2.3) スプレートラップを外して,吸収液50 mLを吸収管に入れる。
2.4) 吸引ポンプによって800 L/h1 000 L/hの流量で空気を吸引し,空気量を調整してから,スプレー
――――― [JIS K 2301 pdf 40] ―――――
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JIS K 2301:2011の引用国際規格 ISO 一覧
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- ISO 6326-1:2007(MOD)
- ISO 6327:1981(MOD)
- ISO 6974-1:2000(MOD)
- ISO 6974-2:2001(MOD)
- ISO 6974-3:2000(MOD)
- ISO 6974-4:2000(MOD)
- ISO 6974-5:2000(MOD)
- ISO 6974-6:2002(MOD)
- ISO 6975:1997(MOD)
- ISO 6976:1995(MOD)
JIS K 2301:2011の国際規格 ICS 分類一覧
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